地域の実情に合わせて 着実な対策が肝心

連載初のインタビューはいかがだったでしょうか?北海道で実際に住宅を施工・販売されている菊澤さん、藤城さんに直接おうかがいする中で、私は太陽光発電の有効性を十分に感じることができました。まず雪が多い地帯であっても、安全に設置する方法は確立しており、安心して太陽光発電設備を載せることができます。雪を落とさずに載せたままにするフラットルーフはもちろん、勾配屋根についても雪止めを適切に配置すれば、落雪やパネル損傷のリスクを防ぐことができるのです。

また雪が載っている時期は発電できなくても、1年間のトータルで見ると十分に発電ができ、初期コストを10年少しで回収できるという点も重要。パネルを壁付けで設置すれば、冬の発電も期待できます。

光熱費の対策に有効な、①建物の高断熱・高気密化、②設備の高効率化、③再エネの活用を、地域の実情に合わせて適切に組み合わせることが必要です。北海道が推進している「北方型住宅」においても、脱炭素のために強化された「北方型住宅ZERO」が提案され、その中では高断熱化とともに太陽光の活用も重視されています(図6)。

図6 脱炭素を意識した「北方型住宅ZERO」の取り組み
出展:北海道住宅のこれから~「ゼロカーボン北海道」の実現に向けて~

脱炭素、なにより光熱費負担の低減のためには、先入観にとらわれず、有効な手段を選ぶことが大事になっているのです。  

今回は、インタビューや実データを交えながら、寒冷・多雪地域での太陽光発電の実際を見てきました。光熱費の負担が特に厳しいこれらの地域で、先々の生活への支えが多くの家に備わっていくことを、願ってやみません。

 


最初のページへ戻る

【バックナンバー】
vol.001/断熱・気密の次の注目ポイント!蓄熱大研究
vol.002/暖房の歴史と科学
vol.003/太陽エネルギー活用、そのファイナルアンサーは?
vol.004/「湯水のごとく」なんてとんでもない!給湯こそ省エネ・健康のカギ
vol.005/私たちの家のミライ
vol.006/窓の進化
vol.007/断熱・気密はなぜ必要なのか?
vol.008/冬のいごこちを考える
vol.009/電力自由化! 電気の歴史を振り返ってみよう
vol.010/ゼロ・エネルギー住宅ZEHってすごい家?
vol.011/冷房を真面目に考えよう
vol.012/ゼロ・エネルギーハウスをもう一度考える
vol.013/冬の快適性を図る指標「PMV」を理解しよう!
vol.014/エネルギーと光熱費最新事情
vol.015/夏を涼しく暮らすコツを考えよう
vol.016/冬の乾燥感
vol.017/採暖をもう一度科学する
vol.018/ゼロエネルギー住宅ZEH、本格普及へ
vol.019/夏の快適性をエリアで考える
vol.020/Wh(ワットアワー)とW(ワット)で考える非常時のエネルギー
vol.021/窓こそ省エネ・快適の最重要パーツ
vol.022/職住近接は地球にも人生にも優しい
vol.023/未来の気候に備えた敷地選びと家づくり
vol.024/日当たりを考えた敷地と建物
vol.025/健康・快適なリフォームの3つのポイント
vol.026/在宅勤務の普及で家づくりが変わる!
vol.027/二世帯住宅とエネルギーの関係
vol.028/平屋づくりのポイントを考える
vol.029/住宅地での日当たりを考える
vol.030/住宅の脱炭素
vol.031/住宅の脱炭素 その2 
vol.032/断熱リフォーム
vol.033/祝!断熱の上位等級新設&窓の選び方
vol.034/電気・ガスの「燃料費調整」を理解しよう
vol.035/日本の夏のアブナイ蒸し暑さ
vol.036/急騰の続く電気代 今後どうなる?

※この記事の最新話はReplan北海道&東北の本誌でチェック!
バックナンバーは下記URLでご覧になれます↓
http://web.replan.ne.jp/content/bookcart/