前回の記事では、仙台市内に立つOさん宅の家づくりのきっかけや情報収集についてお話をうかがいました。今回はその続きで、プランや素材、性能など、住まいのさまざまな仕様を決める打ち合わせの過程に密着します。


新築にあたり、間取りでこだわったところを教えてください。

独立したランドリールームは、絶対にほしいと思っていました。洗濯は割とほこりが出るので1ヵ所で作業を済ませたかったのと、洗濯物の干す・畳むを一人で集中して行えるので効率もいい気がします。そして急な来客があったときは、ランドリールームが洗濯物の隠し場所になってくれるのもいいですね(笑)。

夫は、リビングに隣接した畳スペースを希望していました。オープンスタイルで、ちょっとゆっくりしたいときに最適ですね。今は子どもたちの遊び場としても大活躍しています。

リビングとはフラットにつながり、コンパクトながらも多目的に活用しやすい畳スペース
リビングとフラットにつながり、コンパクトながらも多目的に活用しやすい畳スペース

室内の雰囲気は、どのような感じを考えていましたか。

伝統的な和の趣と北欧風のインテリアを融合させたジャパンディなテイストを意識していましたが、あまりそうはいきませんでした(笑)。でも、シンプルで飽きがこない、かつ自然素材の温もりを感じられる空間が実現できたので、とても居心地がいいですね。インテリアや小物で遊び心を取り入れたいと思っているので、どんどん私たちらしい色を足していければと考えています。

白を基調としたナチュラルな空間に、アールの垂れ壁などがさらなるやわらかさをもたらす
白を基調としたナチュラルな空間に、アールの垂れ壁などがさらなるやわらかさをもたらす

住宅性能面は、こだわりを持っていましたか。

前職での経験から、家を建てるのであれば住宅性能も大事にしたいと考えていました。私たちがお願いした工務店の場合、ウレタンフォームによる充填断熱にLow-Eペアガラスの樹脂サッシを採用していて、標準でも長期優良住宅の仕様になります。さらに全熱交換型の24時間換気システムも備え、省令準耐火構造でもあったので、基本性能で十分だと思い、プラスアルファの依頼はしませんでした。

断熱材がぎっしり充填されている様子。完成すれば見えなくなる部分だからこそ丁寧に
断熱材がぎっしり充填されている様子。完成すれば見えなくなる部分だからこそ丁寧に

打ち合わせの過程で納得したポイントがあったら教えてください。

生活用品などをすべてまとめて収められる土間収納を大きく構えたいと思っていたので、玄関の隣につくりました。この土間空間を活用し、自転車や外遊びグッズなども入れられるように、外からも中からも入れる仕組みにしたかったのですが、それはセキュリティー的に良くないとのことでなしになりました。セキュリティーだけではなく、住まいの気密性も下がってしまうとのことで、確かにと納得しましたね。

プランニングの過程で、印象に残ったことはありますか。

打ち合わせ全体に関わる話になりますが、丸一日かかる打ち合わせが7〜8回あり、これがとても楽しくもあり、なかなか大変でもありました。こだわりたいだけこだわれるのが注文住宅の醍醐味。でもやっぱりその分いろいろな準備も必要なんですよね。家づくりって、想像していた以上に熱量が必要なことなんだなと改めて実感しました。

図面やサンプルなどを確認しながら打ち合わせ中のOさんご夫妻と、工務店のインテリアコーディネーターさん
図面やサンプルなどを確認しながら打ち合わせ中のOさんご夫妻と、工務店のインテリアコーディネーターさん

次回は、いよいよ「工事」の始まりです。少しずつ形づくられていく建物を見ていると、家づくりの実感が湧いてきますね。工務店との家づくりは、住まい手とつくり手の近い関係性をベースに、工事の途中でもさまざまなアップデートができるという柔軟性が魅力でもあります。Oさん宅がどのようにして完成したか、見ていきましょう。