住まいとは、家族とともに素敵に時を重ねる“暮らしの器”。ヨーロッパの住宅のように100年、200年と普通にその土地に在り続ける住まいを旭川の地で実現したい。その願いを叶えるべく27年間、アクト建築工房の代表・澤田和宏さんは、数多くの住まい手とともに家づくりに取り組んできました。

ここではアクト建築工房の家づくりの考え方に共感した6組のご家族の住まいをご紹介します。また、澤田さんからは、流行に揺らぐことのないエイジレスな魅力と住みよさを兼ね備えた住まいづくりの秘密をお話しいただきました。

この記事の目次

お施主様の声

アクト建築工房の家づくり

VOICE.01 旭川市・Nさん
北欧の住まいを自分の目でも確かめたいと思い、旅行にも行ってきました

Nさんがパソコンを開いたり、将来子どもが宿題を広げても余裕たっぷりの広さを持ったナラ無垢材のダイニングテーブル。造作のテレビボードはウォールナットにカラー扉を合わせた。「バックボードのライムストーンは澤田さんイチオシです」とNさん
Nさんがパソコンを開いたり、将来子どもが宿題を広げても余裕たっぷりの広さを持ったナラ無垢材のダイニングテーブル。造作のテレビボードはウォールナットにカラー扉を合わせた。「バックボードのライムストーンは澤田さんイチオシです」とNさん

子どもが生まれたことをきっかけに本格的に家づくりを始めたのですが、土地探しが難航し、2年に及ぶ長期戦となりました。しかし工務店探しはスムーズでした。友人宅の近所に建ったアクト建築工房の家が、私たちの好みにぴったりだったんです。オープンハウスへ足を運び、色使いや住まいの雰囲気に共感し、すぐに気持ちが固まりました。

澤田さんとの打ち合わせは時間を忘れるほど楽しくて、充実していました。澤田さんから北欧の話を聞いているうちに、自分の目で確かめたくなり北欧旅行を決意。古いものと新しいものが共存し、住宅に使われている色も多様で奥深く、色使いに対する既成概念が変わりましたね。新居は北欧カラーでまとめた上質感のある空間が実現し、家にいるのが大好きになりました。

黄色いペイントが可愛い将来の子ども部屋。今はセカンドリビングとして活用中
黄色いペイントが可愛い将来の子ども部屋。今はセカンドリビングとして活用中
北欧旅行で学んだ色彩の感覚が生かされている2階。建具もペイントで仕上げた
北欧旅行で学んだ色彩の感覚が生かされている2階。建具もペイントで仕上げた

VOICE.02 旭川市・Aさん
長年のお付き合いで築かれた信頼をもとに、家づくりをお願いしました

正面に車2台分のガレージを組み込み、ワイドな外壁には高級感あふれる石の質感
正面に車2台分のガレージを組み込み、ワイドな外壁には高級感あふれる石の質感

子どもたちが独立し二人暮らしになったので、夫婦でゆっくりくつろげて、時々遊びに来る子どもたちが泊まれるぐらいの広さの家がいいと思い、3度目の家づくりを決意しました。澤田さんは、1軒目の新築時に現場を担当してくれたご縁から長年のお付き合いで信頼関係が築かれていたので、迷うことなくお願いしました。

気心が知れてますので、内部の仕上げなどはほとんど澤田さんにお任せしました。シンプルでベーシックなスタイルをベースに、石張りの壁やナラの無垢フローリング、天然大理石などで、アクト建築工房らしさを盛り込んでくれました。以前の家では冬になるとストーブの前で床に寝転がってダラダラしていましたが、今は家全体が暖かく、特に広いダイニングが居心地いいので、ほとんどここで過ごしています。快適さも大満足です。

エントランスはスタイリッシュなコンクリート打放しの塀で目隠し
エントランスはスタイリッシュなコンクリート打放しの塀で目隠し
吹き抜けが開放的なダイニング・キッチンはご夫妻が最も長く過ごす場所だけに居心地のよさにこだわった
吹き抜けが開放的なダイニング・キッチンはご夫妻が最も長く過ごす場所だけに居心地のよさにこだわった

VOICE.03 旭川市・Hさん
求めていた北欧の家づくりを実現してくれる最高のパートナーでした

床や階段のナラ、造作のタモ、チェリーなど、自然の木肌を生かしたLDK。ダイニングの椅子は家が完成する2年前にHさんが初めて買ったものだそう
床や階段のナラ、造作のタモ、チェリーなど、自然の木肌を生かしたLDK。ダイニングの椅子は家が完成する2年前にHさんが初めて買ったものだそう

二人とも北欧の家具やインテリアに強い興味を持っていました。子どもたちの進学を考慮し、旭川市内で北欧家具が似合う住まいを新築しようと決めていたのですが、中富良野町でアクト建築工房が建てた家を見て、探していた依頼先はここだったんだと思いました。澤田さんは北欧デザインにも詳しくて、最高のパートナーに出会った気がしました。

新居は、素材を一つひとつ吟味しながら、ゆっくりとつくり上げていきました。気に入っていたカール・ハンセン&サンの家具や、ルイスポールセンの照明がしっくりとなじむ空間になってとても嬉しいです。木の香りが漂う室内は、どこも暖かく快適。ナラやチェリー、タモの質感を生かした住まいをメンテナンスしながら、経年変化を楽しんでいきたいと思います。

ルイスポールセンの照明、カール・ハンセン&サンの家具が美しい調和を見せるリビング・ダイニング。無垢の真鍮と木材、乳白色のガラスを基調に内装を整えた
ルイスポールセンの照明、カール・ハンセン&サンの家具が美しい調和を見せるリビング・ダイニング。無垢の真鍮と木材、乳白色のガラスを基調に内装を整えた
外部の視線を遮るため、公道側の開口は最小限に抑えた。グレーと白のコントラストが効いた直線的なフォルムの外観はモダンな印象
外部の視線を遮るため、公道側の開口は最小限に抑えた。グレーと白のコントラストが効いた直線的なフォルムの外観はモダンな印象

VOICE.04 中富良野町・Kさん
期待どおりのプランで、希望がそのまま形になりました

2ブロック先からでもその姿は一目瞭然。ランドマークのような存在感を放つ外観
2ブロック先からでもその姿は一目瞭然。ランドマークのような存在感を放つ外観

土地の取得から数年、何社ともプランの相談を重ねましたが、和室やカーポート、農家玄関と動線計画など、家づくりのベースとして外せないものを配置するだけでもなかなか納得する間取りには辿り着かず苦労していました。

偶然な機会でアクト建築工房のことを知り、早速オープンハウスに。既製品に頼らない丁寧な施工、生活することがしっかりと意識されている家事動線を体験して、ほかの会社にはお願いできなかったことを頼めるかもしれないと思いました。その期待どおり、提案されたプランは希望がそのまま形になったものでした。

リビングからぐるりと見渡せる山々を見ながらの朝ご飯や小休憩に、これまでの生活よりもずっと豊かに過ごせていると実感する毎日です。

ダイニングテーブルの向こう側には十勝岳連峰の尾根が広がる大パノラマ。「毎日、見るたびに山の表情が違うことに癒やされます」と奥さん
ダイニングテーブルの向こう側には十勝岳連峰の尾根が広がる大パノラマ。「毎日、見るたびに山の表情が違うことに癒やされます」と奥さん
古い耐火煉瓦と職人オリジナル収納の新旧融和キッチン。エアコンの位置も熟考された
古い耐火煉瓦と職人オリジナル収納の新旧融和キッチン。エアコンの位置も熟考された

VOICE.05 旭川市・Yさん
家づくりと経年変化の楽しさを教えてもらいました

大きなライトが印象的なダイニング。「本を読んだり、書き物をしたり、ダイニングはこもるのが苦手な私の作業スペースでもあります」と奥さん
大きなライトが印象的なダイニング。「本を読んだり、書き物をしたり、ダイニングはこもるのが苦手な私の作業スペースでもあります」と奥さん

2年かけてようやく希望の条件に合う土地を見つけ、北欧テイストのデザインを希望して工務店やハウスメーカーなどを何社も巡る中で、知人に紹介された会社がアクト建築工房でした。驚いたのは、澤田さんと会話をしてみて「家づくりって楽しいんだ!」と実感できたことです。「家も生きています」という澤田さんの言葉は、今も私たちの心に残っていますね。自然素材ならではの経年変化を楽しみながら、家も暮らす人も一緒に歳を重ねていく、という話に強く共感しました。

完成した新居は、無垢材や石など素材の質感を大切にした北欧風の佇まい。現地の空気を感じたいと思い決行した北欧旅行で購入したポスターや雑貨もマッチしていて気に入っています。月日を重ねるごとに変化する家族とともに成長する家ができたことに、嬉しさもひとしおです。

割り肌の石材を採用したキッチンは、建築家のアルヴァ・アアルトがデザインした真鍮のペンダントライトが映える。「北欧旅行時にアアルトの家を見て感動したことを澤田さんに伝えたところ、このペンダントライトを提案してくれました」
割り肌の石材を採用したキッチンは、建築家のアルヴァ・アアルトがデザインした真鍮のペンダントライトが映える。「北欧旅行時にアアルトの家を見て感動したことを澤田さんに伝えたところ、このペンダントライトを提案してくれました」
テレビ背面の壁は、マットグレー系の石材をセレクト。機器を収納する扉はブラッグガラスで制作した
テレビ背面の壁は、マットグレー系の石材をセレクト。機器を収納する扉はブラッグガラスで制作した

VOICE.06 旭川市・Tさん
憧れだった海外のインテリアを実現した自慢のわが家ができました

大きな窓と大胆な吹き抜けが圧倒的な開放感をもたらすLDK。光が射し込む無垢床が心地よい。窓辺の一部の床に石を敷き、内と外の行き来をスムーズにしている
大きな窓と大胆な吹き抜けが圧倒的な開放感をもたらすLDK。光が射し込む無垢床が心地よい。窓辺の一部の床に石を敷き、内と外の行き来をスムーズにしている

築30年以上経つ旧居を取り壊すことを決め、憧れのインテリアが似合う家を実現してくれる家づくりのパートナーを探して出会ったのがアクト建築工房でした。画一的ではなくデザイン性があって、すべての家にオリジナリティーを感じました。さらに、代表の澤田さんはインテリアの知識が豊富で、家具や照明の歴史的な背景や物語を知ることで、より深みを感じることができました。おかげで新居は、集めてきたルイスポールセンの照明やフリッツ・ハンセンのチェアがしっくりなじむ空間となりました。

大きな吹き抜けのあるLDKから見える窓の向こうの緑やハイサイドライトが切り取る青空を見ていると、ここが住宅街であることを忘れてしまいます。旧居では来客を迎えることはほとんどありませんでしたが、新居は人を呼びたくなる家になりました。

ハイサイドライトからの光が美しいリビング。スタンド照明はフランク・ロイド・ライトのタリアセンをセレクト
ハイサイドライトからの光が美しいリビング。スタンド照明はフランク・ロイド・ライトのタリアセンをセレクト
キッチンは側面とトップに、洗面台と同じクォーツスラブを採用し、収納部はチェリー材を使った。石と木の調和が美しいキッチンに、PHランプがアクセントになっている
キッチンは側面とトップに、洗面台と同じクォーツスラブを採用し、収納部はチェリー材を使った。石と木の調和が美しいキッチンに、PHランプがアクセントになっている

プランづくりの始まりは夢と現実の交通整理

アクト建築工房のプランづくりは、住まうご家族が抱いている家への想いや生活スタイルを丹念にうかがうことから始まります。家は暮らしの夢を叶える存在であると同時に、毎日の生活の場でもあります。例えば、薪ストーブ。確かに、炎を眺めるひとときは素敵です。しかし、その楽しみを得るためには薪の手配から灰の後始末、煙突のメンテナンスが必要。子育てと共働きで日々忙しくされているご家庭では、手間の多い薪ストーブは暮らし方と合わない場合もあるでしょう。

あたたかみのあるアクト建築工房の事務所には、澤田さんが長年集めてきた椅子や照明の一部が並ぶ。名作家具は時を経ても魅力の色あせないものが多く、同社では家具や照明まで含めたトータルな住まいづくりの提案を大切に考えている

ご家族ごとに求めている「住まいの素敵」は異なります。薪ストーブの例のように、ご要望に対してのメリット、デメリットを丁寧に一つずつ説明しながら、ご家族が求める「住まいの素敵」を探っていきます。それをたたき台としてまず「ゾーニング」を導き出し、ご提案させていただいています。実はそこからが、本当の打ち合わせのスタートです。それから1年以上の月日をプランづくりに要したこともありました。

家づくりは人生最大の投資です。だからこそ、住んでからはいつまでもご家族にキラキラしていていただきたい。それを叶えるために時間を惜しまず、先々の暮らしまでご家族と一緒に考え抜いて、納得を超えたプランを完成させたいと思っています。

時を重ねても輝き続ける 普遍性のある住まい

ドイツやスウェーデンに点在する築100年超の建物のように、時の波に洗われても色あせない、むしろ表情が深まっていくような普遍性のある住まいを実現するため、私たちは経年変化とメンテナンス性に優れた本物の素材にこだわり続けてきました。床や造作には北海道産のナラやタモの無垢材。造作は自社設計を基本とし、無垢材や石材などの自然素材と蓄えた経験、大工さんや建具職人さんの技術を生かして仕上げており、完全オリジナルの造作は、生活スタイルの変化にもしなやかに寄り添います。自然素材を多用した空間はいつまでも気持ちがよく、経年変化がプライスレスな付加価値になります。

事務所ではさまざまな素材の魅力を体感できる。アクト建築工房では自然素材を用いた造作も多く行っており、3枚目の写真がその一例。ウォールナット、タモ、石材やタイルなどが美しく調和した造作キッチンが心地よい素材感を表す

築23年を経た自宅は、その経年変化をリアルに体感していただけるショールームとしても機能しています。この家を含め、これまで手がけた住まいは、新築よりもむしろ10年の歳月を経て、より住みよく、住まい手の色になるよう願ってつくってきました。手間や時間を惜しまずに計画し、普遍性のあるデザインと仕様を採用し続けてきたことも、それを実現するための積み重ねです。ごく普通でありながらエイジレスな建物たちが住み継がれることで、街もまた素敵に成熟し、豊かな生活文化が育まれるのではないでしょうか。

数値では測れない心地よさを大切に

敷地の現地調査の際には、その土地の良いところ、悪いところをじっくりと観察します。山並みや田園を望む土地、隣接する公園の緑が美しい土地。家が好きな方々が選ぶ敷地は、そこに立つだけでどんな暮らしをしたいのかまでよく分かるため、その魅力を最大限に引き出せるよう、建物の配置や開口計画を考えます。南面に開口という建築のセオリーにとらわれず、北に素敵なロケーションがあれば、あえて北に開いた住まいをご提案。併せて風向きや降雪量などから、冬の暮らしがストレスにならないよう配慮することも大切にしています。

土地の魅力を最大限に生かしながら、住まい手のオリジナリティーを足していくのがアクト建築工房のスタイル。事務所の一角にあるこれまで手がけてきた注文住宅の模型から、オンリーワンな家づくりがうかがえる

家づくりにかけられる予算には限りがあるもの。コストバランスを考える上で、機械に頼らずに過不足のない住宅性能を実現しながら、数値では測れない住まう人の感受性を潤すもの、豊かな空間性を大切にしたいと思っています。また、新築時には小さかったお子さんもやがては成長して9割が巣立っていき、夫婦二人暮らしになるともいわれている中、建築計画では、これまでの経験を鑑みながら、ご家族のライフサイクルを見通したご提案をしています。心がけているのは、子育て後の夫婦それぞれが気持ちよく暮らせる程よい広さと、柔軟性を要にした空間づくりです。