「道産木材」を使うということ
「道産木材」とは、「北海道で産出される木材」のこと。私たちに身近な住宅や家具はもちろん、最近は社会的なSDGsへの意識の高まりやカーボンニュートラルへの取り組みの活発化によって、公共施設や商業施設でも積極的に利用され始めています。
総面積の約70%を森林が占めるほど、北海道には豊かな森林資源があります。北海道の森林の約30%は木を利活用する目的で植林された「人工林」です。人工林の役割は、何十年というサイクルで「人が使うための木」を安定的に産出すること。
特に建築資材用の木材は、曲がりや節が少ない良質な材が求められるため、下草刈りや間伐など、人が定期的に森を管理して、健全な生育環境を整えることが必要です。
人の手が適切に入った人工林は、土にしっかりと根を張って土砂災害のリスクを減らしたり、水源かん養機能※を高めたりと、間接的に暮らしの安心を守ります。道産木材を使うことは広い意味で、私たちが暮らす土地の環境保全につながっていると言えるでしょう。
※雨水や雪どけ水を土中に蓄えたり、水質を浄化したり、洪水を緩和したりする森林の機能のこと
北海道では、これまでに道産木材をより有効に活用してもらうため、品質の優れた道産木材を使った住まいの認定制度「北の木の家」や、その住宅建築を推進する事業者のご紹介など、さまざまな取り組みをしてきました。今はさらなる道産木材の活用促進のため、新しい企画を検討しているところです。これから家づくりをお考えの皆様は、ぜひ道産木材にご注目ください!
家づくりでよく使われる4種類の道産木材
樹種の多様さは、道産木材の大きな魅力の一つ。ここでは特によく使われる4つの木について、その特徴を紹介します。
カラマツ
■ 主な用途
構造材、壁材・天井材(パネリング材)、フローリング、構造用合板
■ 建築材としての特徴、魅力
資源量が比較的多く、構造材から内・外装材まで用途が幅広い木。色は赤みがかっていて全般的に節や木目の印象が強く出るため、空間は素朴な印象になりやすい。柾目の材を用いるとすっきりとした印象になり、上質感が高まる。
フローリング材は、広葉樹と比べると適度に柔らかく温かさを感じられる。ただ同じ針葉樹のスギやトドマツほどは柔らかくないので、椅子の脚先が板にめり込んで凹むことが少なく、気兼ねなく使うことができる。
トドマツ
■ 主な用途
構造材、壁材・天井材、フローリング、構造用合板
■ 建築材としての特徴、魅力
北海道の自生種で、最も資源としての蓄積量が多い木。カラマツ同様に、構造材から内装材までさまざまな部位で使える。心材と辺材の色の差が少なく、上品な黄色みがかった白色が特徴的。
木としての主張が控えめで、どのようなテイストのインテリアにも合わせやすい。製材時の白い木肌は年月とともに飴色に変化する。感触が優しく温かみのある木肌が魅力の一方で、材質は柔らかめで、家具による凹み跡は残りやすい。
道南スギ
■ 主な用途
構造材、壁材・天井材、フローリング
■建築材としての特徴、魅力
スギはヒノキと並んで日本を代表する建築木材の一つ。材はきれいなサーモンピンク色が特徴。本州のスギと比べて控えめで上品な印象で、フローリング材はもちろん、壁や天井にも用いやすい。
また耐不朽性が高いため、外壁材としても重用される。経年変化によってシルバーグレーになる様子も魅力。トドマツと同様に足触りが優しく、腰への負担がかかりにくい柔らかな材質だが、傷や凹みがつきやすい点も考慮して選ぶ必要がある。
ナラ(ミズナラ)
■ 主な用途
フローリング、壁材・天井材、枠・建具材、家具材
■ 建築材としての特徴、魅力
寒さが厳しい北海道のナラは木目が詰まっていて強度があり、家具や建具、フローリングに適したとても良質な木材。家づくりでは特に、フローリング材として重用されている。ナラの色と木目によって床に重厚感と存在感がもたらされ、どんな家具ともコーディネートしやすいのが大きな特徴。針葉樹のフローリングとの大きな違いは硬さ。耐久性があり、傷がついたり凹んだりしにくい。一方で針葉樹と比べると、柔らかさや温かみは感じにくい。
自分の家がもっと好きになる!
「道産木材」の生かし方
樹種の違いはもちろん、張り方や塗装の色などで空間の印象が大きく変わります。 道産木材を取り入れた住宅の実例から、その上手な生かし方をご紹介します。
外壁材
ナチュラルな仕上げの道南スギ下見張り
美容室併設の住宅は、道南スギ材を下見張りで仕上げたナチュラルな佇まい。周囲の景観にしっくりとなじみます。
カラマツ材を2色使い
「無塗装の材」と「木酢液に漬けた材」の2種類のカラマツ材を横と縦で張り分けて仕上げた外壁が住まいの個性に 。
外壁と外構を一体的にデザイン
外壁も外構も、メンテナンスフリーのカラマツ材を用いた平屋の住まい。同じ素材を使うことで、家全体に統一感が生まれます。
構造材・内装仕上げ材
トドマツ材が美しい大空間
現しの構造材や製作の建具、キッチンカウンターの下の壁にトドマツ材を用いた平屋の大空間。美しい白木は経年変化も楽しみの一つです。
天井・構造材がカラマツ材の2階LDK
カラマツ材の構造材を現しにした木質感豊かな2階LDK。バルコニーへと続くカラマツ材の勾配天井が、室内と窓の外に広がる森をつないでいます。
スギ材本来の色を生かしたアクセントウォール
玄関土間の壁に道南スギ材を張って仕上げた例。この材の本来の特徴である落ち着いた風合いと経年変化が楽しめます。
風合いを生かしたヘリンボーン張り
ナラ材のフローリングを用いて、廊下の床をヘリンボーン張りに。シンプルな空間に本物ならではの美しさが映えます。
「HOKKAIDO WOOD」は、北海道の木でつくられた木材製品のブランド名称です。このロゴを目印に、北海道生まれの木材製品を見て、触って、使ってみてください。それが、北海道の森林・林業・木材産業に対する大きな応援になります。
道産木材製品についてはこちらをご覧ください
HOKKAIDO WOOD
https://hokkaidowood.com
2025年春、
道産木材に関する北海道の新企画を発表予定です。
ぜひご注目ください!
<お問い合わせ>
北海道水産林務部 林務局 林業木材課 利用推進係
TEL. 011-204-5492