水まわりの移動に制限がある築35年の中古マンション
「KUFURAS(クフラス)」は、リノベーション・リフォーム・新築を手がける住宅会社。「時間と空間に、アイデアを」をコンセプトに、日々の暮らしに寄り添い、設計やデザインを生かした創意工夫で、いつまでも愛着を持ち続けられる住まいづくりを追求しています。
小坂裕幸建築設計事務所とのコラボレーションによるマンションリノベプロジェクトでは、これまでに8件のマンションリノベーションやリフォームをプロデュース。美しくも暮らしやすさを内包したリノベーションや、表層的なリフォームとは一線を画す「クフラスリフォーム」など、マンションにフォーカスしながら着実に実績を重ねています。

2025年1月に完成した「マンション09」は、築35年の中古マンションをご家族3人が暮らすためにリノベーションしたプロジェクト。新居を検討していたご夫妻が「マンション04」のオープンハウスに足を運び、依頼に至りました。
クフラスは不動産会社と連携し、ご夫妻が希望するエリアでのマンション探しをサポート。検討の末に出会ったのは、交通の利便性が良く、お子さまの通学にも適した好立地のマンションです。築年数は経ているものの、隅々まで手入れが行き届いている点も好印象でしたが、唯一の難点はリノベーションに対しての制約の多さ。管理規約により排水経路を含む水まわりの移動ができないため、事前に管理組合におおまかなプランを提示することに。小坂さんとクフラスが建築家と施工の視点で検討し、ご夫妻の要望を踏まえながら管理組合とやりとりを重ね、リノベーションの方向性を定めました。

既存の間取りは、リビング横の和室を含む3LDK。水まわりの移動制限に加えて、お子さまの個室を必要とするご夫妻の意向もあり、大規模な間取り変更をせずに、マンションが持つポテンシャルを引き出しながら空間を整えていくリノベーションとなりました。

シンボリックな柱と、風を通す豊かな空間
「マンション09」の特徴は、スケルトン状態に引き戻した際に現れたダイナミックな柱。横に間口が広い間取りのため、梁を支えるために必要な構造用の柱で、そのシンボリックな存在感を生かすことがプランの要の一つとなりました。



このダイナミックな柱に加えて、このマンションは南側に街並みを望む窓があることも特徴。ダイニング、リビング、和室がそれぞれ窓に沿って配置されていて、光や開放感を得るには最適なレイアウトになっていました。
プランニングは、この配置を生かしながらご家族の暮らし方に寄り添って空間を更新。家族が憩うダイニングを大きく拡張し、和室は既存よりコンパクトにしながらも、リビング機能を兼ねた家族が自由に過ごせるフリールームとしました。
ダイニングとフリールームは、窓辺に沿って通り抜けができるようにすることで、南側の窓が長いスパンで連続し、より開放的な空間を実現。フリールームはウォークインクローゼットを抜けて、北側に窓を持つ主寝室へとつながり、動線のスムーズさと風の通り道をつくりだしています。
ダイナミックな柱はパテ処理の跡を、柱が支えている長い梁はGLボンドの跡をそれぞれ生かし、その無骨さは白の塗り壁と美しく調和。東西に長く続く南側の窓辺は、やわらかな光が注ぐ縁側のような心地よさをもたらし、広いダイニングやフリールームは、家具の配置や向きによって、過ごし方も使い方も自由に可変するおおらかさがあります。




マンションそのものが持つポテンシャルを最大限に引き出し、綿密な計画とディテールの徹底で、制約を超えて新たな価値を生み出した「マンション09」。それは設計、施工、管理が一体となって取り組む、クフラスのマンションリノベーションだからこそ実現できること。光が注ぎ、風が抜ける新たな住まいで、ご家族3人の新たな暮らしが始まります。


