住み替えをした奥さんのご両親から「空いている実家を活用してほしい」という話が持ち上がったのは2022年のこと。いつかは戸建てのマイホームをと考えていたご夫妻にとって、それは思いがけないご両親からの申し出でした。「ところが、久しぶりに住んでみると隙間風がひどく、とても足元が寒くて。寒さを解消して、既存の壁付けキッチンや水まわりも替え、今の暮らしに合った住まいに一新したいと思いました」と、奥さんは振り返ります。

外壁をサイディングからモルタルアートに変更し、南仏風の雰囲気のある外観に一新。車庫は既存のまま残した
外壁をサイディングからモルタルアートに変更し、南仏風の雰囲気のある外観に一新。車庫は既存のまま残した
玄関ドアは住宅性能向上のため、スウェーデン製の木製断熱ドアに交換。クラシックなデザインが外観の雰囲気を引き立てる
玄関ドアは住宅性能向上のため、スウェーデン製の木製断熱ドアに交換。クラシックなデザインが外観の雰囲気を引き立てる
既存の和室は、ゆったりとした土間収納へと生まれ変わった。2WAY動線と造作棚で、使いやすさを実現
既存の和室は、ゆったりとした土間収納へと生まれ変わった。2WAY動線と造作棚で、使いやすさを実現

リノベーションの依頼先を探していた奥さんが選んだのは、温熱環境の改善、デザイン性で定評のあった地元の多田工務店。質感豊かなパイン無垢材や珪藻土の塗り壁を採用したプロバンススタイルのデザインは「やわらかな雰囲気の住まいにしたい」という奥さんのイメージにぴったりだったといいます。「相談に出かけると、建物の良いところを生かした提案をたくさんしてくれて、予算組みが明確だったので、安心してお願いすることができました」。

玄関ホールに隣接していた既存の和室は、Hさんの趣味室に変更。「筋トレに音楽、ゲーム、自分の時間を心ゆくまで楽しめます」
玄関ホールに隣接していた既存の和室は、Hさんの趣味室に変更。「筋トレに音楽、ゲーム、自分の時間を心ゆくまで楽しめます」
採光窓を設けた既存の5.5mの吹き抜けを生かした明るく開放的なリビング。床はフレンチパインの無垢材を採用。木の温もりが家族団らんのひと時を優しく包みこむ。パイン材のカーテンレールも造作仕様
採光窓を設けた既存の5.5mの吹き抜けを生かした明るく開放的なリビング。床はフレンチパインの無垢材を採用。木の温もりが家族団らんのひと時を優しく包みこむ。パイン材のカーテンレールも造作仕様

近所で仮住まいをしながら、工事の行方を見守ること約4ヵ月。築33年を経た2✕4の旧居は、つくりがしっかりしていたためプランどおりに工事が進みました。「最終段階の内装工事では、棚の位置決めや造作収納の増設など、私たちの要望を反映した調整もしてくれて、満足度の高いリノベーションができました」。

奥さん念願のリビング・ダイニング全体を見渡せる対面式キッチン。ペンダント照明は奥さんが選んだお気に入り。パイン材のダイニングテーブルも造作
奥さん念願のリビング・ダイニング全体を見渡せる対面式キッチン。ペンダント照明は奥さんが選んだお気に入り。パイン材のダイニングテーブルも造作
タイル仕上げの壁とパイン材の面材、真鍮の取っ手が温かな雰囲気をつくり出すキッチンも造作ならでは。使い勝手抜群で「日々の料理が楽しくなった」とご夫妻
タイル仕上げの壁とパイン材の面材、真鍮の取っ手が温かな雰囲気をつくり出すキッチンも造作ならでは。使い勝手抜群で「日々の料理が楽しくなった」とご夫妻

そして2023年の暮れ、リノベーションが完了。基本的な間取りはそのままに、愛らしい南仏風の住まいに生まれ変わりました。奥さんを悩ませていた隙間風と寒さは、すべての窓をトリプルガラスの高性能断熱サッシに交換することで解決。「多田工務店の提案で申請した省エネ補助金でほとんどの費用をまかなうことができたので、予算をほかに充てることもできました」と、奥さんは笑顔で話します。

キッチンと水まわりの間には、造作カウンターを設けたワークスペースがある。回遊式の裏動線は、壁を利用した造作収納も充実
キッチンと水まわりの間には、造作カウンターを設けたワークスペースがある。回遊式の裏動線は、壁を利用した造作収納も充実
洗面台は大理石とパイン材で造作。クラシックなデザインの洗面ボウルはアメリカ製
洗面台は大理石とパイン材で造作。クラシックなデザインの洗面ボウルはアメリカ製
1階トイレのパイン材建具を用いた収納は、工事中に追加で増設。きめ細かな対応で納得の仕上がりを実現した
1階トイレのパイン材建具を用いた収納は、工事中に追加で増設。きめ細かな対応で納得の仕上がりを実現した

奥さん念願の「子どもの顔が見える」対面式キッチンも造作仕様で実現しました。パイン無垢材の建具、タイルを用いたキッチンは、リビングで遊ぶ子どもの様子も一目瞭然。さらに水まわりや玄関と回遊式の裏動線で結ばれ、家事効率抜群です。パイン無垢材を用いた床や造作、珪藻土の塗り壁がもたらす清々しい空気感も嬉しいポイントです。

2階階段ホールの壁も珪藻土の塗り壁仕上げ。コストコントロールのため床はカラーフロアを採用
2階階段ホールの壁も珪藻土の塗り壁仕上げ。コストコントロールのため床はカラーフロアを採用

パイン材の床は、直に座っても暖か。また安全性の高い自然派塗料「オスモカラー」で仕上げられているので、床で遊ぶ小さな子どもにも安心です。「子どもが小さいうちから本物の木に触れることも、良い経験になります。願いどおり、温かく優しい雰囲気に仕上がり、暮らしやすい住まいになって、気持ちにも余裕が生まれました」と、奥さんは声を弾ませて話してくれました。