先日の台風15号によって、千葉県南部の住宅では甚大な被害が出ていますが、日々の暮らしの場であり大切な資産でもある住宅が自然災害でダメージを受けた際に、大きな助けとなるのが火災保険と地震保険です。すでにご承知の方も多いとは思いますが、今回はこの2つの保険についてご説明します。


火災保険の補償範囲は?加入方法は?

ローンを使って住宅を取得された場合、火災保険に加入しなければなりません。火災保険に加入されている方がほとんどだと思いますが、その火災保険の内容はご存知でしょうか?住宅の火災保険で保険金が支払われる事故は、火災だけとは限りません。住宅に関する事故の多くが対象になっていて、意外とその補償の範囲は広いのです。

保険会社や商品により違いはありますが、次のような事故を補償対象としているものが主流です(※1)。

火災・落雷・破裂・爆発
風災・ひょう災・雪災
水災
盗難(住宅が保険対象の場合は、ガラスの破損など盗難時の建物の損害)
水濡れ(給排水管の事故を原因とするもの)
外部からの物体の衝突(自動車の飛び込みなど)
騒擾(集団で騒ぎを起こし社会の秩序を乱すこと。騒乱)

ただし上記の損害でも、地震・噴火・津波(※2)、戦争・内乱に起因する損害は補償の対象外です。 この他に、個人賠償責任特約や、不注意による損害、携行品損害(家財を保険対象とした場合)などをオプションにできます。事故が起きても火災保険の対象であることを知らずに請求していないケースも多々あるようなので、ご自身が加入している火災保険の補償内容を、ぜひこの機会にご確認ください。

※1 補償内容は代表的な例です。保険会社や商品により異なる場合がありますので、保険証書や保険会社等でご確認ください
※2 地震による火災でも、火災保険からいくらかの見舞金が支払われる場合もあります。

 火災保険の加入の仕方  

住宅を対象とする火災保険だけでは、家財の損害は補償されません。家財を加えたい場合は、家財も保険対象に含める必要があります。保険金額は、住宅や家財に対して適切な保険金額でないと、小さな事故が起きたときも損害額に見合う保険金は支払われません。保険金額は保険会社や代理店に相談のうえ、適切な保険金額を設定しましょう。家財の火災保険に加入していると、家財が盗難に遭っても補償されるので安心です(※3)。
※3 現金等は盗難に限り30万円(預金通帳等は300万円)を上限に補償されます。

地震保険は火災保険と一緒に契約を

地震・噴火・津波による損害、またはそれらによる火災は、火災保険本体では原則として補償されません。それらを補償するために地震保険があります。

地震保険は単独で加入することはできず、火災保険に付加して契約します。保険金額は火災保険の保険金額の30~50%(上限:建物5000万円、家財1000万円)ですが、残念ながら地震保険だけで建物を再建することは困難です。それでも、大地震の場合は災害見舞金が支給されることがあるので、いざというときには生活の再スタートに大きな助けとなります。

なお地震保険の保険料は、建物の構造と所在する都道府県により決まっています(表1)。さらに、住宅の建築年や耐震等級により最大50%を割り引くことができます。

表1:地震保険の保険料
地震保険の保険料は、保険対象である居住用建物および家財を収容する建物の構造、所在地により算出され、保険期間は短期、1年および長期(2~5年)です。詳しくは、各損害保険会社の相談窓口または代理店にご相談ください。

※表は財務省ウェブサイトhttps://www.mof.go.jp/financial_system/earthquake_insurance/jisin.htmを基に筆者がレイアウトを一部変更しています。


保険はわかりにくい部分もあり、内容確認をつい後回しにしてしまいがちです。でも何かが起きてからでは遅いので、ぜひこのタイミングでご自身が加入している火災保険や地震保険の契約内容を見直してみてはいかがでしょうか。またこれから家を建てる方は、保険会社や商品によってどのような違いがあるのか、比較してみるといいかもしれません。