家づくりでは一般的に「カーテン工事」は建築工事に含まれず、施主支給の別工事となるケースが多い項目です。今はインテリア用品店でさまざまな機能やデザインの既製品のカーテンが販売されていて、自分で採寸して取り付ける例も少なくありません。
ただ、カーテンの採寸や取り付け方を間違えると、せっかくこだわった素敵なお部屋が台無しになってしまうことも…!そこで今回はインテリアコーディネーターの本間純子さんに、カーテンの正しいサイズの決め方と採寸について教えていただきます。
「正しい採寸」が、成功の秘訣
思い描いたイメージどおりにカーテンを取り付けるためには、窓まわりの条件や仕上がりイメージを踏まえた正しい採寸が不可欠です。ここではカーテンを選ぶことが多い「腰高窓」と「掃き出し窓」を例に、カーテンの採寸のポイントをご説明したいと思います。
採寸の前提 |
カーテンの寸法は「計算」で決めます。「現状寸法」と「計算上の寸法」を併記すると間違いやすいので、採寸時はあくまでも「現状の寸法」をメモしましょう。 |
「幅」の採寸のポイント
カーテンの「幅」の採寸では「窓枠の外側から外側まで」を測ります。同じような形状の窓でも、寸法が微妙に違うことがありますので、カーテンを取り付ける窓は、必ず1ヵ所ずつ測ります。
カーテンの幅の寸法は、窓(窓枠の外寸)の幅+左右それぞれ10〜20㎝で出します。つまり、
カーテンの仕上がり幅 = 窓幅+20〜40㎝
が一般的な寸法となります。
※これは「プリーツを含めた吊り元の寸法」で、裾の広がりの長さではありません
窓幅+20㎝(左右+10㎝ずつ)の場合、日中に左右に引き分けたカーテンの一部がガラス面に被ります。すると紫外線の影響で、布生地の劣化が進みやすくなってしまいます。
【窓幅+左右10㎝の場合】
気になる場合は、左右に長めのカーテンレールを設置すると、カーテンのダメージを減らせますが、その際には
- カーテンを溜めておける壁面のスペース
- ブラケットを取り付ける「下地」の確保
が必須です。
カーテンは総じて重いので、下地がないところにカーテンレールのブラケットを取り付けると、壁のボードごとはがれて落下する恐れがあり、大変危険です!
とはいえ壁の下地を施工する段階でカーテンの仕様を決めておくのは現実的に難しいので、窓まわりの下地は広めに入れるよう施工会社に依頼しておくと、カーテンの取り付け時に融通が効きますし、安心です。
「丈」の採寸のポイント
カーテンの丈は「カーテンレールの位置と窓の高さ」で決まります。
カーテンレールは一般的に、窓枠上端から10㎝程度上の位置に取り付けます。窓枠に近すぎると光漏れや冬の冷気が気になります。内開き窓の場合は、窓の上端から10㎝程では窓が開かなくなるため、適切な距離を確保して取り付けましょう。
腰高窓のカーテンの丈は窓台下15〜20㎝程度が一般的です。窓下にパネルヒーターがある場合は、パネルヒーターから2〜3㎝以上離して丈を決めます。カーテンがパネルヒーターに触れても燃えることはありませんが、カーテン生地が縮んだり、風合いが変わってしまうことがあります。
掃き出し窓の床にパネルヒーターが設置されている場合は、窓とパネルヒーターの間にカーテンの裾が入るように収めたいところです。カーテンの裾がパネルヒーターを覆うと、暖気が外に逃げて暖房効率が悪くなります。
「房かけ」の位置
カーテンを留める「タッセル」。それを掛けておくパーツが「房かけ」です。一般的にカーテンの裾から1/3程度の高さに付けます。
タッセルが通常の寸法より長かったり、房飾りが付いていたりする場合は、房かけの位置を少し高めにします。房かけ自体はそれほど重くはありませんが、ビスが木下地まで届いていないと毎日の掛け外しで力が加わって抜け落ちることがありますので、窓枠の左右にも木下地を入れておくと安心です。
カーテンの採寸【カーテンレールが付いている場合】
幅
固定されているランナーの右端から左端を測ります。寸法を正確に測るのに便利なアイテムが「カーテン用のメジャー」。これは片側にフックが付いているメジャーで、ランナーの片側にそのフックを引っ掛けて、もう一方の固定ランナーまでの距離を測ります。2〜3㎝のゆとりがあると美しく収まリます。
丈
■ 掃き出し窓の場合
固定されているランナーの片側にカーテン用メジャーのフックを引っ掛けて床までの寸法を測り、そこからドレープカーテンだと「−1㎝」、レースカーテンだと「−2㎝」の寸法が標準的なカーテンの丈となります。
■ 腰高窓の場合
窓台下までを測ります。窓下にパネルヒーターがある場合は、パネルヒーターから2〜3㎝離れているか確認しましょう。
■ 採寸時はレールの高さを確認
レールはドレープ用とレース用で取り付け高さが違う場合があります。必ずドレープ用、レース用を確認して、レールからの寸法を測りましょう。
カーテンは場所によってはサイズが大きいうえ、水平・垂直を測るのはけっこう難しいので、誰かにメジャーの片側を押さえてもらうと正しく測れます。測ったところの数値は必ずメモし、窓と窓周辺の様子は写真を撮っておきましょう。
カーテンレールの部品と名称
カーテンは、カーテンレールから下がっているように見えますが、「レールに通したランナーに、カーテンに付けたフックを掛ける」が正解です。何やら複雑そうですが、部品の名称を知るとその仕組みが理解できます。
既製品のカーテンを購入する場合も、オーダーカーテンを依頼する場合も、部品や部位の名称と仕組みを知っていると、「思っていた仕上がりと違う!」という失敗を防げます。ここでは、正しい採寸に役立つパーツの名称を紹介します。
「機能性レール」とは?
(C型レール、I型レールなど)
「機能性レール」は、実用性重視のカーテンレール。ランナーの滑りが良くカーテンが開閉しやすいのが特徴です。
レールの断面が「C」や「I」の形状になっていることから、「C型レール」「I 型レール」と呼ばれます。種類が多く、天井・壁面・出窓などさまざまなところに取り付けができます。
【C型レール】
【 I 型レール】
カーテンレールは壁面に取り付けたブラケットで支える構造ですが、カーテンボックスや窓枠内に取り付ける場合は、C型レールを直付けすることもあります。
「装飾レール」とは?
■ オーソドックスな「ポール+リングランナー」
「装飾レール」とは、文字通り、デザイン性のあるカーテンレールで、主にポールにリングランナーを通す仕様。カーテンレールの基本の形です。もともと、カーテンはカーテンボックスに鋲で止めつけていたため、吊り元は動きませんでした。「ポール+リングランナー」によってカーテンが開閉できる仕様は、画期的な発明だったようです。
昔と比べて素材やデザインは変化しましたが、「ポール+リングランナー」の基本構造は変わっていません。木製、金属製のポールに、木、金属、プラスチックなどで形成したキャップを取り付けます。
キャップのデザインによって、カーテンレール全体の長さは変動するため、オーダーするときは、窓の両側の壁の面積を確認しておきましょう。リングランナーはレールのデザインの一部ですので、カーテンのトップ(上端)からポールとリングランナーが見えるように吊り元の位置を決めます。
■ ポールの溝にランナーを通す、新タイプの装飾レール
最近は、ポールの溝にランナーを通した装飾レールが増えています。装飾性がありながら「リングランナーの走行音」や「レール上部からの光漏れ」などの悩みを解決してくれます。
光漏れや冷気を抑えるカバーを取り付けることもできる装飾性レールは、「おしゃれな機能性レール」とも言えそうです。装飾レールながら、スリムなカーテンボックスのようなデザインや、ドレープ用とレース用のレールが一体になったデザインなど、機能面に配慮した商品に注目です。
カーテンフック
■「金属製」または「プラスチック製」が一般的
カーテンとランナーを接続する部品が「カーテンフック」です。カーテンフックはカーテンのプリーツ、もしくはギャザーの裏側に差し込んで使います。
素材としては「金属製」または「プラスチック製」が一般的。フックを間違えると、イメージと違う仕上がりになってしまいますので、レールとの取り合いや、カーテンのプリーツ・ギャザーの取り方に合ったフックを選ぶことが重要です。
■ 取り付け高さの変更に便利!「アジャスターフック」
ランナーに引っ掛ける部分がスライドすることで、カーテンの取り付け高さを調整できるのが便利な「アジャスターフック」。カーテン生地は、素材によっては洗濯で縮むことがある一方、カーテンの自重で伸びることもあります。アジャスターフックにすると、カーテンの丈を微調整しやすく、短すぎ・長すぎの問題が解決できます。
カーテンは、どのような色・デザインにするかも大切ですが、空間を美しく納得のいく仕上がりにするには「サイズ感」が何よりも肝心です。カーテンの専門業者に依頼するのが確実ではありますが、ご自身で採寸する際には失敗や後悔のないよう、今回ご紹介したポイントをしっかりと押さえて、採寸や取り付けを行ってくださいね。