風呂釜・湯沸器からシステムへ給湯機変遷の歴史

昔は給湯機といえば、風呂にはガス釜・台所にはガス湯沸器というように、お湯が必要なところに小型の給湯機を置く「局所給湯方式」が定番でした。こうしたガス釜・ガス湯沸器の中には、燃焼時に必要な給排気を室内から取っている機種が多くあります。台所のガス湯沸器はコンパクトに見えますが、ガスの燃焼量は10kWとファンヒーターの倍以上(図5-2)。不完全燃焼の対策はされているとはいえ、やはり給湯機は外置きが安心・安全です。

図5-1 H25年省エネ基準における給湯機の省エネ効果(1次換算)
図5-1 H25年省エネ基準における給湯機の省エネ効果(1次換算)
温暖な6地域4人世帯において、従来型ガス瞬間式(27.6GJ/年)からの省エネ効果をまとめました。冷房の1次エネが5GJ/年程度であることを考えると、高効率給湯機の採用は、非常に大きな省エネ効果があることが分かります。
図5-2 給湯機はパワフル。置くのは外に
図5-2 給湯機はパワフル。置くのは外に
以前の給湯設備は、台所には「湯沸器」、風呂場には「風呂釜」が普通でした。こうした機器の中には吸排気を室内で行う「開放型」が依然残っていますが、給湯は暖房に比べてもパワーが大きく、古い機器を長時間使っていると一酸化炭素中毒などの危険が高くなります。安全装置を過信せずに、外置きに置き換えることが肝心です。

こうして給湯機を外置きにして浴槽や水栓と配管で接続したものを「住戸セントラル方式」と呼びます。こうなってくると、給湯といえど立派なシステムです。省エネのためには、給湯機・配管・水栓をセットで考えることが肝心です(図6)。

図6 給湯はシステムで考える
図6 給湯はシステムで考える
現在の住戸セントラル給湯は、結構複雑なシステムを構成しています。給湯機・配管・水栓のそれぞれをきちんとケアすることが肝心です。あわせて浴室・脱衣室の温熱環境への配慮をすることが快適な水まわり空間につながります。

給湯戦国時代!全ての始まりは2001年から

「住戸セントラル方式」が普及しても、しばらくはガス・石油給湯機かヒーター式電気温水器のいずれかを選ぶしかありませんでした。機能が多少異なるくらいで、エネルギー効率はどれも低かったのです。

この状況が大きく変わったのは、ずばり2001年です。この年にヒートポンプ電気給湯機「エコキュート」が登場しました。その前年には潜熱回収型ガス給湯機「エコジョーズ」が登場。給湯機のエネルギー効率が一気に向上したのです。その後、2003年にはガスエンジンコージェネレーション「エコウィル」、2009年には燃料電池「エネファーム」まで登場し、まさに戦国時代に突入していきます。

図5-2に、平成25年に新しく制定された住宅省エネ基準における、各給湯機の省エネ効果を示しました。この基準では冷房の標準的なエネルギー消費が年間4GJ程度ですから、エコジョーズにするだけで冷房を全てチャラにしてお釣りがきてしまいます。他にも、より大きな省エネ効果がある給湯機がたくさんあり、まさに選り取り見取り。なおヒーター式電気温水器は貴重な電気を生焚きしてしまうため、1次エネ換算では破滅的でまさに「ダメ絶対」です。1次エネの詳細は連載2回目を参照ください。

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