辞書によると、【火】とは、「物が燃えて熱と光を出す現象。ほのお。すみび。火事。」と記されている。この火には物理的な意味と抽象的・精神的な意味がある。
火が照明器具として使われた歴史は古いが、電気というエネルギーを手にして明かりに利用したのは、電球の発明からである。その原点となったのは、1802年イギリスのハンフリー・デービーがボルタ電池を使い、口金線に電流を流し加熱・発光させ光を得たものだ。その後、同国のデ・ラ・ルーエがガラス管に白金コイルを入れ発光させたものが白熱球の原点と考えられる。
1841年には同国のフレデリック・デ・モーリンズが球形のガラスグローブ(中空)に白金コイルを封入したランプで特許を得た。また、1865年には同国でハーマン・スプレンゲルが水銀真空ポンプを利用し、電球内の真空化に成功。これによりフィラメントの燃焼による酸化を防ぐ効果を生み、白熱球の寿命を延ばすことにつながった。この真空電球はほんの数年前まで使ってきた白熱球に応用された技術でもあった。
一般的によく知られているのが発明王、トーマス・エジソンによる電球の発明であるが、エジソンが電球の研究を始めたのは1877年頃からである。彼の開発した電球には京都府の八幡産の真竹がフィラメントとして使われていたことは日本人の多くが知っている。その電球は1879年10月19日(資料により21日の表記あり)に発光させることに成功した。その翌年、エジソン電灯会社を設立。量産・事業化が始まったのである。
明かりを歴史的に見ると、第1世代がろうそく、第2世代が白熱球、第3世代が蛍光灯、そして第4世代がLEDといえるだろう。LEDは発光ダイオード(半導体)を使ったもので、そのルーツとなったのが1906年イギリスのヘンリー・ジョセフ・ラウンドが炭化ケイ素に電気を流し、発光することを発見したことに始まる。こうしてさまざな発見・発明の歴史を見ると、イギリスが産業革命以降、いかに化学や科学の分野に注力していたかに驚かされる。
LEDの発光ダイオードは+の性質のP型とーの性質のN型を合わせることで、それぞれの粒子がぶつかり光を発生させるもので、これまでの白熱球と異なり、極めて効率的に光を発生させ、少ない消費電力で高い光度が得られるものだ。
1960〜70年代にかけて、赤・黄・黄緑・澄色が開発され、89年には日本の赤﨑 勇、天野 浩の両氏によって青色が開発。93年には中村修二氏により、その量産化に成功。95年以降には白色も開発され、フルカラーが実現した。
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今回紹介するスペインのミゲル・ミラによるLEDを使用したセスティタ(バスケット)アルバは、日本の行灯を連想させる持ち運びが自由な照明器具である。充電式のため、場所を選ばす自由度の高い作品だ。
ミゲル・ミラは1950年代から活躍を始めたスペインを代表する作家である。また、製造元のSanta&Cole社はプロダクトデザインのみならず、出版物も手がけるユニークな企業として世界から注目されている。
■CESTITA ALUBAT
ブランド:Santa & Cole(サンタ & コール)
サイズ:H36㎝(ハンドルを上げた時)/H29㎝(ハンドルを下げた時)、シェード:Φ21.5㎝
素材:アルミニウム、ポリエチレン
価格:146,300円(税込)
<問い合わせ先>
MAARKET(マーケット)
https://maarket.jp/products/detail/2008