家づくりで建材や設備を選ぶときに、迷いの種になるのが「色」。情報収集をすればするほど、自分の家をどんな色やトーンでまとめたらいいのかわからなくなってしまう…なんて声も耳にします。そこで今回はインテリアコーディネーターの本間純子さんに、家づくりに役立つ「色」についての基礎知識を教えていただきましょう。
日常的に受け取る全情報の
約60%が「色」の情報
私たちは日々、光や音、匂い、手触りなどから情報を得ています。 その中で最も多いのが「目」からの情報。全情報の約90%を占め、さらに その70%が「色」の情報と考えられています。つまり、私たちが受け取る全情報の60%ほどが「色」によるものということになるのです。
インテリアコーディネートは、商品の機能のほか、色や素材、柄などを総合的に判断して選び出し、調整する作業ですが、一般的には「色を選ぶ仕事」と思われているところがあります。色の情報量が多いので、インテリア材料の色を選んでいるように捉えられているのかもしれませんね…。
色の基本要素は
「色相」「明度」「彩度」
赤・青・緑などの色味の違いを「色相」といいます。「色相」は色の性質の一つ。赤から紫までの色を順に並べ、赤紫を加えて環状にした ものが色相環です(図1)。
またそれぞれの色には明るい色もあれば、暗い色もあります。この明るさの度合いのことを「明度」といいます。明るい色は「明度が高い」、暗い色は「明度が低い」といい、明度が高いほど「白」に、明度が低いほど「黒」に近づきます。
もう一つの性質として鮮やかさの度合いを表す「彩度」があります。図2は縦方向に「明度」の軸、横方向に「彩度」の軸をとり、色調順に並べた赤色のグループです。右に行くほど鮮やか=彩度が高く、赤の色味を強く感じます。
鮮やかな赤色は、白やグレー、黒を混ぜることで彩度の低い鈍い色になり、色味が薄れます。床・壁・天井・建具などの内装材の色はブラウンやベージュ、アイボリーが多いですが、これは「彩度が低めのオレンジ色のグループ」に属します。ちなみに白やグレー、黒は「無彩色」といい、「色相」と「彩度」がないのが特徴です。
「 色」の役割とは?
「伝える色」と「感じる色」
私たちの周囲には「情報や意味を正確に伝えるため」の色があります。例えば、信号機や交通標識の色がそれです。 また洗面所の水栓カランに使われている水の青やお湯の赤、炊飯器のスイッチの橙や黄なども「伝える色」ですね。
一方、インテリアでは「伝える色」はほとんどありません。その多くは特別な情報や意味が含まれない「感じる色」です。「感じる色」は、人の感覚に直接働きかけてきます。「温かみ」「広がり」「圧迫感」などを無意識に感じ、心理に作用します。また色によって「高揚する」「安らぐ」「落ち着く」といった心理的効果が生まれます。
では、どのような色彩が、どのような心理的作用をもたらすのでしょうか。これについては、次の記事でご説明したいと思います。
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