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Q 戸建基礎のひび割れについて
質問者/兵庫県・こうたろう
記事No.14061/カテゴリ:工事ミス・トラブル
木造戸建ての基礎天端にひび割れが発生しています。コンクリート打設後から発生しており、調査会社の報告書から沈降ひび割れとされています。発生箇所も大小含めて50箇所と多く、最大のひび割れ幅は1.4ミリとなっています。その他のコンクリートの圧縮試験や地盤調査の結果も問題ないとされています。今後は補修で対応すると言われていますが、本当にそれで良いのか不安です。
補修はひび割れ幅によって注入工法、充填工法で行うとのことです。ただ、ひび割れ幅は調査していますが深さが調査できていません。天端幅が狭くできないとのことでした。補修を行う際にひび割れが鉄筋に到達しているかわからないまま上記の注入工法、充填で補修しても良いのでしょうか?
現在の基礎の状況は型枠の状態で約2ヵ月止まっています。
A-1:回答者/一級建築士事務所(株)北工房 代表取締役 栃木 渡
ご心配と思います。クラックが構造的に阻害要因と言われるのは、そのクラックから湿気や水分が浸入し、鉄筋を錆びさせる→鉄筋が腐食する要因となるということで、そのヒビ割れの部分からパキンと折れる、ということではありません。コンクリートの役割は主に、上からの荷重に頑張ることで、それは圧縮強度が確保されていれば、極端な言い方ですが、そこにコンクリートがあれば、それでOKということになります。
また、築後数年経過しているということであれば、基礎に無理な力がかかった症状としてクラックが発症しますが、今回は、沈降クラック(打設後すぐに発症)ということですので、その心配はないようです。補修はあくまでも、水分が浸入しないよう……という主旨ですから、相応の方法で補修してもらってください。
クラックが表面に見えてきてしまっているので、ついつい心配してしまいますが、実は、表面がとても綺麗な基礎でも、内部はクラック(正確には鉄筋とコンクリートの密着していない部分)が、多数あるであろうことは、容易に想像できます。それも、ある程度施工上許容されるもの(正確には不着応力といいます)として、想定内です。ですから、クラックの深さがどこまであるかは、さほど心配しなくていいでしょう。
余計な心配をさせるようですが、コンクリートの内部は、打設時に巻き込んだ空気で、小さな気泡だらけのはずです。決して密実に充填されてはいません(密実な方がより良いのは当たり前ですが)。
まずは、ちゃんと補修していただいて、今後は、経過観察ということでよろしいんじゃないでしょうか。
質問者より
栃木様、回答ありがとうございます。追加で質問させてください。
ひび割れが鉄筋に届いていた場合の鉄筋の腐食ですが、打設から2ヵ月間ブルーシートをかけていますが、今から補修すれば大丈夫ということでよろしいですか? これまでに多少水分が侵入していても今後の侵入を抑えるために補修するということですか?
よろしくお願いします。
A-2:回答者/一級建築士事務所(株)北工房 代表取締役 栃木 渡
>これまでに多少水分が侵入していても今後の侵入を抑えるために補修するということですか?
そうですね。コンクリートは超アルカリ性です。信じていただけないかもしれませんが、多少錆びた鉄筋も、コンクリート中で水分と空気が遮断されれば、錆がなくなります。少なくとも、今以上に錆は進行しません。
>打設から2ヵ月間ブルーシートをかけていますが、今から補修すれば大丈夫ということでよろしいですか?
そうですね。仮に、錆が発生していても、恐らく、まだ表面にごくわずか浮き錆が出ている程度でしょう。もしも、こんなことで工務店さんともめて悪戯に時間が経過しているようでしたら、「余計な心配せずにとっとと、補修して貰いなさい」……と、いうことです。
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