北側に森、南側にはSさんのご両親の自宅が立っているため開口を絞っている。ラフな風合いを意識したカラマツの外壁は、内部の静謐な空間とのギャップを楽しむ意図が含まれている

緑の木々を映すダイニングの大開口が印象的な、森の中に佇む美術館のような住まい。階段室のない平屋の面積を生かして、LDKにボリュームを割いています。シンプルな室内はLDKと廊下、各個室が3本の直線上に配置された回遊動線。玄関からダイニングまでひとつづきの土間床が特徴的で、コンクリートの蓄熱効果を生かした床暖房を採用しています。

◎家族構成/夫婦30代、子ども1人
◎構造規模/木造・平屋建て
◎設計/(同)永田大建築設計事務所
◎施工/(同)永田大建築設計事務所、(有)黄倉工業所、(同)AYMH、札幌ニップロ(株)、西友電設(株)

北側に森、南側にはSさんのご両親の自宅が立っているため開口を絞っている。ラフな風合いを意識したカラマツの外壁は、内部の静謐な空間とのギャップを楽しむ意図が含まれている

森側から見る。木立の隙間に映える大開口のダイニングが美しい

森と寄り添う道のように、美しい直線のダイニング。壁は美術館などに使用されるEP塗装で仕上げた

森を望む壁付けキッチンは作業スペースをたっぷり確保

内外の境界が曖昧になる大開口に映る木々。構造上の柱も、木立の一部のよう

余白を設けた白い塗り壁が採り込んだ光をくまなく届ける。床材の変化と合わせて、梁もダイニングとリビングをやわらかくゾーニングする機能を持つ

ダイニングと直線につながるリビングは、床材の変化でシーンをスイッチ。床材の境界に見切りを設けない美しい仕上げが目を引く

やわらかな光と、美しい森の景色で構成されたダイニング。ダイニングテーブルはSさんが持参したアイアンの脚を採用した造作。幅広のダイニングテーブルに合わせて、黒いアルミ製の間接照明を3つつなげた

玄関ホールと直結する洗面台は帰宅後にすぐ手洗いができる
玄関ホールの天井高は2.2mで、その先のダイニング・リビングの天井高は3.3mと、天井の高さの変化がトンネル効果でより一層の開放感をもたらす

 

奥へとたどる喜びを喚起しながら、プライベートとパブリックを分ける収納を兼ねた廊下。「最近は廊下を省略する家が増えていますが、従来無駄とされていた空間をあえてつくることで暮らしの豊かさを実感しています」とSさん