50代でアーリーリタイアを選んだWさんは、1ヵ月の移住体験を経て夫婦で関西から東川町への移住を決意。町内のアパートで仮住まいしながら、約2年かけて大雪山を望む理想の土地を見つけました。Wさんご夫妻が東川町で実現したかったのは、旅行好きが高じて憧れを抱くようになったというコテージの運営。広い敷地に新居と宿泊棟の新築を計画しました。

Wさん宅の外壁は屋久島の地杉。「屋久島地杉は油分が多く、耐水性に優れている素材なので、積雪の多い東川町に適した外壁材です」と太田さん。自然素材の風合いが美しい景色と溶け合っている。広いウッドデッキは食事を楽しんだり、景色を眺めて過ごす大切な居場所の一つ
Wさん宅の外壁は屋久島の地杉。「屋久島地杉は油分が多く、耐水性に優れている素材なので、積雪の多い東川町に適した外壁材です」と太田さん。自然素材の風合いが美しい景色と溶け合っている。広いウッドデッキは食事を楽しんだり、景色を眺めて過ごす大切な居場所の一つ
玄関の郵便ポストやランプは、関西時代の家で使っていたものをそのまま活用
玄関の郵便ポストやランプは、関西時代の家で使っていたものをそのまま活用
アイアンや建具の黒が空間を引き締める。「木の家に憧れはあったけれど、ログハウスのようにはしたくなかったんです」とWさん。新居は、木の配分を絶妙にチューニングし上質な空間に仕上がっている
アイアンや建具の黒が空間を引き締める。「木の家に憧れはあったけれど、ログハウスのようにはしたくなかったんです」とWさん。新居は、木の配分を絶妙にチューニングし上質な空間に仕上がっている

住宅雑誌やインターネットで情報収集をしていたというWさん。気になる工務店を数社ピックアップしていましたが、「偶然立ち寄ったカフェの空間に魅了され、建築会社を確認したところアーケンを紹介していただきました」と、旭川の住宅会社・アーケンに出会いました。

LDKに塗り壁を採用しているWさん宅は、光の加減で表情を豊かに変える
LDKに塗り壁を採用しているWさん宅は、光の加減で表情を豊かに変える
空と緑が染み出すLDKにシラカバの無垢フローリングがやわらかな印象を与える
空と緑が染み出すLDKにシラカバの無垢フローリングがやわらかな印象を与える

2014年に創業したアーケンは「顔の見える施工」をモットーに創業した住宅会社。時流に左右されない美しいデザインと、住まい手のライフスタイルを重視した丁寧なプランニング、プロとしての誇りと責任を持つ高い施工力で、旭川圏の住宅新築やリフォーム、店舗設計などを幅広く展開しています。コテージの新築も検討していたWさんにとっては、非住宅の経験も豊富な同社はまさにあつらい向きで、「設計担当の太田さんは、私たちの想像をはるかに超える魅力的なプランを出してくれました」と話します。

大工の丁寧な仕事が映えるシラカバの合板を使った造作のキッチン。パンづくりをするための作業台をアイランドに、シンクや火口は壁付けにしている。「食事の支度をしながら景色を見たいというのが私の希望。身長に合わせた窓の計画をしてくれました」と奥さん
大工の丁寧な仕事が映えるシラカバの合板を使った造作のキッチン。パンづくりをするための作業台をアイランドに、シンクや火口は壁付けにしている。「食事の支度をしながら景色を見たいというのが私の希望。身長に合わせた窓の計画をしてくれました」と奥さん

ダイニングテーブルはサワラの木を活用して造作した。「もともとこの土地にあった木を使って家具を造作するというアーケンの提案に感激しました」とWさん。サワラの木肌も白いため、シラカバとの相性も良い
ダイニングテーブルはサワラの木を活用して造作した。「もともとこの土地にあった木を使って家具を造作するというアーケンの提案に感激しました」とWさん。サワラの木肌も白いため、シラカバとの相性も良い
キッチン横には広々としたパントリーがあり、その先に水まわりが続く
キッチン横には広々としたパントリーがあり、その先に水まわりが続く
広々とした造作の洗面台。石目調のタイルが上質な雰囲気をもたらしている
広々とした造作の洗面台。石目調のタイルが上質な雰囲気をもたらしている

2023年11月に完成した新居は片流れ屋根の2階建て。1階にLDK、2階には2つの個室を配しています。吹き抜けのあるリビングは大開口から景観をパノラマに呼び込む開放的な空間。冬は窓辺に設けた薪ストーブの炎と雪景色が、暮らしをより豊かに演出します。なかでもWさんが気に入っているのは、2階の渡り廊下。2つの個室を結ぶ渡り廊下がブリッジのように吹き抜けを走る様は、「自分たちでは想像できなかったプランです」と、太田さんの設計力を改めて実感することができたと語ります。

大雪山と田園風景を捉えるリビングの大開口。開放的な吹き抜けに薪ストーブの煙突が真っすぐと延びている。「真冬になると陽が落ちる間際に雪と空が青白くなるんです。私たちは青の時間と呼んでその美しい瞬間を楽しんでいます」と奥さん
大雪山と田園風景を捉えるリビングの大開口。開放的な吹き抜けに薪ストーブの煙突が真っすぐと延びている。「真冬になると陽が落ちる間際に雪と空が青白くなるんです。私たちは青の時間と呼んでその美しい瞬間を楽しんでいます」と奥さん

屋根の傾斜が5寸勾配以上ないといけないというルールがある東川町。「この制約は屋根裏にデッドスペースが生じるデメリットがあります。Wさん宅は比較的コンパクトなので、空間を有効に使うために、床を下げて天井高を得た中2階を計画し、トイレや収納を設けました」と太田さん。限られた面積と制約を設計力で最適解に導くプランニングは、アーケンの真骨頂です。

2つの個室を結ぶ渡り廊下は、アイアンの手すりがアクセントに
2つの個室を結ぶ渡り廊下は、アイアンの手すりがアクセントに
正面が奥さんの個室で、右手奥の中2階にはデッドスペースを生かしてトイレを設置した
正面が奥さんの個室で、右手奥の中2階にはデッドスペースを生かしてトイレを設置した
Wさんの個室。窓からは隣接するコテージの様子が分かる
Wさんの個室。窓からは隣接するコテージの様子が分かる

また、同社は北海道のシラカバを有効活用する「白樺プロジェクト」の賛同企業で、床はすべてシラカバフローリングを採用。造作キッチンもシラカバ間伐材を活用した合板で仕上げるなど、白い木肌やきめ細かさといったシラカバの美しい風合いが生かされています。理想の土地に、理想の新居を構えたWさんご夫妻。2024年6月にはコテージも開業し、充実のセカンドライフを満喫しています。