ペレットストーブは、木質ペレットを燃やすので当然「灰」が出ますし、燃焼時に出るすすでガラス窓も曇ります。長く安全に使うには、日頃のメンテナンスが重要となる暖房です。そこで今回は、ペレットストーブユーザーであるインテリアコーディネーターの本間純子さんに、ペレットストーブのメンテナンスについて、普段実践している方法を教えていただきます。
火事を防ぐためにも「定期的な掃除」が大事
ペレットストーブは、日常的なお手入れが必要な暖房機器です。火を使うということは、火災のリスクが高いということ。機器を長持ちさせて快適に安心して暮らすために、ペレットストーブの「平常状態」を知っておく必要があります。
私の家ではペレットストーブが主暖房です。そこで私は毎晩ペレットストーブの内部を掃除しながら、異常がないかを確認しています。掃除する場所によっては週に一度、または月に一度程度でOKとされますが、毎日見ていると、いつもと違う状態に気付きやすくなり、調整や修理への対応が早くなります。自身の健康管理と一緒ですね。早期発見、早期治療です。
私の毎晩のメンテナンス方法
①掃除を始める1時間半前には消火
ペレットストーブは消火ボタンを押すと消火動作に入り、排気ファンが動き始めます。まもなく火は消えますが、排気ファンが止まるのは約30分後です。
30分経ってもストーブの内部は熱くて、直接触れません。通常は消火ボタンを押してから庫内が冷めるまで1〜1.5時間ほどかかりますので、しっかり冷めてから内部の掃除を始めます。
私は、朝、タイマーでペレットストーブを点火するために就寝前に掃除をしています。掃除をするタイミングは人それぞれ。主暖房でなければ、朝やペレットストーブを使う直前などでも問題ありません。
②部屋中に灰が舞うのを防ぐため、「クリーニングボタン」を押す
わが家のペレットストーブ「ほのか」には排気ファンが清掃中に舞う灰を吸い取ってくれる機能があります。掃除に入る前にまず、操作パネルの「クリーニングボタン」を押します。そうすると、排気ファンが動き始めます。
排気ファンを使わずに掃除をすると、部屋中に灰が飛んで大変です!過去に一度だけ、大惨事になったこともありますが、実際、清掃中の灰の飛散が原因でペレットストーブを断念した方もいます。
私はこのクリーニング機能のおかげで挫折することなく、毎日の掃除を継続できています。ペレットストーブは機種によってこの機能が付いているものと付いていないものがありますが、私はユーザーとして「クリーニング機能付き」を強くおすすめしたいです。
ちなみに家庭用の掃除機で薪ストーブやペレットストーブの灰を吸い込むと、掃除機に不具合が出かねません。使うなら、ストーブ掃除専用の電気掃除機にしましょう。私は使っていませんが、隅々まできれいに吸い込んでくれて便利なようです。
③ストーブの扉の前に新聞紙を広げる
灰は主に排気ファンが吸引してくれますが、扉の内側をはじめ、そこここから灰やすすが落ちます。掃除の手間はできるだけ省きたいので、ストーブの扉の前に新聞紙を広げます。新聞紙はロストルにブラシをかけたり、灰受けの処理をするときも必須アイテムです。掃除の最後には、諸々の汚れを包んで燃やせるゴミとして処分します。
④扉のガラス面、庫内の壁面、天井面などの灰を刷毛で落とす
続いて扉のガラス面、庫内の壁面、天井面などの灰を刷毛で落とします。燃焼箇所のロストルやロストル囲いなどのパーツは外しながら刷毛で灰を落としていきます。
ペレットストーブで注意したいのが「クリンカ」です。これは灰が溶けて固まったもので、固着してしまうと燃焼ポットに付属している吸気口をふさいで、窯の中に充分な空気が入っていくのを邪魔します。そのためお手入れの際には「クリンカ」の有無を確認して、もし固着し始めていたら金属ブラシで擦って落とします。
「ペレットの質」が、クリンカの量やロストルの傷み具合に影響?
燃焼中のクリンカはかなり高温なので、クリンカが多いと、燃焼ポットの底のロストルが消耗しやすいようです。今のロストルで3代目ですが、傷み具合はペレットの品質にも影響されるようで、実際、昨シーズンのペレットは煤も灰もクリンカも多く、困惑しました。ペレットは自然由来のため、そのときどきの木の状態の影響を受けやすいのです。
ペレットは工業製品ですが、木材を粉砕+圧縮しただけのものなので、均一な製品が難しい。ペレットストーブユーザーは、そのことを知っておきたいですね。
⑤灰受け内の「灰の量」を確認。必要に応じて取り出し可燃ごみに
灰は灰受けに落として、そこに溜まっている量を確認します。ある程度溜まったら、完全に冷たくなって火種が残っていないことを確認してから新品のビニール袋に入れ、「燃やせるゴミ」(札幌市の場合)として指定日に出します。
まれに灰受けに熾(おき)が残っていることがあります。これに気づかずにビニール袋に入れると火災の原因になって大変危険なので、私は細心の注意を払っています。
⑥扉のガラス窓の清掃
扉のガラス窓は、すすや灰でけっこうすぐに汚れるので、刷毛でサッと掃除した後、ガラスクリーナーを付けたウエスやキッチンペーパーなどで拭き取ります。
いろいろ試しましたが、ガラスクリーナーを使うと、次の日の汚れ落としが容易です。掃除を日課にできるか否かは、「簡単+ストレスフリー」がポイント。ガラスに焼き付いてしまった汚れを落とすのはかなり難しいですし、燃焼時の炎の様子を正しく確認するためにも、ガラス扉は常にきれいにしておくことが大切です。
⑦周囲の汚れを最終チェック
扉を閉じたら新聞紙を外して、周囲をペーパーモップで拭き、排気ファンを止めます。ペーパーモップで拭くと汚れが広がる範囲がよく分かります。灰や煤は一旦舞い上がると、床に落ちるまでに何時間もかかります。「できるだけ静かに掃除する」。これが効率の良いお手入れの一番のコツだと思います。
私はそこまでの掃除好きでもきれい好きでもありませんが、ペレットストーブのお掃除はしっかり継続できていて、自分でもちょっと不思議です。
- ペレットストーブの清掃をルーティン化したこと
- 排気ファン付きの機種だったこと
- 燃焼ポットが簡単に分解できて、ロストルの掃除がしやすかったこと
- ガラスクリーナーを使うとすすや汚れがきれいに落ちると早々に気づいたこと
が、継続できている主な理由かもしれません。
安心・安全のため、1年に一度は専門業者に点検を依頼
電気式ペレットストーブは1年に一度、専門業者による点検・メンテナンスを行います。燃焼部分の周囲は高温にさらされて徐々に変形するので、交換のタイミングを見てもらう必要がありますし、電子部品を搭載しているので、不具合は早期に発見したいところ。次の冬も安心して安全に使うための備えです。
わが家では、ペチカや煙突の清掃も同時に依頼しています。集合煙突やペチカの清掃は素人にはできません。放置は煙道火災などの大事故に結びつく可能性がありますので、ペレットストーブ本体と併せて定期メンテナンスを行いたいところですね。
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