多階層からなる空間構成により
水害にも強い「遊べる家」を実現

ご実家の近くに新居を構えることにしたKさんご夫妻。「大人も子どもも遊べる家」を切望していましたが、話を進めていた地元工務店とは「プランが普通すぎる」という理由で契約までには至らずにいました。そんなある日、インターネットで目にしたのが、エア・コーポレーションが公開していたモデルハウス『見はらしの家』でした。「木を多用した空間とスキップフロアの間取りが楽しげでいいなと思いました」と奥さん。さっそく見学に行くと、家に入った瞬間から空気感が心地よく「ここにお願いしたい」と、ご夫妻の意見が一致したそうです。

正面のスクエアなフォルムとグレーの塗り壁仕上げがスタイリッシュな印象をもたらす。浸水対策としてコンクリート基礎の立ち上がり部分を通常よりも高く設定した
正面のスクエアなフォルムとグレーの塗り壁仕上げがスタイリッシュな印象をもたらす。浸水対策としてコンクリート基礎の立ち上がり部分を通常よりも高く設定した
雨に濡れないよう配慮された玄関ポーチ。レッドシダーをあしらった壁がアクセントに
雨に濡れないよう配慮された玄関ポーチ。レッドシダーをあしらった壁がアクセントに
木の温もりに満ちた玄関。左手のドアの先は家族用のシューズクローク、パントリー、キッチンへと続く裏動線となっている
木の温もりに満ちた玄関。左手のドアの先は家族用のシューズクローク、パントリー、キッチンへと続く裏動線となっている

利便性の良さで選んだ土地は、近くを阿武隈川が流れ、洪水ハザードマップ警戒区域となっていました。そのため洪水対策として、基礎を少し高く設けるとともに、ご夫妻の希望でもあるスキップフロアを採用しました。細分化すると9階層からなるKさん宅。浸水したとしても、最も低い位置にあるピットリビングだけで済むように計画されています。

床は屋久島杉、ダイニングの下がり天井はスギ板張り。内装は飽きのこないよう、ナチュラルにまとめられている。ダイニングの脇にはゴロ寝スペースに最適な畳敷きの小上がり空間をレイアウト
床は屋久島杉、ダイニングの下がり天井はスギ板張り。内装は飽きのこないよう、ナチュラルにまとめられている。ダイニングの脇にはゴロ寝スペースに最適な畳敷きの小上がり空間をレイアウト
料理好きなKさんが選んだトーヨーキッチンスタイルのキッチンが空間を引き締める。背面収納はタモ材で造作
料理好きなKさんが選んだトーヨーキッチンスタイルのキッチンが空間を引き締める。背面収納はタモ材で造作

内と外をつなぐ中間領域的空間が
楽しく心地よい暮らしに貢献

屋久島杉をはじめとする自然素材をふんだんに使ったKさん宅は、9階層からなる空間構成はもちろん、アスレチックネットを張った4.5帖の吹き抜け、秘密基地のような小屋裏空間など、子どもたちがのびのびと遊び回れる工夫が盛りだくさんです。

床下空間を活用したピットリビング。段差があることでベンチのような使い方もできて便利。左手にはテラスに通じる大開口、上部は吹き抜けとなっており、開放感抜群
床下空間を活用したピットリビング。段差があることでベンチのような使い方もできて便利。左手にはテラスに通じる大開口、上部は吹き抜けとなっており、開放感抜群
アスレチックネットを張った吹き抜け。子どもたちの遊び場としてだけでなく、大人の昼寝スペースとしても重宝
アスレチックネットを張った吹き抜け。子どもたちの遊び場としてだけでなく、大人の昼寝スペースとしても重宝

中でもリビングに隣接する広々としたテラスは特徴的。壁と屋根を設けてプライバシーを高めつつ、スリットから光や風を感じられる、内と外との中間領域的なスペースとなっています。テラス自体も2階層に分かれており、間口の広い階段も遊び場の一つになりました。遊んで汚れた子どもたちをすぐに着替えさせたりお風呂に入れたりできるよう、テラスからユーティリティへ直行できる動線も便利です。

リビングから出入りできるテラスはプライベート感満点。周囲に気兼ねなく過ごせる
リビングから出入りできるテラスはプライベート感満点。周囲に気兼ねなく過ごせる
テラスと直結するユーティリティ。この「どろんこ動線」は奥さんの希望により取り入れられた
テラスと直結するユーティリティ。この「どろんこ動線」は奥さんの希望により取り入れられた
間仕切りがなく連続しつつも、スキップフロアにより緩やかに区切られた空間構成が秀逸
間仕切りがなく連続しつつも、スキップフロアにより緩やかに区切られた空間構成が秀逸

「テラスのおかげでカーテンいらずの生活。子どもたちも自由に走り回って発散できているようです」と奥さん。プール遊びやバーベキュー、夕涼みなど多彩な使い方ができるテラスが、Kさんご一家の暮らしに楽しさと心地よさをもたらしています。

Mさん宅の「燃費」キーワード
01.パッシブデザイン02.素材
中庭のようなテラスのおかげで、夏場は窓を全開にできる。風が通り抜けて涼しいため、エアコンの稼働を抑えることが可能床には屋久島杉を使用。蓄熱効果のある無垢材を使用することで、冬は足元がほんのりと暖かく、体感温度がアップ
03.エネルギー計画04.暖房
調理と暖冷房は電気、給湯と乾燥機はガスを使用。一つひとつ考えてエネルギーを選択することで、省エネ意識もより高まる冬場、特に足元の冷えが気になる水まわりに床暖房を導入。ヒートショックを防ぐとともに、局所暖房で消費エネルギーを軽減

断熱施工をしっかり行い、高断熱・高気密な住環境をご提供するのは大前提ですが、エア・コーポレーションが重視するのは、数値に表れる性能よりも体感の心地よさ。Kさん宅でも太陽の光や熱、風といった自然のエネルギーを取り入れ、自然体で暮らす気持ちよさを感じていただける空間を目指しました。結果的に光熱費は、冬は3万円、夏は1万2000円程度で、直前にお住まいだった賃貸アパートのときより安くなったとのこと。喜んでいただけて何よりです。(設計者より)