佐元工務店 / 宮城県仙台市・Sさん宅 夫婦、子ども2人
悩みの種は、築31年の実家が抱える「冬の寒さ」
築31年の実家で暮らしていたSさんご一家。生まれ育った家に愛着があるものの、東日本大震災で発生した壁のひび割れや経年劣化、そして何よりも冬の寒さが悩みの種でした。
両親が建てた家だったため、取り壊しは避けたかったSさんは、建築コストも考慮してリノベーションを選択。新築から大型建築、公共工事など多岐にわたる実績を持つ佐元工務店に工事を依頼しました。
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佐元工務店は、仙台市内を中心に住まいに関わるさまざまな困りごとに対応する創業69年を数える地域密着型の工務店。「しっかり話を聞いてくれる姿勢と、押し売りをしない誠実さが決め手になりました」と、Sさんは話します。
同社が近年、より力を注いでいるのがリノベーションです。単に見た目を綺麗に修復するのではなく、快適な温熱環境を先々まで維持することを目的とした断熱・耐震改修を行う「性能向上リノベーション」を軸にしているため、寒さに悩むSさんご一家にとって、まさに理想的な工務店でした。
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Sさん宅は外壁などの傷みはあったものの、建物の構造自体は頑丈。床の解体は不要だったため、既存のフローリングをはがさずに上張りすることに。床下は冷気や隙間風の影響を受けやすく、底冷えの最大要因となるため、防蟻処理後に床下から発泡ウレタンを吹き付ける断熱工事を施しました。
壁の解体は当初、必要箇所のみを予定していましたが、差込巾木だったため、巾木の撤去に合わせて床から30cmの高さまで壁を解体。壁内のカビ腐れのリスク軽減や冷たい空気が壁の中に入り込まないように気流止めを行いました。
南側のサッシは、壁の解体工事が不要のカバー工法「マドリモ」を採用。既存の窓枠の上に最新の断熱窓をかぶせて取り付けることで、手間とコストを抑えています。浴室のサッシはユニットバスへの入れ替えに伴って、国内最高基準の断熱性を誇る高性能樹脂サッシ「APW330」に刷新。そのほかの元からの窓に内窓を取り付けるなど、開口部の断熱化も徹底しました。
断熱性と耐震性の向上で、安心・快適な住まいに
2023年11月に完成した新居は、外壁の一部に天然木サイディングを採用したナチュラルな佇まい。室内は「佐元工務店の新築モデルルームを見て、木や漆喰といった自然素材に憧れた」というご夫妻の希望を叶え、LDKと1・2階のホールおよび階段に漆喰壁と無垢フローリングを用いました。その効果で素材の質感や温もりが心地よい、やわらかで上質な空間に仕上がっています。
使い勝手が悪かった独立型の壁付きキッチンは、向きを見直しました。ダイニングとの間を区切っていた壁を腰壁に変更し、いつでも家族の様子が分かるひとつながりの開放的なLDKに。
水まわりはキッチン・ランドリールーム・洗面台をつないだ回遊動線を取り入れて、家事の効率をアップ。玄関から直接キッチンにアクセスできる間取りに変えることで、買い物した荷物の運び入れもスムーズになりました。
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給水・給湯管はすべて地震の衝撃に強く、柔軟性のある架橋ポリエチレン管に入れ替え。間取り変更に伴う補強工事や、解体箇所への柱脚・柱頭金物の取り付けなどによって、工事前でも評点1.0をクリアしていた耐震性能が、工事後には評点1.26まで向上しました。
断熱性能と耐震性能の向上を実現したこの家は、毎年設定されるテーマに沿ってより優れたリノベーション住宅を選出し、その価値を表彰する「性能向上リノベデザインアワード2023」において特別賞を受賞。2023年度のテーマ「これからを暮らす家の新しいスタンダードをつくる」において、地球環境の変化に対応した安心で安全、そして快適な暮らしを実現する次世代を見据えた性能向上リノベーションという点が評価されました。
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住み心地についてうかがうと、ご夫妻は「最高です!特に冬は以前と比べて本当に暖かいと実感しています。動線が改善されて家事がしやすくなりましたし、漆喰の壁は雰囲気が良くて調湿性能もあるし、思った以上に丈夫。一つひとつ話し合いながら丁寧に進めていただけたので、心から納得の家が出来上がりました」と笑顔。
実家で過ごした日々や思い出、愛着をそのままに、末永く快適に暮らせる新しい住まいで、家族水入らずの時間を満喫しています。
【DATA】
仙台市太白区・Sさん宅
夫婦、子ども2人築年数:築31年
リノベーション面積:144.49㎡(43.7坪)
工事費:2,000〜2,500万円
構造:木造在来2階建て
省エネ基準地域区分:5地域
断熱性能:UA値/改修前1.19w/㎡・K ⇒ 改修後0.69w/㎡・K(改修前の1.7倍に向上)
耐震性能:上部構造評点/改修前1.0 ⇒ 改修後1.26