「DINKs」と呼ばれる、意識的に子どもをつくらない共働きの夫婦が増えています。Mさんご夫妻もその一組。自分たちの好きな間取り、好きな意匠の家で、夫婦水入らずの暮らしを楽しみたいと思い、社宅からの住み替えを考え始めました。戸建ての新築も検討しましたが、お二人の最優先事項は立地。職場に近い街なかのエリアで自分たちの好きな家に住むために、中古マンションを購入してのリノベーションというスタイルをセレクトしました。
パートナーとして選んだのは、一級建築士事務所の「STAP」。「いろいろな会社を見て回りましたが、中でも心に響いたのがSTAPさんのリノベーションプロジェクト「muwaku」でした。『新しい価値観を提案する』というコンセプトと上質なデザインが、私たちの思い描く理想にぴったりだと直感したんです」とMさんは語ります。
購入したのは、仙台の市街地からもアクセス至便な地に建つ、2階層からなるメゾネットタイプのマンション。リビングに接する和室やキッチンが壁で仕切られていた既存の間取りを大幅に変更し、約25帖の大空間LDKを実現しました。
床にはアンティークな趣が漂うウォールナットのヘリンボーン床材を、壁にはコンクリート打ち放しのような風合いを醸す窯業系サイディングを採用。ニューヨークのブルックリンにあるカフェをイメージし、大人っぽいテイストに仕上げました。
この落ち着いた空間を彩るのが、ご夫妻好みのデザイナーズ家具の数々。イームズのラウンジチェアやルイス・ポールセンのペンダントライトをはじめ、お二人自慢のコレクションがレイアウトされています。「この家具にふさわしい家に住みたいという想いがやっと叶いました」というMさんの言葉に、「家具たちもこの家に置かれて喜んでいるように感じます」と奥さんもにっこり。「muwaku」の造作の美しさが、家具の持つ魅力をさらに際立たせています。
Mさん宅のリノベーションのもう一つの大きな特徴は、お金をかける点とかけない点を明確に分けたこと。普段忙しいご夫妻がゆったりと過ごす場であるリビングまわりには、妥協せずに費用をかけ、お二人ならではのこだわりをぎゅっと詰め込みました。一方、水まわりや2階の寝室は既存のものを活かしながら設備変更程度に留め、コストを抑制しています。
DINKs夫婦が自分たちのライフスタイルから導き出した、やりくり上手なリノベーションの形と言えるでしょう。