公道側の開口を最小限に抑え、サーモウッドの羽目板で包んだ外観は、周囲の緑に溶け込むよう。玄関までの急勾配のアプローチは、今後Iさんが整備する予定

大阪からリタイア後の生活に備え、移住を前提に建てられた住まいです。広葉樹の森に抱かれるような家は、LDKから水まわり、寝室が間仕切りなくつながる約20坪の平屋造り。閑静な環境を存分に味わうために、天井高に変化をつけ、開口の位置や大きさに配慮。開口が切り取るのは、森の木々と空、外光のみです。土地の自然と一体化し、終の棲家として目指す生き方を映すミニマルな空間となっています。

◎家族構成/夫婦50代
◎構造規模/木造・平屋建て
◎設計/(株)照井康穂建築設計事務所
◎施工/(株)工藤工務店

豊かな緑だけを望める場所にリビングを配置。玄関はリビングとダイレクトにつながり、ドアを開けた瞬間に目の前に裏手の森が飛び込んでくる
南北に設けた高さの違う窓から入る光や風が、季節や時間帯によって異なる表情を室内にもたらす

頭上に空間がのびやかに広がり、ハイサイドライトから外光がこぼれるキッチンは明るく、開放的な雰囲気

ワンルーム構成のLDKと水まわりは、自然の地形に添うようにスキップフロアでつながる。右手はロフトの階段下を利用した収納
水まわりの上には、トップライトから光を採り込む納戸スペースが設けられている

住宅設備関係の仕事をしているIさんは、新居のキッチンとトイレを自ら持ち込み、取り付けまで行った

大開口越しに裏手の森の景色を一望できるキッチン。森に暮らす喜びが、家事をしているときにも味わえる

南西の角を三角形に切りとった開口から木立だけが見え、森の中で寝ているような感覚を味わえる寝室。窓から射し込む光の移ろいも美しい
室内は、寝室、水まわり、LDKがそのままつながる。水まわりの天井に用いたボルドーが、白を基調にしたミニマル空間に遊び心を加えている

敷地の裏手に広がる豊かな森を暮らしの中へ最大限採り込めるように開口計画がなされたIさん宅。敷地の既存木もできる限り残した