青森県内でも雪が多く、春から夏にかけて吹く、冷たく湿った北東からの強い風「ヤマセ」の影響を受けるエリアに建つ、平屋の家づくりです。ご夫妻の要望は、まずは寒くないこと。そのうえで、ガレージから濡れずに室内に入れることや大きな窓があることでした。プランの決め手はシンプルで「平屋の弓状の外観デザイン案が気に入ったから」とのこと。南西面に大きく開き、北東面は限りなく閉じた、このエリア特有の気候への配慮。寒さを気にせず、ほどよく自然を感じられる、土地に根ざしたデザイン住宅です。

◎家族構成/夫婦30代、子ども2人
◎構造規模/木造・平屋建て
◎設計/(株)蟻塚学建築設計事務所
◎施工/(株)岡山建設

南西に向けて大きく開く窓は木製の断熱サッシ。デッキテラスとの一体感でより開放的に

リビングとデッキテラスの間には、蟻塚さん設計ではお馴染みのサンルームが設けられた
キッチンはブラック系、ダイニングテーブルは床材に合わせた色味を選んだとTさん
最終的なプランで玄関とつながるよう配置されたLDK。正面は北東側で通風窓のみとした
大きな開口部と居室の間には「子供リビング」と名付けた緩衝空間。物干しにも便利なこのスペースは、各部屋が外気による影響を受けにくくする工夫のひとつ
夫婦の寝室には、弓型のデザインにすることで建物の端部に生まれたデッドスペースを利用したウォークインクローゼットを設けて空間を有効活用している
奥さんたっての希望だった「ガレージから濡れずに室内に入れる」を叶えた玄関まわりの動線
玄関とガレージは北側に配置。玄関は奥まっているため雪や風の影響を直接受けずに済む
デッキテラスは手前と奥の部分に奥行きがあるので、平面的な構成にも動きが生まれる効果も
庭からの正面外観。平面的に弧を描く軒天井が、まるで劇場のような臨場感を生んでいる