北海道では、2025年度から「道産木材」を用いた家づくりを推進するための新たな制度「HOKKAIDO WOOD HOUSE(ホッカイドウ ウッド ハウス)」をスタートします。住まい手にも地域ビルダーにもメリットのある新制度について、詳しく解説します。
「北海道の木で家を建てる」ことが、なぜ今大切なのか
家づくりをする上でよく耳にする「道産木材」。これは、北海道で産出される木材のことで、今や家具や住宅、公共施設など広く使われています。北海道は総面積の約70%を森林が占める豊かな環境。そのうち約30%は人の手によって植え育てられた「人工林」です。
「道産木材」についての詳細は、こちらの記事をご覧ください
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「道産木材」とは?そのメリットや魅力、使う際の注意点を解説
人工林は「植える→育てる→伐採して使う→また植える」という循環を繰り返しながら、人が使う木を安定的に産出し、森を未来へとつないでいく大切な資源。間伐や下草刈りなど定期的な手入れをしながら、森の循環を維持しています。
さらに、間伐などで人工林から産出された木材を、より有効に活用してもらうために近年、北海道で積極的に取り組んでいるのが「道産の木で家を建てる」ことです。
地域で育った木を地域で使う「地材地消」は、森の循環を支えるだけではなく、木材輸送によるCO2排出の削減や、地域の産業活性化にもつながり、環境と経済の両面で多くのメリットをもたらします。
林産業としての循環や家づくりで使われる木材についての詳細は、
こちらの記事をご覧ください
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わたしたちの森が、北海道の森を育む。「北海道の木」で家づくり
これから家を建てるより多くの方々に道産木材を積極的に使っていただくための取り組みの一環として、北海道が2025年度から新たに創設する制度※が「HOKKAIDO WOOD HOUSE(略称:HWH)」です。
※新制度の開始は2025年6月1日以降を予定しています
「HOKKAIDO WOOD HOUSE」とは?
「HOKKAIDO WOOD HOUSE(以下、HWH)」は北海道の木材を有効活用してもらうため、品質の優れた道産木材を使った住まいを認定する新しい制度。道内の森林から伐採された木材を住宅建築に活用した家をHWHとして認定し、地材地消の家づくりの普及を後押しします。
HWHの認定は、優れた道産木材を使用し、豊富な知識と技術を持つ住宅メーカーや工務店などのビルダーによって建てられた、安心で快適な住まいの証。認定証発行や表彰制度、道のSNS等を活用した発信をとおして、HOKKAIDO WOODブランドの強化を図ります。
HWHの「認定基準」と「推奨基準」
HWHには、以下の「認定基準」と「推奨基準」を設けています。
認定基準
・国内で完成した戸建て住宅であること。 |
・原則として構造材や内装材、外装材に道産木材製品を使用し、PR効果が高い住宅 |
・原則、2019年4月以降に竣工した住宅 |
推奨基準
・延べ床面積1㎡あたり0.1㎥以上の道産木材製品を使用した住宅 |
・ZEH水準(断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6)に適合する住宅 |
HWHに認定された住宅には、知事名で認定証が交付されます。また、推奨基準を満たし、特に道産木材の普及拡大に貢献する住宅には、施主・ビルダーへの表彰も行います。
なお、この申請は施主が行うものとされていますが、ビルダーが代理申請することも可能です。
HWHへの支援・優遇
・建築材に道産木材を延べ床面積1㎡あたり0.1㎥以上使用している住宅を対象に、定額20万円の建設費を補助します。 |
・道と金融機関等が連携を図り、住宅ローンの金利優遇を推進します。 |
つまり、HWHの基準を満たす住宅には、
- 建設費の補助
- 住宅ローン金利の優遇
といった嬉しいメリットも用意されています。
さらに、HWHを積極的に建築し、HOKKAIDO WOODメンバーとなってPR等を行うビルダーは「HWH建築推進業者」として道が認証。以下のような取り組みを通じて、HWHの認知度を高めていきます。
・HWH建築推進業者が行う住宅見学会のPR |
・道がHWH建築推進業者の事例等を住宅関連雑誌に掲載 |
・道が実施する住宅関連イベントを通じたPR |
HWHの普及活動を通じて、「道産木材を用いた高性能な住宅の施工ができる企業である」という点を広く一般にアピールすることができること。
また、HWH建築推進業者の認定証の自社WEBサイトやパンフレットへの掲載で、木に関する知見と技術を有していることのみならず、「ゼロカーボン北海道」やCSR活動に積極的な企業であることへの発信ができること。
これらはビルダーにとっての大きなメリットであり、同時にユーザーが技術の確かな建築会社を選ぶ際の大きな助けにもなります。
HOKKAIDO WOOD HOUSEの4つのメリット
上記を踏まえると、HWHの道民にとってのメリットは主に以下の4つが挙げられます。道産木材をふんだんに使った高品質な住空間を実現しながら、コストもCO2も削減できるという一石三鳥の取り組みと言えるでしょう。
- 北海道から20万円の建築費補助を受けられる
- 住宅ローン金利で優遇される
- 施工技術力の高いビルダー探しがしやすくなる
- 北海道の環境保全やカーボンニュートラルに貢献できる
「道産木材」の魅力を広く伝える木材製品ブランド「HOKKAIDO WOOD」のホームページでは、森づくりや道産木材について紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。北海道の森林に関わる深い知識と物語を知ることができますよ。

住まい手、ビルダー、そして北海道の自然環境に好影響をもたらす「HOKKAIDO WOOD HOUSE」。これから北海道での家づくりを始める方は、ぜひ地域に根ざした持続可能な住まいを検討してみてはいかがでしょうか。
『北海道の木と暮らす 〜LIVING WITH HOKKAIDO WOOD〜』発行のお知らせ
北海道では、道産木材を活用した品質の良い住宅を紹介する冊子「北海道の木と暮らす 〜LIVING WITH HOKKAIDO WOOD〜」を発行いたしました。ぜひ下記URLまたはQRコードからアクセスしてご覧いただき、道産木材の家の魅力を感じてください。
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/rrm/02_riyousuisin/215709.html
<お問い合わせ>
北海道水産林務部 林務局 林業木材課 利用推進係
TEL. 011-204-5492