マイホームを建てるにあたり、「夢のビルトインガレージを実現したい!」と考えている方も多いのではないでしょうか。車好き・バイク好きの憧れとなっているビルトインガレージですが、いざつくろうと思うと、どんな点に注意して計画すればいいか分かりにくいもの。

そこで今回は、ビルトインガレージ付きの家づくりで知っておきたい基礎知識を、実例付きで分かりやすく解説します。メリット・デメリットや後悔しやすい注意点まで詳しく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


ビルトインガレージとは「建物と一体化した駐車場」

ビルトインガレージとは「建物と一体化した」駐車場

ビルトインガレージとは、「ビルトイン(built-in:組み込み)」という言葉のとおり、建物に一体的に組み込んだガレージを指します。カーポートや別棟として建てられるガレージとは異なり、駐車スペースを囲う柱や壁、天井が住居部分とつながっている点が大きな特徴です。

ガレージの種類
主なガレージの種類。「建物と一体化」しているのが「ビルトインガレージ」。

「建物の内部(innner:インナー)」にあるガレージ」という意味で「インナーガレージ」と呼ばれることもありますが、これは「ビルトインガレージ」とほぼ同じものと考えてよいでしょう。

またビルトインガレージを備えた家は「ガレージハウス」と呼ばれ、車好き・バイク好きの方に大変人気です。

愛車を目の届く場所に置ける

ビルトインガレージの基礎知識

ビルトインガレージの基礎知識

ビルトインガレージをつくるには、まずガレージの一般的なサイズや、つくるための条件などを把握しておく必要があります。

  1. ビルトインガレージ付きの家を建てる敷地の条件

  2. ビルトインガレージの建ぺい率の考え方
  3. ビルトインガレージの容積率の考え方
  4. ビルトインガレージと固定資産税の関係

ここでは、計画する際に重要となる上記4点について詳しく見ていきましょう。

1. ビルトインガレージ付きの家を建てる敷地の条件

ビルトインガレージをつくるには、大前提として駐車スペースを確保できるだけの敷地の広さが必要です。車1台あたりに必要な駐車スペースの目安は、以下のとおり。

  • 幅:車の幅+運転席側70cm以上+助手席側20cm以上
  • 奥行き:車の奥行き+前方50cm以上+後方30cm以上

駐車スペース

両側から乗り降りしたり、車の周辺で作業したりする場合は、もう少しスペースが必要になるでしょう。また、これはあくまで「車が停止した状態で必要な広さ」なので、実際には車庫入れする際の動線も考える必要があります。

ガレージの間口

車が大きいほど、また前面道路の幅が狭いほど回転半径が大きくなり、駐車スペースも広めに見積もらなければいけません。一般的には、

幅3m×奥行き6m(4〜5坪)

を基準にすることが多いです。

  • 前面道路の幅が狭い
  • 電信柱などの障害物がある
  • 車庫入れスキルに自信がない

といった場合は、さらに30〜50cmほど間口に余裕を見ておくとよいでしょう。キャンピングカーのような大きい車を停める予定の方は、メーカーのカタログで車のサイズや「最小回転半径」を調べたうえで検討してみてください。

ガレージを除いた部分で生活することを考えると、敷地全体としては30坪以上の広さがほしいところです。

参考:国土交通省|駐車場設計・施工指針

2. ビルトインガレージの「建ぺい率」の考え方

ビルトインガレージ付きの家を建てるには、建ぺい率の計算でどのように扱われるのかを知っておくことも大切です。建ぺい率とは、敷地に対する建物の「平面的」なボリュームを示す指標で、以下の計算式で求めます。

  • 建ぺい率=建築面積(建物の水平投影面積)÷敷地面積

建ぺい率

建ぺい率には法律で定められた上限があり、敷地いっぱいに建物を建てられるわけではありません。この「建物」とは「屋根と柱があるもの」を指し、建築面積にはビルトインガレージの部分も含まれます。

つまり、2階の真下にガレージをつくる場合は特に問題ありませんが、以下のような形の家にすると住居部分の面積が小さくなってしまう可能性があります。

ガレージと建ぺい率
建物からガレージ部分が飛び出している設計だと、建ぺい率オーバーになることも

実際にビルトインガレージをつくる際には、設計・施工会社と相談しつつ、建ぺい率が法律の範囲内に収まるように大きさや配置を決めていくことになるでしょう。

3. ビルトインガレージの「容積率」の考え方

容積率とは、敷地に対する建物の「立体的」なボリュームを示す指標です。

  • 容積率=延床面積(建物の各階床面積の合計)÷敷地面積

延床面積

建ぺい率と同じく容積率にも上限があり、原則としてビルトインガレージを含めて考えなければいけません。ただし、容積率には緩和規定があり、「車庫」として使う空間は一定の面積(延床面積の5分の1)まで除いてよいとされています。

ガレージと容積率
上図のようなケースでは、ガレージ部分を丸ごと除いて容積率を計算できる

一般的に、1〜2台分程度であれば、ガレージ部分を気にせずに限界まで住居部分を確保できるケースが多いです。さらに大きなガレージをつくる場合は、容積率の上限を考えながら調整することになるでしょう。

具体的な敷地の建ぺい率や容積率の上限を知りたい方は、自治体がホームページで公開している「都市計画情報」から調べてみましょう。マップ上で敷地の場所をクリックすると、建ぺい率や容積率の上限値が表示されます。

札幌市地図情報サービス

引用元:札幌市地図情報サービス

ただし、建ぺい率や容積率には複雑な規定が多く、表示された数値がそのまま適用されるとは限りません。詳しく知りたい場合は設計・施工会社に相談するか、自治体の窓口に直接問い合わせてみることをおすすめします。

参考:建築基準法施行令第2条1項4号・同第3条

4. ビルトインガレージと固定資産税の関係

続いて、ビルトインガレージと税金の関係を確認しておきましょう。家を建てると毎年固定資産税を支払っていくことになりますが、「ビルトインガレージがあると固定資産税が高くなる」といった話を聞いた方もいるのではないでしょうか。

ビルトインガレージと固定資産税の関係

固定資産税は「建物の価値」に応じて課される税金であり、ビルトインガレージの部分も課税対象になります。青空駐車場やカーポートは課税対象にならないことが多いため、一般的にはビルトインガレージにすることで固定資産税は高くなるでしょう。

ただし、固定資産税は「建物全体の価値」を評価して算出されます。ガレージの種類が変われば家の間取りや使用する材料なども大きく変わるので、結果的にどのくらい固定資産税が高くなるかは予想しにくいのが現実です。

そのため「ビルトインガレージを取り入れるかどうか迷っている」という方は、次章より紹介するメリット・デメリットも把握したうえで検討してみてください。

ビルトインガレージのメリット

ビルトインガレージのメリット

ビルトインガレージの魅力は、単純に「かっこいい」「おしゃれ」というだけではありません。主に

  1. 愛車を安全・良好な環境で保管できる
  2. 雨に濡れずに愛車に乗り降りできる
  3. 愛車を目の届く場所に置ける
  4. 周囲から隔離されたプライベート空間を楽しめる
  5. 敷地を「タテ」に広く使える

といった、5つのメリットが考えられます。順番に見ていきましょう。

メリット1:愛車を安全・良好な環境で保管できる

愛車を安全・良好な環境で保管できる

ビルトインガレージは、「頑丈な柱や壁に囲まれた空間に車やバイクを置ける」という点が大きなメリットです。雨風や太陽光を遮れるので、サビや塗装の劣化が進みにくく、愛車が長持ちしやすくなります。積雪地では、冬の雪下ろし作業からも解放されるでしょう。

また、シャッターをつけておけば、強風時に物が飛んできて車が傷ついたり、バイクが転倒したりといったリスクもなくなります。特に高級車や珍しい車をお持ちの方は、盗難や車上荒らしの被害を防ぐためにも、ビルトインガレージで安全に保管することをおすすめします。

メリット2:雨に濡れずに愛車に乗り降りできる

雨に濡れずに愛車に乗り降りできる

家の目の前にカーポートや駐車スペースがあったとしても、雨の日には玄関までのちょっとした距離を移動する間に濡れてしまうでしょう。

一方、ビルトインガレージは家と直結した設計なので、移動する際に傘をさす必要がありません。たくさんの荷物を運ぶときや子どもの手を引いて出かけるときなどには、「両手が空く」という大きなメリットを実感するはずです。

ビルトインガレージに小窓を設けると、車のトランクから直接家の中に荷物を運び入れられて便利です。

メリット3:愛車を目の届く場所に置ける

室内からガレージ内の愛車が眺められるようにつくる家も

ビルトインガレージは家に組み込んでつくるため、ガレージ部分と屋内の間を大きな窓やガラス張りの扉などでつなげられます。家の中にいながら愛車の姿が目に入る毎日は、車好き・バイク好きにはたまらないのではないでしょうか。

  • ライトアップしてショールームのように愛車を展示する
  • 愛車を眺めながらカフェタイムやお酒を楽しむ
  • ガレージ内の作業スペースで愛車を眺めながら在宅ワークをする など

ビルトインガレージがあれば、このような「愛車を近くに感じながら暮らす」という理想の生活を実現できます。

メリット4:周囲から隔離されたプライベート空間を楽しめる

周囲から隔離されたプライベート空間を楽しめる

ビルトインガレージには、単なる「車を保管する場所」としてだけではなく「周囲から隔離された空間」として活用できるメリットもあります。壁やシャッターで外部からの視線を遮断できるので、プライベートな時間を過ごす場所として重宝します。

  • 愛車のメンテナンスやDIYなどの趣味に没頭する
  • プロジェクターを使って大画面で映画を鑑賞する
  • キャンプ用品などのコレクションをレイアウトする など

このように、屋内とは少し違う「隠れ家」のような雰囲気を楽しめるのがビルトインガレージならではの魅力といえるでしょう。

メリット5:敷地を「タテ」に広く使える

敷地を「タテ」に広く使える

ビルトインガレージは、変わった形の敷地や狭い敷地に家を建てる際に、間取りの問題を解決する手段として採用されることもあります。カーポートや別棟ガレージとは異なり、駐車スペースの上の空間まで家を広げられるためです。

敷地を「タテ」に広く使える
ビルトインガレージなら、駐車スペースの上の空間まで有効活用できる。

敷地を「タテ」方向にうまく活用することで、駐車スペースも理想の間取りもあきらめずに済むケースは少なくありません。ガレージには汚れやすいものを収納できるので、土間や物置代わりの空間として多目的に使うケースもあります。

特に、高低差が大きい敷地の場合は、一度ビルトインガレージを検討してみるといいでしょう。高低差を埋めるには大がかりな造成工事が必要になるので、半地下のビルトインガレージにすれば費用を大幅に節約できるかもしれません。

ビルトインガレージのデメリット

ビルトインガレージのデメリット

ビルトインガレージは大変魅力的ですが、以下のデメリットもあります。

  1. 騒音に悩まされやすい
  2. 断熱の弱点になりやすい
  3. 耐震等級が取りにくい
  4. 1階のスペースが圧迫される
  5. 車両トラブルの危険に巻き込まれるリスクが高い

一つずつ詳しく見ていきましょう。

デメリット1:騒音に悩まされやすい

騒音に悩まされやすい

ビルトインガレージは家と直結したつくりになるので、どうしても「屋内に音が響きやすい」というデメリットがあります。

  • 車やバイクのエンジン音
  • 電動シャッターの開閉音
  • 風の日にシャッターがバタつく音 など

屋外のガレージを使っていると気づきにくいですが、部屋のすぐそばでこうした音が発生すると思いのほかうるさく感じてしまうでしょう。

家族が寝ている早朝や深夜に車を出し入れするのをためらってしまう方も多いので、寝室やリビングの位置に配慮したうえで、防音対策を徹底する必要があります。

デメリット2:断熱の弱点になりやすい

断熱の弱点になりやすい

家を建てる際は、家の外周に断熱材を入れて「断熱ライン」をつくり、外気の影響を遮断します。しかし、ビルトインガレージがあると「家の外周ライン」が複雑になり、断熱の穴ができやすいというデメリットがあります。

断熱ライン
ビルトインガレージは「半屋外空間」なので、外周ラインが複雑になりやすい

これは建築のプロであっても設計に苦労するところで、慎重に検討しないとガレージの上や隣接する部屋が冷え込みやすい構造になってしまうことも。隅々まで快適な家にするには、ビルトインガレージのある家づくりの経験豊富な設計・施工会社に依頼することが大切です。

なお、シャッターは断熱性が低く隙間もあるので、ガレージ内を完全な屋内空間にするのは困難です。作業場を兼ねるなどして長時間過ごす想定であれば、専用のエアコンや暖房器具を設置する必要があるでしょう。

デメリット3:耐震等級が取りにくい

耐震等級が取りにくい

ビルトインガレージをつくると、家の中に大きな空洞ができます。家を支える壁や柱が少なくなるので、耐震性の面では不利といえるでしょう。もちろん、きちんと計画して法律上の基準を満たしていれば安全ですが、「耐震等級」の認定を取得するのはかなり厳しいのが現実です。

「耐震等級」とは家の耐震性能を示す指標で、専門機関の審査で基準をクリアしていると認められれば「認定書」が交付されます。認定を取得すれば地震保険料が割引されたり補助金制度を利用できたりとさまざまなメリットを得られるので、ビルトインガレージをつくるかどうかは慎重に判断したいところです。

構法や間取りを工夫することで認定を取得できるケースもあるので、早い段階で設計・施工会社へ相談してみるといいでしょう。

参考:住宅性能評価・表示協会|耐震等級(地震などに対する強さ)

▼「地震に強い家」を作りたい方はこちらもご覧ください
「地震に強い家づくり|構造・間取りの考え方から暮らし方まで徹底解説」


デメリット4:1階のスペースが圧迫される

1階の居住スペースが圧迫されやすい

ビルトインガレージをつくるには少なくとも4〜5坪程度の広さが必要ですが、そうすると1階の大半のスペースを占めることに。また、車の影になって奥の空間が暗くなるため、間取りに制約が生まれやすい側面があります。

広さに余裕のある敷地でない限り、リビングやキッチンなどの居住スペースは必然的に2階より上に配置することになるでしょう。スキップフロアにして空間を有効活用することもできますが、家の中に複数の段差ができる点に注意が必要です。

ガレージハウスと段差

バリアフリーを意識した家づくりを考えている方は、ビルトインガレージの有無を慎重に検討してみてください。

デメリット5:車両トラブルの危険に巻き込まれるリスクが高い

車両トラブルの危険に巻き込まれるリスクが高い

ビルトインガレージは車と屋内の距離が近いので、以下のように車に関するトラブルが住居部分にまで影響しやすいというデメリットがあります。

  • 駐車する際に柱や壁にぶつかって破損
  • エンジンの切り忘れで排気ガスが充満
  • 子どもがガレージ内に入り込んだことに気づかず衝突してしまう など

こういった危険はカーポートや別棟ガレージでも当てはまることですが、ビルトインガレージはそのリスクがより高く、被害も大きくなりやすいのは事実です。トラブルを防ぐためには、間取り計画や換気設備の導入など、入念な対策が必要です。


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後悔しないために!
ビルトインガレージのある家を建てる際の注意点

後悔しないために!ビルトインガレージのある家を建てる際の注意点

実際にビルトインガレージのある家を建てる際は、後悔しないためにも以下の注意点を守ることが大切です。

  • ビルトインガレージの使い方を明確にする
  • ガレージを実際に動き回りながら計画する
  • ライフスタイルの変化を想定しておく

順番に詳しく解説します。

ビルトインガレージの使い方を明確にする

ビルトインガレージの使い方を明確にする

どのように使いたいかによって、ビルトインガレージの最適なサイズや配置、デザインは異なります。

例えば、愛車のメンテナンス作業を楽しむための場所にしたいなら、車の周辺の作業スペースを広めに確保する必要があるでしょう。床材や壁紙は、油汚れに強い素材や洗車後の水が乾きやすいような素材とし、給排水についても考えなければなりません。

一方、ショールームのように鑑賞目的のおしゃれな空間にしたい場合は、ガレージのスペースを広く取るよりも、家の中から見えるようなプランニングを優先したいところ。内装も、車体をライトアップする照明やおしゃれなタイルなどを取り入れたいですね。

ライフスタイルに合わずに使いにくいと、せっかくのガレージがただの物置になってしまいがち。「同じスペースがあればもう1つ部屋がつくれたのに…」と後悔しないためにも、

  • 置きたい車・バイクの車種と台数は?
  • 車以外に収納したいモノはある?
  • 平日・週末にガレージ周辺でどんなことをする?
  • 主に使う人は?家族でどのように共有する?

といった点を明確にしておくとよいでしょう。

ガレージを実際に動き回りながら計画する

ガレージを実際に動き回りながら計画する

ビルトインガレージの計画を進めていくと、数cm単位で寸法を調整する場面に出会うことがあります。

  • 車の前後・左右の余白
  • シャッターの間口や高さ
  • ガレージ内の床の勾配 など

これらは図面や言葉だけで聞くと実感しにくいですが、使い心地に大きく影響するポイントです。

完成してからイメージとのギャップで後悔する方も少なくないので、メジャーを片手に車の周辺を動き回り、実際の感覚をつかみながら計画してみてください。身近にガレージがなければ、設計・施工会社にかけあって過去の施工事例を見せてもらうか、モデルルームなどを見学するといいでしょう。

おすすめは、1日の生活の流れをイメージしながらチェックしてみることです。車で出かけるときに使う電動シャッターや照明のスイッチの位置、扉の施錠方法など、見落としやすいポイントに気づきやすくなります。

ライフスタイルの変化を想定しておく

ライフスタイルの変化を想定しておく

ビルトインガレージを計画する際はどうしても「今の車」「今の家族構成」「今の生活」を基準に考えてしまいやすいです。

しかし、日本自動車工業会の調査によると、乗用車の保有期間は平均7年前後。家の寿命よりも車の寿命のほうがはるかに短く、買い替えで車種が変わることもあるでしょう。数年後には家族が独立したり仕事を始めたりして、もう1台車が必要になるなど、生活スタイルの変化が訪れるかもしれません。そのため、家族でライフプランを確認し、変化に備えたビルトインガレージを計画することが大切です。

ちなみに実際にビルトインガレージのある家づくりをした方が「やってよかった」と感じることで多いのは、

  • EVへの買い替えを想定してコンセントを備えておいた
  • 大型車を買うことを考えて天井を高めにしておいた
  • 車椅子でも通れるくらいの通路幅にしておいた

などです。ぜひ参考にしてください。

参考:日本自動車工業会|2023年度乗用車市場動向調査

【間取り実例集】おしゃれなビルトインガレージのある家5選

【間取り集】おしゃれなビルトインガレージのある家5選

最後に、おしゃれなビルトインガレージを実現した家の事例をご紹介します。ぜひ間取り図を見ながら暮らしのイメージもつかんでみてください。

実例1 ビルトインガレージのある平屋の家【約45坪】

1.約45坪・ビルトインガレージのある平屋の家

2台の車をゆったりと収納できるビルトインガレージを備えた家です。敷地が約90坪とかなり広く、平屋ベースの間取りになっています。

ガレージはシャッターをつけないオープンタイプ。車の姿が家の正面から見え、スタイリッシュな外観の一部になっていますね。ガルバリウム鋼板は高級感と落ち着いた雰囲気を与えるので、ブラックをはじめとしたダークカラーの車によく似合います。

間取り図1

間取り図を見ると、ガレージに接する部分には物置や水まわりが配置されていることが分かります。寝室やリビングとの間にクッションができるので、普通に生活していればガレージの音に悩まされる心配はないでしょう。段差も最小限になっており、長く快適に暮らせる家を目指すのであればぜひ見本にしたいプランです。


▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「マンションの機能性と戸建ての開放感を兼ね備えたイイトコどりの平屋風住宅」


実例2 ビルトインガレージのある3階建ての家【約40坪】

2.約40坪・ビルトインガレージのある3階建ての家

続いては、敷地を立体的に活用した3階建ての家です。1階部分が全面ビルトインガレージ、2階より上が居住スペースという間取りになっています。海沿いという立地にふさわしく、ホワイトとガラス窓でさわやかにまとめた外観が印象的ですね。

ガレージ画像1
ガレージ画像2

ガレージは、車が1台とバイクや自転車をゆったり置ける広さ。落ち着いた木目調の引き戸シャッターを取り付け、潮風や日光から愛車を守っています。ガレージと玄関ホールの間はガラス張りの建具でつながっており、階段を下りるときから愛車の姿が目に入ってきます。

ガレージの奥には扉付きの収納も完備。細々としたものをスッキリ収納できるので、生活感が出ません。

実は、この家は津波浸水区域に位置しており、防災のためにビルトインガレージを取り入れたという経緯があります。メインの生活スペースが2階以上にあれば、仮に1階が浸水した場合も被害を最小限におさえられ、復旧作業の負担も減らせるためです。

ハザードマップで洪水浸水想定区域などに指定されている場合にも適用できるアイデアなので、ぜひ参考にしてみてください。


▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「海と空を見渡すリゾートライフ」


実例3 アイデアで2台分のビルトインガレージを実現した家【約40坪】

3.約40坪・アイデアで2台分のビルトインガレージを実現した家

北側道路に面した敷地にビルトインガレージのある家を建てた事例です。直線的なラインが際立つスッキリした外観がおしゃれですね。

間取り図

この家の間取りのポイントは、「通路」をできるだけ省略している点です。ビルトインガレージのなかを通って玄関に入る動線にしたことで、玄関アプローチを別でつくる必要がなくなり、限られた敷地に2台分の駐車スペースを確保できています。

また、北側にガレージを寄せているので、南側いっぱいにリビングを広げられている点にも注目です。

事例3画像

大きな窓からは明るい光が射し込み、家族で心地よい時間を過ごせる空間になっています。ビルトインガレージを取り入れる場合は、この家のように「方角」にも配慮しながら計画してみてください。


▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「デザインの統一感にこだわり、住み良さと美しさを両立させた読書を楽しむ住まい」


実例4 変形地でビルトインガレージを実現した家【約35坪】

4.約35坪・変形地でビルトインガレージを実現した家

こちらは、高低差のある変わった形の敷地にビルトインガレージ付きの家を建てた例です。ガレージシャッターを外観のアクセントとして使い、軒裏に合わせて明るい木目でコーディネートしている点がおしゃれですね。

事例4ガレージ画像1

ガレージ内には物置兼作業スペースを併設。秘密基地のような雰囲気のなかで趣味の時間を楽しめます。水や汚れに強いコンクリート仕上げの床にしながらも、天井に木目を取り入れたことで温かみのある空間に仕上げている点に注目です。

事例4間取り図1

事例4間取り図2

事例4間取り図3

間取りは敷地の高低差を活かしてスキップフロアを採用。ガレージと寝室の間にホールを挟んだことで、移動しやすさと騒音対策を両立しています。水まわりもコンパクトにうまくまとまっており、暮らしやすい理想的なガレージハウスといえるでしょう。


▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「住宅街の狭小変形地を生かして叶えた、人生が豊かになる家」


実例5 コンパクト住宅でビルトインガレージを実現【約20坪】

5.約20坪・狭小地でビルトインガレージを実現した家

最後は、22坪・平屋のガレージハウスをご紹介します。狭小地ながら、2〜3台の車を置ける広々としたビルトインガレージを実現した事例です。黒く塗装したスギ板の壁が、愛車を陽射しからしっかりと守っていますね。

事例5画像2

ガレージ内には段差や飾りつけの棚などがなく、色もモノトーンで統一。シンプルだからこそ、愛車が「主役」として引き立っています。

ゆったりとした駐車スペースを確保できたのは、動線を最適化して住居スペースをコンパクトにおさめられたから。扉をできるだけ取り除いたオープンな間取りで、視線が抜けるので小さくまとめていても圧迫感がありません。

事例5画像3

理想の暮らしを思い描き、必要なものと不要なものを明確にしてから間取りに落とし込んだことが伝わってくる家です。限られたスペースにビルトインガレージをつくりたい場合は、ぜひこのような「引き算」を意識したプランニングを試してみてください。


▼この事例の詳細は、こちらの記事をご覧ください
「機能的かつミニマムでありながら、木の温もりと香りに安らぐ家」


ビルトインガレージは、「建物に組み込んでつくる」という性質上、一般的なガレージよりもスペースや配置を工夫しながら計画する必要があります。

ビルトインガレージまとめ

実際につくる際は、敷地の条件や建ぺい率・容積率などを考慮しつつ、建築のプロと相談しながら詳細を決めていくことになるでしょう。スムーズに打ち合わせを進めるためにも、まずビルトインガレージをどのように使いたいかを明確にすることが、納得の家づくりへの近道です。本記事を参考にして、ぜひ理想のガレージライフを手に入れてください。

(文/Replan編集部)