背後に森が広がる変形地に建てたのは、ホームベースのような六角形の住宅。プライバシー確保と意匠性から、住宅街側には窓がない設計に

ホームベースのような六角形の住まい。森側には窓をたくさん設けて外へ大きく開き、家のどこにいても木々や空の様子が感じられます。リビングの大きな窓はフルオープンにできる高性能な木製サッシで、そこからウッドデッキに出ると、贅沢な眺望を独り占めできます。ガラス面が大きく炎が見えやすい薪ストーブを暖房として導入。断熱・気密性能の高い室内の2ヵ所にある吹き抜けが自然と空気の循環を生み出して、家の中は冬でもやわらかな温もりに包まれます。

◎家族構成/夫婦30代、子ども1人
◎構造規模/木造・2階建て
◎設計・施工/(同)negla設計室 

森と建物の間に広がる休耕田には接道がなく、家が建つ可能性がなかったこともこの場所を選ぶ後押しになったそう。建物に向かって左手の敷地内には小さな畑を作り、家族で野菜を育てて食べる楽しみを味わっている

玄関は西側にあって暗くなりがちなため、玄関ドアは全面ガラスとした。外観の意匠性も兼ねた木製の目隠し壁のおかげで、周囲の視線を気にせずに出入りできる
玄関土間には、ガラス面が大きくて炎がよく見え、スタイリッシュなデザインのスペイン・ヘルゴン社の薪ストーブを設置した。炉内は上下に分かれていて、上はオーブン、下は直火調理と使い分けができる

玄関に入って左手は薪ストーブのある土間、右手はキッチンへ直行できる家族用玄関につながる2WAY動線。回遊できる間取りが機能的な暮らしを支える

三角形の吹き抜けとフルオープン仕様のリビングの大きな窓から、外のやわらかな光が射し込むLDK。木を活かした設えが、外の風景となじんで心地よい
リビングの窓を開け放つと、豊かな森の風景がまるで部屋の一部のように感じられる。約2坪のウッドデッキは、リビング部分を少し凹ませることで生まれた壁が両隣からの視線を遮る安心のプライベート空間。室内と床レベルが同じで出入りしやすい。ランチやヨガなどで娘さんとこの場所を日常的に使っている奥さんは、「娘に四季の変化を感じさせてあげられるのが嬉しい」と目を細める

変形の間取りに合わせて造作したオーダーメイドキッチンは使い勝手が良く、リビングやダイニングを見渡せるのが奥さんのお気に入り

リビングの窓際には、腰かけながら絵本の読み聞かせができる造作のベンチシートを設置。足元にはたくさんの絵本が収納できる。天井高は2.2mとやや低めだが、「天井が高ければ気持ちがいいということでもないんです」と原田さん。2ヵ所の吹き抜けや、空間にちょうどいいサイズ感の窓、天井までの高さのハイドアなどを組み合わせる工夫で、この家ならではの居心地の良さを実現している

斜めの壁を活かして造作した広い洗面カウンターの下には、大容量の収納棚。市販のかごを組み合わせて、使いやすく工夫している。間取りや使い勝手に合わせた収納計画も、快適に過ごすための大切なポイントだ

お子さんの遊び場としても重宝している広い2階ホール。三角形の吹き抜けに面した大きなFIX窓や横長の内倒し窓などが、絵画のように風景を切り取って目を楽しませてくれる

変形の建物ならではの変化に富んだ住空間。光や風、借景を取り込むたくさんの窓が、周辺の豊かな環境と住まいのつながりをより強めている

ファミリークローゼットへの2ヵ所の出入り口はアーチ型にして、優しい雰囲気を演出。寝室をはじめ、各部屋で使われている個性的なデザインの照明は、ご夫妻がこだわって探し集めた品々。好きなインテリアを取り入れるのも、おうち時間が楽しくなる秘訣
変形の建物ならではの変化に富んだ住空間。光や風、借景を取り込むたくさんの窓が、周辺の豊かな環境と住まいのつながりをより強めている

階段脇に設けた書斎コーナーは、斜めのラインを多用する変形のレイアウトで生まれたデッドスペースを有効活用した空間。顔を上げれば、吹き抜けと2階ホール越しに森の景色が広がり、快適な環境でテレワークを行うことができる。また寝室には引き戸があり、ファミリークローゼットも介しているので、夜や早朝でも気兼ねなく使いやすい