表紙のつくり方は雑誌によってそれぞれですが、『Replan北海道』『Replan東北』では、実際に住まわれている住宅の暮らしの中のシーンを切り取った一枚を、毎回表紙に採用しています。
今回訪れたこちらのお宅は、札幌市内の築16年のお住まい。新築当初、Replanでは「こんな『間取り』だってアリなんです」という特集で取材をさせていただき、15年が経ちました。今回、巻頭特集で「わが家の15年後」というテーマに取り組みはじめたとき、「あの家はどうなっているだろう?」と真っ先に編集部で声があがったのがこちらのお宅でした。
デザイン的に洗練されていて、暮らすご家族の希望を叶えた快適な家であった、ということはもちろんですが、印象的だったのは「リビングにトイレがある」ということ。竣工当時はお子さんが小さく、2階のリビング・ダイニングから1階のトイレへ行き来することが大変だったこともあって、娘さんのトイレトレーニングを見守るためと設置されたトイレでした。その空間が15年経ってどのように変化しているのか、または変化していないのか、まさに「15年後」が興味深い家だったからです。
竣工時から、いろいろな使い方ができるようにと間仕切りを極力設けずに、可変性のあるオープンな空間としてつくられた家は、お子さんの成長や家族の暮らしの変化に合わせて、少しずつ使い方が変化していましたが、リビングのトイレはそのまま使われていました。
今回印象的だったのは、「物のつくられ方、かたちが人の行動をつくる」ということでした。その家で育ったお子さんたちにとっては、そこにトイレがあることは普通のこと。同時に、間仕切りがなく家のあちこちに居場所をつくれることも普通。そんな環境がご家族の風通しのいい関係や暮らし方をつくっているのです。
家が建つと同時に生まれた下の娘さんは、今年高校生に。住まいと一緒に成長を遂げ、今回の表紙のモデルとなってくれました。このお宅の「あれから15年後」を表現しながら、これから家を建て、お子さんの成長を楽しみにされる読者の方にとっての「これから15年後」をイメージしてもらえるように、という想いを込めた表紙です。
『Replan北海道vol.126』は道内の主要書店・コンビニエンスストアで発売中。ReplanWEBやAmazonでもご購入いただけます。ぜひお手にとってみてくださいね。
(文/Replan編集部)