「NPO住宅110番」は、住宅雑誌Replanが長年にわたって育ててきたインターネット上の家づくりのための「世論の場」です。住まいの悩みに、住宅建築の最前線にいる専門家のみなさんが回答しています。この記事では同WEBサイトに寄せられた皆さんからの投稿・アドバイスを抜粋(一部修正)しReplan誌面に掲載したものをさらに厳選してお届けします。
Q 小屋裏・壁内の染みについて
質問者/石川県・sora
記事No.11637/カテゴリ:工事ミス・トラブル
屋根断熱で屋根の通気層のない木造2階建てです。外壁は外断熱のような施工になっており、また、立上がり壁になっております。屋根断熱と壁断熱の間(立上がり壁の下部分)に隙間があり、屋根断熱と壁断熱が繋がっていない状態でしたので、断熱材のない隙間部分にグラスウールを詰めていただきました。その際に撮られた写真を見ると、透湿防水シートの複数個所に雨漏り跡のような染みが写っております。2階の部屋の壁を補修する際に撮られた写真にも同様の染みが写っております。
担当した工務店・設計事務所の方は、新築工事の時にできた染みではないかとおっしゃっておりますが、屋根と壁の取り合い部分からの雨水の浸入や、屋根の結露の可能性もあるのではないかと懸念しております。このような染みは、新築時に雨が降った場合、よくできますでしょうか?
また、原因を調べる場合は、どのような調べ方をすれば良いでしょうか? 以前、専門家の方から「天井に断熱材を入れて小屋裏換気をとるか、2重屋根にして通気層を作らないと、結露を起こす恐れが高い」とのアドバイスをいただき、工務店・設計事務所に相談しましたが、そのようにするのは困難とのことで、現在、可能な範囲での補修(断熱欠損部分をなくす)をしていただいているところです。
もし、染みが雨水の浸入や結露によるものであった場合、グラスウールを詰めて終了してしまっては、見えないところで被害が広がってしまうのではないかと心配しております。ご助言いただきたくよろしくお願いいたします。
A-1:回答者/屋根サポートいいだ 飯田 均
最後の写真のシミは、雨漏りが疑われますので、散水して確認した方が良いでしょう。断熱についてですが、屋根上に通気層がない状態では、屋根断熱とは言えません。また、屋根断熱工法であれば、小屋裏部分も室内空間扱いとならなければいけませんが、写真ではそのように見受けられません。工務店・設計事務所の「二重屋根も天井断熱も困難です」は腑に落ちません。二重屋根が困難だとしても、天井に断熱材を入れるのは容易なことです。そして、天井に断熱材を入れた場合は、間仕切り壁の気流止めもしてもらいましょう。さらに、小屋裏の換気が十分に取れるように換気口の位置に留意する必要があります。(木造住宅工事仕様書やネットでも外断熱工法や屋根断熱工法についての記述が多数あります。)
現状の対応では何ら問題の解決を見ないと思われます。まずは、雨水の浸入がないか散水テストをして確認し、断熱と換気と共にしっかり対応してもらうよう交渉してください。
追伸:屋根断熱工法についてネット上には、適切とは思えないイラストや写真がありますが、基本は、屋根材と屋根断熱材の間に通気層があり換気され、小屋裏部分が室内扱いになって屋根通気・外壁通気とは遮断され、別途換気が施されている状態が必要です。
質問者より
ご回答いただきありがとうございます。天井断熱についてですが、小屋裏は軒先側が狭く、また、配管などもあり、人が入っていけない箇所があるため、施工が困難とのことでした。仕方なく、できることとして提案された、断熱材欠損部分にグラスウールを詰めることと、野地裏ウレタンの吹き増し(薄かったため)をしていただいた次第です。
施工写真を見て染みに気付き、工務店・設計事務所に原因を調べていただくようお願いしたところ、結露に関しては、寒い時期になってから状況を確認していただけるようですが、小屋裏の目視可能な部分だけを見て、正しく判断できますでしょうか? また、内壁は既に補修が完了しており、染みの部分は壁内に隠れてしまっておりますが、壁を壊すことなく雨漏りの有無を調べる方法はございますでしょうか? 何度も申し訳ございませんが、ご教示いただきたくよろしくお願いいたします。
A-2:回答者/屋根サポートいいだ 飯田 均
まず、屋根断熱工法が先に説明した形態になっているのでしょうか? そして、現状では小屋裏換気はどのようになっているのでしょうか? 屋根軒先の軒天に穴あきスレート・換気口が有れば、屋根断熱工法とは言えず、室内の暖気が天井から軒先へと出てしまいます。換気がなければ、小屋裏で結露を起こす恐れがあります。天井断熱は、小屋裏が狭ければ、天井のボードを剥がして、そこから挿入します。また、野地板にウレタンの吹き増しができるならば、天井に吹き付けることもできたはずです。その場合、間仕切り壁の気流留めも伴わせて施します。
何れにしても、屋根断熱工法であれ、天井断熱であれ、中途半端なままでは結露を起こすか、断熱欠損状態となります。今一度ご確認ください。そして、内壁を修復した後でも散水を長時間することで雨漏りを確認できます。3番目の写真は窓の部分かと思いますので、集中的に水をかけることで確認できると思います。
質問者より
飯田さま、ご回答ありがとうございます。現状は、換気はない状態です。補修前に何度も「天井に断熱材を入れて小屋裏換気をとるか、2重屋根にして通気層を作らないと、結露を起こす恐れが高い」ということを伝えましたが、そのようにはしていただけませんでした。アドバイスいただいた内容を伝え、しっかりした対応をしていただけるよう掛け合ってみたいと思います。ありがとうございました。
A-3:回答者/屋根サポートいいだ 飯田 均
写真だけの判断で、不確かなところもありましたが、現状では、二重屋根にして小屋裏を室内空間としてして使用することはできないと思われるので、天井に断熱を施してもらう方向がベストと考えます。繰り返しになりますが、その際、小屋裏換気と間仕切壁の気流止めもお忘れなく。すみませんでした。最初からこのようにアドバイスしていれば、簡単でしたね。
質問者より
飯田さま。ご丁寧なご回答をいただき、本当にありがとうございます。
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