家族や働き方の変化に伴って、「キッチン」に求められる機能も変化しています。さらに、おうちでご飯をつくって食べる機会が増え、キッチンの役割を考え直している人も多いのではないでしょうか。住宅雑誌『Replan北海道vol.134』(2021年9月28日発売)では巻頭特集「いまどきキッチン」で、さまざまな暮らし方のご家族が求めたキッチンのかたちをご紹介しています。

今回は、本誌特集内に掲載された住宅を設計した建築家の方に、誌面に掲載されたお宅をはじめとした住まいにおけるキッチンの位置づけや暮らし方の変化について、コメントをいただきました。


ヒノデザインアソシエイツ
日野桂子さん

設計者として、キッチンと家全体との関係性についての考え方は、時代を経ても変わっていません。今回の物件同様、お子さんの宿題の場所を兼ねたダイニングテーブルや、その近くにカウンターなどを設けるというプランは以前から多くありました。ただ、キッチンの隣に3人のお子さんが一列に座れる一つの部屋を設けたのは初めてです。

時代とともに変わったのは、住む人々の親子関係、夫婦関係だと思います。共働き世帯が増え、家事を手伝うご主人も増え、今の子育て世代は家族が一緒に過ごす時間をとても大切にしています。キッチンはお母さんだけが使う場所からお父さん、お子さん、来客とみんなが使えるキッチンに変わってきたのだと思います。皿を並べたり、盛り付けしたり、片付けをしたり、自分の飲みたい物を自分で出したり。行き止まりのキッチンではなく、ぐるりと回れるプランだとそれぞれがやりたいことができて、お手伝いもしやすくなります。

今回の物件のキッチンはシンクの列とクッキングヒーターの列で2列になっています。このようなタイプのキッチンはシンクとクッキングヒーターの間を横移動ではなく回転移動で使用します。野菜などをシンクで洗ってその隣で切って、トレーに並べて、半回転してクッキングヒーター側に置いて、炒めたり煮たりするという動きです。一人でも作業しやすいですが、役割分担しながらの調理はこのタイプのキッチンが使いやすいと思います。

最近のキッチンで変わったところというと天板です。以前はステンレスや人造や人工の大理石が多かったのですが、今は予算を問わないのであれば、断然セラミックがおすすめです。丈夫で傷が付きにくく、熱にも強いセラミックの天板は機能面で優れているといえます。柄が豊富で、デザイン面においても一段グレードアップしたキッチンを製作できます。作業性とメンテナンスが楽な材料で、耐久性もあるので一生使える天板といえるでしょう。今後たくさんの人が使うことで、国内でも安価になって市場に出やすい材料になってくれることを願います。


Replan北海道vol.134の巻頭特集「いまどきキッチン」では、実際に家を建てた人の暮らし方とキッチンに求めたもの、その使い方を事例を通じて紹介しています。キッチンを快適に使いこなすための収納のコツなどもお伝えしていますので、ぜひご覧ください。

Replan北海道 vol.134
2021年9月28日(火)発売

北海道内の主な書店やコンビニのほか、
Replanの販売ページamazonfujisan
オンラインでもご購入いただけます。