「nLDK」がすべてじゃない

家づくりを考え始めるとなると、「一体どんな間取りが自分たちの暮らしにふさわしいんだろう?」って悩みますよね。間取りというと、「3LDK」とか「4SLDK」といった表記がおなじみですが、リプランでご紹介している住宅の多くは、そういった一般的なかたちに収まっていません。

とてもわかりやすい例を挙げるとすると、例えばこちらの間取り。

リビング・ダイニングが中心の間取り

真ん中にリビング・ダイニングを据えて、まわりをぐるりと土間で囲み、その土間にさまざまな部屋の機能をもたせています。敷地条件に加え、「自然に恵まれた環境でゆったりとした気持ちで過ごせること」「子どもがのびのびできること」「家族が仲良く暮らせること」というご家族の要望をかたちにしたら、こんなかたちが生まれたといいます。

このように今や家づくりにおいて「nLDK」という考え方に囚われる必要はあまりなくて、重要なのは「自分たちの暮らしに合う間取り」だといえるでしょう。となると、どんなふうにその「かたち」を導き出せばいいのか?いきなり間取り集を見たり、間取り図を描こうとするのはNG。まずは今の暮らしを丁寧に見つめ直して、「家族の要望を整理する」ことから始めます。

天井の高いLDK
LDKと高さがフラットな広い土間の玄関も、部屋の一部のような存在として使える

間取りやプラン集を見る前に、
まずは家族それぞれの要望を整理

新しい家をつくるということは、同時に「新しい暮らしをつくる」こと。家づくりをきっかけに、それまで暮らしていた住まいで足りなかった点や不自由だった箇所を改める絶好のチャンスです!まずは今の家で不便や不満に感じていることを家族みんなで出し合って具体的にリストアップし、どうなるのが理想か話し合ってみましょう。

例えば――

・家族の靴が下駄箱に入りきっていなくて、いつも玄関がごちゃごちゃしてる
・朝の支度で洗面所が狭くて混み合うのをなんとかしたい
・お父さんは趣味に没頭できる書斎がほしい
・家族の気配を感じながら、ごはんの支度をしたい 等々

この際、後々後悔しないためにも、予算などの現実的な部分は一旦脇に置いて、本当に望んでいることを話し合うのが肝心です。今の家の現状把握をして、家族それぞれの要望が揃ったら、次はそのリストの要望に優先順位付けていきます。

この一連の作業をしてプランニングの相談に望めば、希望する内容と優先順位がクリアになっている分、打ち合わせがスムーズに進みますし、その後家づくりが具体的に進んでいく過程で、やむを得ず希望を取捨選択する場合の指針としても活きてきます。

敷地条件はもとより、家族の個性や暮らし方の数だけ間取りがある

「家族の要望の優先順位リスト」が
プランニングで大事な3つの理由

では、なぜ間取りやプランを考える際に「家族の要望の優先順位リスト」が必要なのでしょう?それには次の3つの理由があります。 

①空間の使い方や広さが明確になる!
「キッチンは家族みんなで使いたい!」「ゆったりできるお風呂が夢」「洗面所には大きい鏡が2つ欲しい!」「玄関に土足のまま入れる大型収納があると便利」といった家族それぞれの要望の中には、空間の使い方や広さについての情報が入っているはずです。優先順位付けすることによって、空間をどう使いたいのか、どのくらいの広さが必要なのかが分かり、間取りの骨組みが見えてきます。

②必要な空間と不要な空間が分かる!
家族の要望リストをつくってみると、絶対に必要な空間と、小さくてもいい、または無くても良さそうな空間が見えてきます。本当に必要な空間を中心にプランニングをスタートすることで、家族にとって無駄な空間のない満足度の高い家になります。

③「nLDK」に縛られない自由な間取りが実現できる!
家族の希望を「見える化」することで、はじめにお話しした「nLDK」に囚われない間取りができて、家族みんなが望むプランになります。ときには斬新な間取りや思いもよらなかったプランが生まれたりと、家づくりが想像以上に楽しいものになるでしょう。

大きなテラスと窓のある空間
リビングとのつながりを考えて設計された大きなテラスも、生活空間の一部

自分たちの要望や、今の暮らしの実態や家族の将来像を丁寧に見つめ直すと、意外と「こういうのが普通だから」というなんとなくの思い込みで間取りを考えていたことに気づくかもしれません。インターネットや雑誌で紹介されている実際の間取りやプランはもちろん参考になりますが、まずは家族で理想の住まいについて語り合うことから始めて、自分たちの家にふさわしい間取りを見つけてくださいね。

(文/Replan編集部)

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