「奥さんの希望ではじまった、充実の薪ストーブ生活」でも書いたように、「薪ストーブ=熟年男性の趣向品」はひと昔前の話。奥さんのほうが率先して薪ストーブを希望するケースも少なくありません。
その理由の一つとしてあげられるのが、「せっかく薪ストーブを設置するなら、料理もしたい」という実用的なもの。シチューをコトコト煮込んだり、パリパリのピザを焼いたり、クリスマスにはチキンの丸焼きをしてみたり。室内を暖めながら、調理もできるという薪ストーブはまさに一石二鳥の暖房機器。今回は、ストーブクッキングの楽しみを取り入れた住まいの例をご紹介します。
料理の得意な薪ストーブが、住まいの主役
本来、壁側に設置することが多い薪ストーブですが、Sさん宅では玄関から続く広い土間の真ん中に置かれています。暖気の循環を促す仕切りのない大空間の主役となるのは、ストーブクッキングの王道とされる「バーモントキャスティングス」の大型薪ストーブ。広々とした天板、炉内、灰の落下を防ぐ工夫を施せば灰受皿もオーブンとして使えるなど、3つの調理スポットを持つ優れものです。
両サイドに取り付けた保湿棚では飲み物や料理の保温も可能。温かい飲み物や、焼き上がったオーブン料理、煮込み料理をダイニングに運んで、おいしい食卓を満喫できます。料理上手な薪ストーブを住まいの主役にすると、まるで第2のキッチンのように活躍できますね。
リノベで、念願の薪ストーブクッキング
リノベーションを機に、家族がくつろぐLDKに「morso」の薪ストーブを設置したIさん宅。保存食づくりをはじめ日々の食に手間暇を惜しまない奥さんは、薪ストーブクッキングにも積極的に挑戦しています。休日にはお子さんたちと生地をつくり、家族でピザを焼いて楽しむことも。
リノベで内装を一新し、温熱環境も改善。薪ストーブも入って居心地の良さを増したリビングに、自然と家族が集う時間が増えました。キッチンとの行き来もしやすく、薪ストーブを使った料理のレパートリーがどんどん増えそうです。家での楽しみが広がりますね。
リビングの土間にクッキングストーブ
アウトドア好きのIさんご一家は、「薪ストーブとカヌーのある暮らし」に憧れて、横浜から旭川に移住。念願の薪ストーブは、土間仕上げにしたリビングの一角に設置しました。この土間は薪の運び入れがしやすいよう、薪棚のある庭への出入り口を備えています。
Iさん宅で採用したのは、直線的な美しいデザインが目を惹くデンマークのメーカー「HWAM(ワム)」のクッキングストーブ「Classic 4」。ストーブクッキングに特化したオーブン付きの薪ストーブで、シーズン中は主暖房と調理の二役を担う大活躍ぶり。設置場所を薪の欠片や灰などの掃除がしやすい土間にしたり、薪運び動線を考えて薪ストーブを配置したり、利便性の高い間取りプランが、快適な薪ストーブの暮らしをアシストしてくれます。
キッチンの一部として機能する薪ストーブ
ストーブクッキングを本格的に楽しむためには、キッチンとの動線や位置関係までしっかりと考えることが大切です。Yさん宅はスペインの薪ストーブメーカー「ヘルゴン」のクッキングストーブ「DEVA 75」の採用を決めたことにより、予定していたアイランド型のシステムキッチンから業務用の壁付けキッチンに設計を変更。
実際に使ってみると思った以上に使い勝手が良く、重宝しているというYさん。「暮らしの中心がリビングではなく、ダイニング・キッチンになりました」と笑います。薪ストーブは、室内を暖める役割を果たしながらも、キッチンの一部としてしっかりと機能しています。
石窯で焼くようなピザができたり、時間をかけてコトコト煮込むことで具材をとろけるようにやわらかく仕上げたり、薪ストーブは優秀な料理人。燃焼室と別にオーブンやグリルが設けられたクッキングストーブなど、調理することを前提とした優れものの機種も多数あります。
また鋳物製の鍋など、使用する調理器具もオシャレなものが多く、ストーブクッキングは、今まで料理があまり好きじゃなかったという人の心までもくすぐります。アウトドア好きなご家族なら、キャンプで使うスキレットやダッチオーブンが使い回せるのも魅力ですね。
心と身体を癒してくれる薪ストーブ料理は格別。厳しい冬の到来が待ち遠しくなるような、美味しくて豊かな食卓づくりをぜひ楽しんでみてください。
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