道南スギの短材を縦に下見張りにした外壁がスタイリッシュな外観。Hさんの要望で設けたインナーガレージからも直接室内へ出入りできる

直線的なフォルムに道南スギ板を縦張りにした建物を和モダンな庭や外構が引き立てる外観。木の箱を重ねたような個性的な住まいに足を踏み入れると、平屋造りでは珍しい5mの吹き抜けが頭上に広がり、採光窓からこぼれる光がトドマツの天井、ナラの床、モルタルの壁をやわらかく照らし、美しい陰影をつくっています。また、身近な自然エネルギーである木材を活用したいと主暖房には薪ストーブを採用し、地域の自然とつながる暮らしを実現したことで、家族の毎日に多彩な楽しみがもたらされました。

◎家族構成/夫婦30代、子ども2人
◎構造規模/木造・平屋建て
◎設計/ミズタニテツヒロ建築設計
◎施工/(有)中野工務店

モルタルをアクセントに用いた玄関。外壁の道南スギには、経年劣化を防ぎ、スギ本来の色を保つ塗装が施されている

玄関土間は、シューズクローク、インナーガレージにつながっている。シューズクロークには収納力たっぷりの造作棚が設けられている
ハイサイドライトと吹き抜けを設けた明るく開放的なリビング・ダイニング。カーテンレスの暮らしを実現するため、外部の視線が気になる南側の開口を閉じ、ハイサイドライトを多用して採光を確保した
キッチンは平屋空間を一望する位置にレイアウト。造作で設えたキッチンの高さは、奥さんの身長に合わせた
キッチンの造作収納には、必要な時だけ引き出して使える家電庫もある。こうしたきめ細かな配慮の積み重ねが、美しさと機能性の両立を実現
家事をしていても子どもの様子が分かるように子ども室はキッチン横にレイアウト。散らかりやすい玩具も、すぐ片付けられる
公道から離れた東側には光と中庭の四季を室内へ採り込む大開口を設けた。窓横の扉を開けると、寝室、ウォークインクローゼットに続く
リビングに隣接して水まわりをレイアウト。タイル使いが美しい造作洗面台、勝手口を設けたユーティリティへと家事動線がつながっている
山形まで見に行き、購入を決めたという薪ストーブが印象的なリビング。ナラ製のソファやダイニングチェアは九州の工房から、Hさん自ら取り寄せた。「ゆっくりと好みのモノを集めたことで、満足度の高い家づくりができました」
2.3mから最大5mまでの変化に富んだ天井高と開口のメリハリが、平屋空間に心地よい広がりを生み出しているHさん宅。その中心にあるリビング・ダイニングは、家族が自然と集うくつろぎ空間になった