「インテリアとしてグリーンを楽しみたい」と思っても、猫を飼っているお宅だと「この植物は猫が触ったりかじったりしても大丈夫だろうか?」「いたずらしたらどうしよう」などと心配事がいろいろあって、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。4歳の猫と暮らすリプランスタッフのタカトウさんもその一人です。

そこで今回は、ネコ好きのタカトウさんが「Flower Space Gravel 江別店」で、猫と植物との安全・安心な生活のために気をつけたいことや、猫のいる暮らしと相性の良いインテリアグリーンなどについて、同店スタッフの勝田彩加さんにうかがいました。

江別蔦屋書店内の「暮らす」の棟の一角にある「Flower Space Gravel 江別店」
江別蔦屋書店内にある「Flower Space Gravel 江別店」。暮らしの棟の一角にあり、カフェも併設している
店内外には、植物園のようにたくさんのグリーン
どれも生き生きとして、魅力的

猫と一緒に観葉植物を育てても大丈夫?

タカトウ 私は「ごまちゃん」という猫を1匹飼っていまして仲良く暮らしているんですが、植物全般も大好きで、家にいくつかインテリアグリーンを置いたり、切り花を飾ったりしています。ただ常々気になっていたのですが、そもそも猫と観葉植物は、一緒に育てていいのでしょうか…。

勝田さん 正直なところ、獣医さんはやはり「置かないほうがいい」と言いますね。猫は肉食動物なので、草食動物や雑食動物とは体のつくりが違っていて、植物に含まれる毒を解毒する力が弱いそうです。だから、犬が食べてOKな植物でも猫にはNGということもあります。観葉植物、切り花も含めて猫が食べないほうがいい身近な植物は、実は700種類くらいはあるんですよね。

タカトウ 700種類も!そんなにあるんですか…。

勝田さん そうなんです。タカトウさんの家にはどんな植物があるんですか?

タカトウ ドラセナとモンステラです。それこそ気になってインターネットで調べたら、ドラセナには猛毒があるって検索結果が出てきました。

勝田さん ドラセナは葉にけっこう強い毒性があるので、気をつけたほうがいいです…。ごまちゃんは植物に興味がありそうですか?

観葉植物として人気のドラセナ
種類が豊富でさまざまな葉のかたちがある

タカトウ 普段はそんなに興味なさそうです。ただこの前、ドラセナに花が咲いたときは興味津々でした。花から汁がいっぱい出たり、咲き終わりに花びら全部がばーっと落ちたりと動きがあったせいか、気になって触っていたみたいです。

勝田さん いつもと違う様子で匂いも強かったので、きっと気になったんですね。ドラセナの花に毒性はないようなので問題ないと思います。モンステラはそれ自体に毒性はないですが、葉も茎も大ぶりな植物だから、そもそもあまり興味を示さないのでは?

タカトウ 確かに葉が大きいものほど興味を持たないかも…。

普段は植物に無関心なごまちゃん

勝田さん 葉が大きい植物は「食べものではない」と見なして関心がないのかもしれません。葉が細くて揺れやすい植物は猫じゃらしっぽく見えて、興味を持つ傾向が強いようです。あとは、花が咲いて匂いがするなど、普段と違う状態になると気になります。ドラセナは、ごまちゃんが近づかないスペースに置いたほうがいいですね。

タカトウ たまに鉢の中の土を触っていることがありますが、土は大丈夫なんでしょうか?

勝田さん 土そのものに危険は少ないですが、肥料には注意してください。体内に入れると有害な化学肥料もありますから、ホームセンターやスーパーなどで口に入っても害のない有機肥料を選ぶとよいです。「幼児や動物に安全」と大きく表示されているものも多く、わかりやすいと思います。

ごまちゃんは、ときどき土を触ることもある

安全かどうかは「科名」で調べるのがおすすめ

タカトウ 切り花も好きでよく飾るのですが、花によってはごまちゃんがすぐに食べようとするんです。特にラナンキュラス、ガーベラ、カスミソウなどへの食いつきがすごいのですが、毒性はどうなんでしょう。

勝田さん ガーベラは大丈夫ですが、ラナンキュラス、カスミソウはNGですね…。皆さん、季節を感じられる花を飾りたいでしょうが、安全なものだけを猫ちゃんとの共有スペースに飾って、他は確実に手の届かない場所や、猫ちゃんが入らない部屋に置くといった工夫が必要です。

タカトウ …となると、うちの場合、お花を飾れるのはもうトイレしかない?(笑)

勝田さん トイレって涼しいので切り花が長持ちしますから、それもありかもしれません!トイレでお花に癒やされて、部屋では猫ちゃんに癒やされて(笑)。

タカトウ 切り花も含めて、猫にとって危険な植物には他にどんなものがありますか? うちの猫はユリ科の花も気になるようです…。

勝田さん ユリ科は危険ですね。花粉に毒性があって、嘔吐とか脱水症状、視覚障害、急性腎不全を起こすリスクがあります。

タカトウ それは…かなり怖いですね。気をつけます…。

ガーベラは安全
ユリは危険

勝田さん 葉にトゲがある植物も危ないですし、葉先が鋭い植物は目を傷つけてしまう恐れもあります。葉や幹にキズがついたときに液体やゲル状の物質が出やすい植物も避けたほうがいいです。

例えば「ゴムの木」の樹液は、人間でも肌が弱い人が触れるとかぶれることがありますよね。もし、にじみ出た樹液が猫ちゃんの毛に付着して、毛づくろいでなめてしまったら間接的に口に入ってしまう可能性もあります。人間にとってよくないものは、猫ちゃんにもダメなんです。

タカトウ ダメなものがどんどん出てきちゃいますね。

勝田さん そうですね。猫ちゃんの安心や安全を考えると、置けるものは限られてしまいます。それでも、家に入れる植物の安全性は逐一調べた方がいいです。

葉先が鋭い植物や
ゴムの木など樹液が出やすい植物は注意が必要

タカトウ ネットで調べたときに、知りたい答えが出てこないこともけっこう多くて…。

勝田さん それ、わかります!特に安全性を確認したいときは、花の名前ではなくて「科名」で調べるといいですよ。例えば、「ラナンキュラス 猫 安全」で調べてうまくいかなかったら、まずラナンキュラスが何科かを調べる。それから「キンポウゲ科 猫 安全」と調べると、知りたい答えが出やすいです。それに科が同じなら、毒性などの特徴は共通です。

タカトウ なるほど、良いことを聞きました!いただきものなどで、花の名前が分からない場合はどうしたら?

勝田さん そういうとき、私たちは「Googleレンズ」を使っています。写真から判別できるのでかなり便利ですよ。先ほど言ったように猫ちゃんにとって危険な植物は700種類もありますので、ぜひ飼い主さんは植物を買う前に調べていただけたらと思います。本当にペットの健康や命に関わることですから。

「トゲトゲシート」や「木酢液」で安全対策を

タカトウ 猫がいても安心して置ける観葉植物というと、例えばどんなものがありますか?

勝田さん モンステラやパキラは大丈夫ですね。あとヤシ系のものやエバーフレッシュ、ガジュマルも。インテリアとしても素敵で比較的育てやすいですし、毒もないので安心して置けると思います。

タカトウ エバーフレッシュ以外は、幹ががっしりしていて「木」という印象ですね。

勝田さん 全体ががっしりして葉が上の方にまとまっていたり、葉のサイズが大きめだったりすると、猫ちゃんが食べものやおもちゃと見なしにくい、ということはありそうです。

例えばパキラや
エバーフレッシュ、
ガジュマルは安心して置ける植物

タカトウ 猫と植物が安心して一緒に暮らせるためのコツや、いたずら対策などを教えていただけますか?

勝田さん 鉢は陶器などの比較的重いものにすると、猫ちゃんがいたずらしても倒れにくいと思います。鉢の中に入るのを防ぐには、土の上に「トゲトゲシート」を敷く対策がおすすめです。土に直接触れなくなりますし。

タカトウ トゲトゲシートはカットして敷くのですか?

勝田さん 鉢のサイズに合わせて幹の部分をくり抜くような形にカットします。大きめの鉢で上部にゆとりができるよう土を入れてトゲトゲシートを敷けば外側からシートが見えないので、インテリアとしての見た目も悪くなりません。格子状なので、そのまま水やりして大丈夫です。

水やりのときに霧吹きで適切な濃度に薄めた木酢液をかけておくのも効果的です。猫ちゃんが嫌う臭いなので、植物に寄りつきにくくなります。植物に悪影響はないですし、虫除けにもなります。

勝田さん あと、生けた切り花によっては、水に毒が溶けだしていることが考えられるので、花瓶を倒したり覗き込んで水を触ったりしないように気をつけてあげてくださいね。

タカトウ ごまちゃんはお水も好きなので気をつけます。でも万が一、猫ちゃんが危険な植物を口にしてしまったらどうしたらよいですか?

勝田さん 猫ちゃんが毒性のあるものを口にした場合、1時間が勝負といわれているので、1時間以内にかかりつけの獣医さんを受診してください。吐かせるとか水をたくさん飲ませて排泄させるとかして体内に入った毒を出させるのが重要ですが、とにかく時間が勝負なので、大至急獣医さんにかかるのが第一です。

人間・猫・植物の個性を考え、バランスよく

タカトウ 犬やウサギなど、猫以外のペットも同様に気をつけた方がいいですか?

勝田さん 犬は雑食、ウサギは草食で、それぞれに内蔵の機能が違って解毒する力が猫より強いとはいわれていますが、やはり毒性の強い植物は猫以外の動物にとっても危ないです。

ただ人もそうですが、体質的に強い子もいれば弱い子もいます。好奇心の強さもそれぞれですよね。個体差があるので、何が大丈夫で何がダメなのかは、なかなかひと括りにはできません。

タカトウ それぞれの個性に合わせて、注意する必要があるんですね。

勝田さん やはり飼い主さんが飼っている動物の個性を踏まえつつ、できる限りの安全対策をとっていくことが一番大事だと思います。分からないことはお店の人に遠慮なく聞いてください。

猫ちゃんにとって危険な毒やトゲも、植物にとっては身を守って生き抜くために必要なものです。安全に気をつけながら、人間と動物と植物が上手にバランスをとって、気持ちよく暮らしていけたらいいのではと思っています。

取材協力/Flower Space Gravel http://gravel-4187.com

※札幌本店は2022年8月〜改装のためにしばらくの間、閉店しています。
 詳しくはホームページでご確認ください。

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