住まいは親から子、子から孫へ受け継ぐ大切な資産。その価値を維持し、安全かつ長期にわたり耐用・利用できる家をつくることが住宅会社の使命とも言えます。そんなミッションを果たすために、その土地の気候風土に合った、長く快適に過ごせる家を追求しているのが「スモリの家」。長年、宮城県で培った家づくりのノウハウをもとに、東北で育った木を使い、地元の職人さんとともに家づくりを行っています。須森明社長に家づくりの哲学をお聞きしました。

「たのしいおうちづくりの学校」敷地内にある実験棟
「たのしいおうちづくりの学校」敷地内にある実験棟

家づくりは完成がゴールではない。
「末永く、守り続けます」

スモリ工業の本社には、「ハウス・スタジアム」と名付けられた体験型住宅展示施設が併設されています。ここでは、地震体験や台風体験、バリアフリー体験のほか、結露のメカニズムや構造など、住宅のさまざまな機能を自ら体験したり学んだりすることができます。

「スモリ工法」と呼ばれるオリジナルの銀我パネルを用いた真壁構造。より強固で防汚、耐久にも優れた外壁のレンガタイル。国産の陶器瓦や東北産の木材に防腐・防蟻処理を施した集成材。さらに基礎や断熱に至るまで、スモリの家には50年の経験と実績、そして飽くなきチャレンジ精神によって構築された独自の家づくりのノウハウが詰まっています。そして、そのノウハウは全て、須森社長が言う「守る家づくり」のために生まれたものなのです。

柱にゴムパッキン付きの溝を入れ、そこに銀我パネルを挟み込み、発泡系の断熱材を柱内に収めるオリジナル工法。構造体を施工すれば、同時に高断熱・高気密工事まで完了する
柱にゴムパッキン付きの溝を入れ、そこに銀我パネルを挟み込み、発泡系の断熱材を柱内に収めるオリジナル工法。構造体を施工すれば、同時に高断熱・高気密工事まで完了する

スモリ工業では、毎年お客様にカレンダーを配ります。そこには干支や七福神の図柄とともに「お守りします」の文字が刺繍で描かれています。「これは、その年新築された方だけでなく、これまで家を建てられた全てのお客様に毎年お配りしているものです。家が完成すればそれでゴールということではないんです。お客様の暮らしはずっと続く。だから1年365日、未来にわたりずっと、私たちは守り続けますという気持ちでいます」と須森社長。だから、スモリ工業はずっと宮城県内での仕事にこだわり続けています。手の届く、目の届く範囲で長いおつきあいをする。そんな真っ正直な姿勢の会社なのです。

平成18年8月に茨城県つくば市の独立行政法人土木研究所で行われた、実際の家での耐震実験の様子。スモリの家は瓦1つ、レンガタイル1つ落下しないだけでなく、地震後も地震前とほぼ同じ耐久性能を備えるという実験結果が出た
平成18年8月に茨城県つくば市の独立行政法人土木研究所で行われた、実際の家での耐震実験の様子。スモリの家は瓦1つ、レンガタイル1つ落下しないだけでなく、地震後も地震前とほぼ同じ耐久性能を備えるという実験結果が出た

数多くの発明、特許も無償で提供
職人を大切にする家づくり

須森社長はこれまで、家づくりに関する数多くの発明をしてきました。構造や工法、換気システムからビス釘に至るまで、スモリの家がこれまで取得した特許や意匠登録は50件以上。その功績が評価され、平成27年には東久邇宮文化褒賞を受賞しています。しかし、社長はそれらの技術を無償でスモリの家のビルダー会員に提供しています。「大切なのは、どうすればよりよい家づくりができるか、住む人を幸せにすることができるかということです。そのために私はチャレンジを続けているのです」。

「お客様と職人さんを縁の下で支える存在になりたい」と須森社長。建て主と同様に職人を守り、技術向上や環境向上していくことで、よりよい家ができあがる
「お客様と職人さんを縁の下で支える存在になりたい」と須森社長。建て主と同様に職人を守り、技術向上や環境向上していくことで、よりよい家ができあがる

かつて、中学生時代から左官業に従事したという須森社長は、職人の大切さを痛感しているといいます。だから、スモリ工業では毎年、職人大会を開き、そこでは社長が500人近い職人一人ひとりに声をかけ、感謝を伝えます。また、社長は常に、職人の支援や養成にも心を砕いています。そして、発明してきた数々の技術が、職人の手を補う役割も果たしています。

たとえば、スモリの家の特長の1つである“丸みのあるデザイン”。天井からの下がり壁をアールに仕上げたり、塗り壁の角が丸くなっていたり。角の部分すべてが丸みを帯びたオリジナルドアも、開け閉めが柔らかくなり指を挟む危険性が減ります。そして、丸みのあるデザインは、職人さんの作業効率も高めるといいます。“スモリの家づくり”は、お客様を守る家をつくると同時に、職人をも守る家づくりでもあるのです。

「お客様と職人さんを縁の下で支える存在になりたい」と須森社長。建て主と同様に職人を守り、技術向上や環境向上していくことで、よりよい家ができあがる
「お客様と職人さんを縁の下で支える存在になりたい」と須森社長。建て主と同様に職人を守り、技術向上や環境向上していくことで、よりよい家ができあがる

100年健康な住まいのために
進化し続ける“スモリの家”

「家族が100年健康でありたいと願うように、100年健康な住まいをつくりたいというのが私の願いです」と、須森社長は言います。そのためにスモリの家はダブル換気システムを採用しています。部屋の中だけでなく、内壁と外壁の間や床下、天井上など家中のすみずみまで空気を動かし、カビや結露の発生を抑え、家の寿命を延ばすことができるのです。

熱交換率90%の24時間換気システムと、壁の中を空気が自然循環するダブル換気システムを採用。室内も壁内も常に空気が動き、結露やカビが発生しにくい
熱交換率90%の24時間換気システムと、壁の中を空気が自然循環するダブル換気システムを採用。室内も壁内も常に空気が動き、結露やカビが発生しにくい

また、災害の多い日本において、耐震性の高い強固な構造も実現しています。柱に溝を掘り、銀我パネルをゴム製の気密パッキンで包みはめ込んでいるのですが、このパッキンによって衝撃を分散、吸収し、強い地震にも耐え抜くことができるといいます。さらに、最新の実験棟では、地盤改良の際に用いる杭に可動性を持たせ、揺れを柔軟に受け流すことにも成功しています。須森社長が目指すのは、常にベストを尽くした家づくり。だから、常に前を向き、挑戦を続けているのです。

人口減少で廃校になった地域の小学校を再活用し、誰もが楽しく家づくりを学ぶ場としてつくられた「たのしいおうちづくりの学校」。住宅全体を中まで見える化し、見たり、手で触れながら家づくりを知ることができる

2016年6月、スモリ工業は廃校になった小学校を利用し、「たのしいおうちづくりの学校」をオープンしました。小さなお子さんから職人を目指す人まで、誰もが家づくりを学べる施設です。ここでは「大工塾」を開催するなど、将来の家づくりを担う職人の養成も行っています。自ら家づくりのさまざまな技術を発明する一方で、お客様や職人を守る家づくりに徹してきた須森社長の思いや、その成果に触れることができる貴重な場となっています。

数々の発明と取り組みで進化し続ける “スモリの家”がこれからも地域のユーザーの暮らしを守ることでしょう。

人口減少で廃校になった地域の小学校を再活用し、誰もが楽しく家づくりを学ぶ場としてつくられた「たのしいおうちづくりの学校」。住宅全体を中まで見える化し、見たり、手で触れながら家づくりを知ることができる
人口減少で廃校になった地域の小学校を再活用し、誰もが楽しく家づくりを学ぶ場としてつくられた「たのしいおうちづくりの学校」。住宅全体を中まで見える化し、見たり、手で触れながら家づくりを知ることができる