北海道・東北の豊かな暮らしといい家を紹介しているリプラン。その地域性もあって、農業を営むご家族のお宅を取材することも多くあります。農業に携わるご家族の家には、仕事や暮らしを快適にする農家住宅ならではの工夫やアイデアがいっぱい。そこで今回は特に、農家住宅でよく見られる作りや間取りの特徴を3つご紹介します。
間取りの特徴1/玄関が2つある
みなさんは、農家住宅と一般住宅の一番の違いは何だと思いますか。それはおそらく玄関でしょう。家族や来客が使う「表玄関」と、作業用として使う「裏玄関(農家玄関)」の2つの玄関があるのが定番です。
この2つの玄関は、横並びの場合もあれば、異なる場所に配置している場合もあり、敷地条件やプランによって形はさまざまです。それぞれ用途が違うので、求められる広さや機能性も異なります。また、いずれの玄関からも室内へのアクセスがスムーズで、使いやすい動線を考える必要があります。2つの玄関を機能性を上手に引き出すことが、農家住宅のプランニングのキモだといえるでしょう。
間取りの特徴2/裏玄関に水まわり機能と豊富な収納
裏玄関は、農作業から帰ったときに使う場所。汚れを落とし、清潔な状態で家の中に入れるようにするのが、もっとも重要な役割です。そのためほとんどの農家の裏玄関には、洗濯や洗面に使える専用の流し台が設けられています。そのスペースが取れない家では、住宅の水まわり機能と直結させるケースもあります。
また同時に「収納」も大切なポイント。仕事で日常的に使う作業着や靴、道具などを使い勝手良くしまえるよう、たっぷりとした収納スペースを確保しているのも農家の裏玄関の特徴です。
間取りの特徴3/農家住宅では当たり前!の事務スペース
在宅勤務の急速な普及で、ワークスペースへの興味・関心が高まっている昨今。農家さんは外作業のイメージが強いですが、実は書類作業もたくさんあります。実際、農家住宅を取材をすると、事務作業や書類を保管しておく専用のスペースを設けている例をよく見ます。
農家ならではの事務スペースのポイントは、家の周りに広がる美しい田園風景を作業中にも楽しめるよう、大きな開口部を設けているという点でしょうか。季節や気候で移り変わるありのままの景色は、忙しい毎日の心の癒やしになりそうです。今は、家族が日常的に使いやすい空間にワークスペースとして事務スペース機能を兼ねた例も多いですね。
広い敷地、職住近接の暮らし方、要求される間取りなど、農家住宅は私たちが考える一般的な家づくりとは少し条件が異なる部分もありますが、玄関スペースの広さ・機能性、水まわりとの距離感など、一般住宅に生かせる工夫も多々あります。プランを検討する際は、自分たちの違うライフスタイルの事例も含め、さまざまな角度から家づくりのエッセンスを得てみてはいかがでしょうか。
(文/Replan編集部)