玄関から中庭へと、小道のようにつながる空間。光と影のコントラストが、家族の暮らしの場の特別感を際立たせる

函館の住宅街に建つ黒色外壁のこの家は、道路側に窓が一つもなく閉じた印象を与えます。しかし玄関から中庭へと、小道のようにつながる廊下の向こうに広がるのは、明るく開放感のある暮らしの場。光と影のコントラストが空間の特別感を引き立てます。ダイニングテーブルの真上に設計された、細く高い吹き抜けの天窓からは陽の光が射し込みます。それはさながら教会のような佇まい。静かな光が家族をやさしく包む豊かな住まいです。

◎家族構成/夫婦30代、子ども2人
◎構造規模/木造・2階建て
◎設計/ミズタニテツヒロ建築設計
◎施工/田島緑地前川コルポラッション(株)

ダイニングテーブルの真上に設計された、細く高い吹き抜け。 天窓から陽の光が射し込む様は、さながら教会のような佇まい

中庭と天窓の2方向から自然光が照らす、明るいダイニング・キッチン。無垢材やステンレスなどの異なる素材がバランスよく配されて、心地よい空間を形づくっている

Ⅱ列型のアイランドキッチンは、奥さんの要望で黒色に。庭への動線に配慮して出入り用のドアを設けた

吹き抜けに向かって、真っ直ぐに伸びる薪ストーブの煙突。炎のある暮らしを快適に楽しむための動線にも配慮している

リビングの一部は、薪ストーブの炉台も兼ねたコンクリートの土間に。壁は、不燃性のフレキシブルボードを一定のサイズにカットして、下見板張りの要領で仕上げた
勾配天井の子ども室。造り付けのカウンターが勉強机に。横長の窓で、外の景色を切り取っている
2階ホールの一部は、ご主人の書斎スペース。背の低い書棚を壁に沿って造り付けた
真っ黒な壁が2枚連なっているように見える外観。道路側に窓がないのは、「外を気にして一日中カーテンを閉め切ることになるなら、必要なさそう」というHさんご夫妻の考えから