5月15日、ヘルシンキの公園で開催された、HANAMI JUHLA(ハナミ ユフラ)というイベントに行ってきました。日本語にすると、「花見大会」です。
ヘルシンキで桜の名所といえば、ここ「ロイフヴオリ桜公園」です。ヘルシンキにある東京館(日本の食料品、食器などを扱う店)のオーナー、冨田 憲男さんが、ヘルシンキ住民が花見を楽しめるようにと発案したのが始まりです。
フィンランド在住日本人や日本企業などから桜の木の寄付を募り、152本の桜が公園に植えられました。そしてその後も植樹が続けられています。第一回のHANAMI JUHLA (ハナミ ユフラ)は2008年に行われました。
会場には、立派な鯉のぼりが空にたなびいていました。たくさんのブースが出ていて、日本の焼きそばや大判焼き、スナック菓子、ラムネなども売られています。茶道の体験ブースもありました。お花見だけではなく、日本の文化を広く伝えるイベントです。
余談ですが、大判焼きのブースは長蛇の列で、30分以上並びました。フィンランドではなかなか食べられない「あんこ」と決めていたのに、私の番が来たときにはすでに売り切れでガッカリ…。代わりに「ブルーベリージャム」という、フィンランドらしい味を楽しみました。
会場内は、桜の写真を撮ったり、桜の下でピクニックを楽しむ人たちであふれていました。この様子から、フィンランドでのHANAMIの人気ぶりがお分かりいただけると思います。これまで何度か参加していますが、毎年人が増えているように感じます。
その中で目が釘付けになったのが、こちらのフィンランド人の女性グループ。全員着物を着ています。
皆さん正座姿が美しいです。日本人にとっては当たり前の正座ですが、フィンランド人にとっては簡単ではないのです。聞いたところ、やはり練習したそうです。着物にムーミンのエプロンが、フィンランドらしいですね。
聞けば、彼女たちはヘルシンキから約180㎞も離れたトゥルクという街から、お花見のためにはるばるここへやって来たのだそう。
「2013年に1ヵ月間日本を旅をして、そのときに初めて着物を買いました。滞在したホテルの隣が、偶然着物を売っているお店だったのです。それから10年かけて着物を集めてきました。着物の着方は、DVDを購入したり、YouTubeで見たりして研究しました。今日は集めた着物を友達と一緒に着ています。私たちが暮らすトゥルクにはほとんど桜がないので、ヘルシンキまで来ました。ぜひ参加したかったんです。」
日本の着物をこんなにも愛し、遠く離れた街から足を運んで、桜のお花見を楽しんでいる彼女たちに感動してしまいました。
さて2012年からスウェーデン、2013年よりフィンランドからReplanの誌面とウェブサイトでお届けしてきました「北欧fika」ですが、今回が最終回となります。「fika」とはスウェーデン語で「コーヒーブレイク」の意味。皆さまが海の向こうを感じられるちょっとした休憩時間になっていたなら嬉しいです。長い間読んでくださり、本当にありがとうございました。