秋田県大館市で、地元の気候や風土を踏まえた高性能な住まいを提供する地域工務店6社が意気投合し、タッグを組んだ「大館暮らすメイト」。各社の代表の方々にご参加いただき、団体として集まった理由や意義、同グループ最大の活動である集合住宅展示場について、さらには今後の展望に至るまで、座談会形式で語っていただきました。
大館暮らすメイト会員工務店紹介
当社は工務店の近代化を目指し、1979年に設立いたしました。秋田という雪国において、暖かく快適な住宅を提供したいとの思いから、早くから2×4住宅に取り組み、これまで1,800棟以上の施工実績を積み上げてきました。現在は2×4工法をさらに強化した、地震・台風・災害など自然災害に強い未来基準のスーパーウォール2×6工法を導入しています。
デザイン面では、都会的で洗練された洋風建築をベースに、欧米の生活様式を取り入れた内装や間取りを特徴としております。営業・不動産・設計・インテリアコーディネーターがそれぞれの専門知識を活かし、チームを組んでお客様の家づくりを全力でサポート。ご予算内で憧れの暮らしを実現いたします。
1976年に創業した安部工務店は、地域に密着し、「人にやさしいまごころ住宅」をモットーに、新築・リフォーム問わず、お客様のニーズに合わせた家づくりを展開しています。新築は完全自由設計。経験豊富な設計士と自社大工による自由度の高い設計や施工を強みに、お客様の理想を100%具現化できるよう努めております。
掃除の手間がなるべく少なく済むシンプルなつくりで、見えない部分まで品質管理を徹底。住宅性能のみならず、設備機器の機能性も重視しつつ、メンテナンスのしやすさを考慮して機器を選定することで、より暮らしやすい住空間をご提供します。お引き渡し後のトラブルにも即日対応を心がけながら、丁寧に家づくりに取り組んでいます。
1974年に創業し、地元密着の家づくりを行ってまいりました。2018年に代替わりし、営業・打ち合わせ・設計・積算見積もり・現場監督・アフターフォローまで、私自身が一貫して行っております。目指すのは、大館で冬を暖かく、夏を涼しく過ごすことができ、ランニングコストが最小限で済む高断熱・高気密・省エネな住まいづくりです。
デザイン面では固定されたスタイルを持たないのが特徴で、どんなニーズにも柔軟な対応が可能です。建てる棟数も私たちがきちんとケアできる範囲内にしており、お客様へのきめ細かな対応を心がけています。地元に根ざし、お客様に近い私たちだからこそ、この地域に即した家、お客様に十分に納得いただける家をご提案できる、そう自負しています。
当社の創業は1952(昭和27)年で、現在の私で3代目。「お客様のために先を見据え、より良い住まいを提供する」という信念のもと、自由設計の注文住宅からお手ごろ価格の規格住宅まで幅広く手がけております。当社の強みは、建材の卸としての知識を活かした提案力とデザイン力。性能面にも力を入れており、HEAT20 G2水準の断熱性能(UA値0.28)を標準とした家づくりを行っています。
また不動産事業も展開しているので、土地のご相談にも対応が可能です。土地探し、資金計画からプランニング、施工、アフターメンテナンスまでワンストップでご提供し、それぞれのご家族に合った家づくりを通して夢を現実のものとしていく。それが私たちの使命だと考えています。
大館に創業した当社は50年近くにわたり、「手刻み+和テイストの木の家」に一貫して取り組んでまいりました。日本古来の木造建築は、世界に類を見ない伝統を持っています。そして、木の寿命は墨の付け方一つ、刻み方一つで永らえもし、絶えもします。だからこそ当社では10名を超える自社大工をそろえ、丹誠を込めた手刻みの技にこだわり続けています。
住宅性能面においては、一年の半分の期間で暖房が必要なこの地において、エネルギー消費量を抑えるため、断熱材に高性能なウレタンフォームを採用し、高断熱・高気密化を推進。お客様とのコミュニケーションを何よりも大切にしながら、住む人にも環境にも優しい住まいづくりを心がけております。
ライファ大館は、設備工事を主事業とする大館桂工業の住宅部門として、2005年に設立しました。秋田県北エリアを中心に、国内最高水準の超高性能住宅「スーパーウォール工法」とパッシブデザインを採用した快適な住まいをお届けしております。
地元の気候風土を熟知した建築士や、電気・設備工事の有資格者が在籍し、プロの目線でお客様に「頼んでよかった」と言っていただける最善の提案をすることがモットー。また、お引き渡し後も長く快適に暮らしていただけるよう、「住まいのお医者さん」として定期点検や修理対応といったアフターサービスにも注力しております。これからもお客様の大切な住まいと暮らしを守るため、さらなる品質やサービスの向上に努めてまいります。
競争・競合ではなく「協力・連携」へ
― まずは「大館暮らすメイト」について教えてください。
長年この大館で家づくりを行ってきた6社で結成する地元工務店グループです。2017年10月に発足しました。
もともと別の集まりを通してお互い顔見知りではありました。こういったグループをつくろうと言い出したのは、確か三浦さんだったよね。
というのも、大館は大手のハウスメーカーのシェアが多く、残ったパイを地元工務店で奪い合っているような状況だったんです。人口7万人弱のこの狭い街で工務店同士が競合しても、いずれ共倒れになる。だったら協力した方が、お互いにとっても地域にとっても有益なのではないかと考えたわけです。
― 共存・共栄を図るためにタッグを組んだということですね。この6社には何か共通点はあるのでしょうか?
今日ここに参加しているメンバーは、それぞれの会社の2代目・3代目が多いですね。そうでない方も含めて、全員が先進的な家づくりに関心を持っています。
発足前からメンバー同士で活動することがあって、その一つが視察研修です。同じように地方でグループを組んでいる団体の見学に行ったり、札幌や青森など寒い地域の家づくりを勉強しに行ったりしていました。
この大館により適した家をつくりたいという気概を持っているのは、みんな共通していますね。
情報共有により、技術の底上げを推進
― グループの活動内容について教えてください。
最も大きなものは、集合住宅展示場の展開ですね。2018年に第一期、2020年に第二期の展示場を開設し、現在、第三期となる「下代野住宅展示場」が公開中です。そのほかには打ち合わせと称した飲み会とか(笑)。
まぁ、お酒が入ってもわりと真剣に住宅づくりのことを話していますけどね。
― 皆さん真面目なんですね(笑)。では、こういったグループをつくった意義、メリットをどのように感じていますか?
一番は情報共有できる点ではないでしょうか。一人でやっていると限りがありますが、皆さんからいろいろな情報が得られるので、資材に関しても設備機器に関しても選択肢の幅が広がりました。
各社で得た情報はグループ内で惜しみなく開示していますもんね。
それにグループでの視察を通じて他地域の工務店との交流が増えたことも、情報量アップにつながっています。
でも、情報共有したからといって、全員が同じ家を建てるわけじゃないのが面白いところ。みんなそれぞれブレない芯を持っていますよね。
本当に6社6様ですよね。私は皆さんの家づくりに刺激を受けて、技術面も大いに意識するようになりました。
そういう意味で、各社の底上げにつながっていますね。良い性能の家を足並みそろえてつくれるようになってきたと思います。
地域の気候風土に合った家づくりを
― 皆さんは地域工務店の存在意義をどのようにお考えですか?
一番はやはり地元の気候風土を知り尽くしているので、それに合わせた家づくりができることではないでしょうか。
― 大館は一年を通しても一日を通しても寒暖の差が大きく、冬は平均気温が氷点下になる土地柄。降雪も多いですよね。
ですので、日光や風といった自然エネルギーを取り込むパッシブデザインを採用したり、屋根の形状で雪対策を施したり、各社それぞれ工夫を凝らしています。
大館の厳しい冬を暖かく過ごすうえでは、住宅性能、つまり断熱性や気密性を向上させることも必須です。住宅性能を上げれば省エネにもつながりますので。
あとは注文住宅ならではの自由度の高さも地域工務店で建てる利点ですよね。こまめな打ち合わせを通して間取りやデザインなどを一緒につくり上げていきますので、こだわりのある家を実現しやすいと思います。
私たちのような地域密着型の工務店が地元で信頼を得ていくためには、フットワークの軽さ、お客様との距離の近さ、親身な対応も大事になってきます。
そうですね。トラブルや不具合が起きたときの対処はもちろん、アフターサービスやリフォームまで、建てた後の対応が手厚くきめ細かいところも地域工務店の強みだと思います。
ただ、こうしてメリットをいくら口で説明しても、なかなかお客様には伝わりづらいんです。そこでグループを組んで集合住宅展示場を展開することにしました。
まずはそれぞれの会社の存在や家づくりの特徴を知ってもらうことが大事。6社が集まればそれだけ注目度も上がり、集客力や知名度のアップにつながりますから。
モデルハウスは、全棟ZEH仕様
― 現在公開中の第三期の「下代野住宅展示場」の全体的な特徴を教えていただけますか。
まず、大館市の下代野という利便性に優れた人気の新造成エリアにあります。
第一期のテーマは高性能、第二期は特に縛りを設けず各社自由な家づくりをしました。そして今回の第三期は、再び性能にフィーチャーし、全棟ZEH仕様のモデルハウスを完成させました。
6社のうち5社のモデルハウスで太陽光発電パネルを、そして4社で蓄電池を設置しており、創エネ・蓄エネにも取り組んでいます。
水力発電などの再生可能エネルギー電源に由来する電気を使った地産地消のCO2フリープランを全棟で導入しているのもポイントですよね。
― サスティナブルな取り組みもしっかり行っているのですね。では読者に向けて、ぜひ「下代野住宅展示場」のPRをお願いします。
1ヵ所に6社のモデルハウスが集合しているので、1日に6棟すべてを見学可能で、比較・検討がしやすいと思います。
各社それぞれが特徴的な家を建てているので、いろいろな魅力を体感していただけます。
例えばうちなら建材屋なので新しい建材をどんどん使っていますし、ライファ大館さんは母体が設備屋さんなので設備機器にはとてもこだわっています。
秋田ホームさんは会社規模の大きさを活かしたレベルの高い家づくりをしていますし、ヤナギヤさんは古材を使った和の住まいが特徴ですね。
今回、安部工務店さんのところはコンパクトな平屋、ハセベホームさんは断熱に非常に力を入れていますよ。
6棟ご覧いただければ、必ず気に入った家が見つかると思います。ぜひ家づくりのきっかけにしていただけると嬉しいですね。
大館に自分たちの街をつくりたい
― 本当に見どころたっぷりですね。最後に、今後の「大館暮らすメイト」の展望を教えてください。
今、大館では大工職人さんの高齢化が進んで数が不足しているので、地元の職能学校などとも連携しながら、6社共同で職人を育てる取り組みができないかなと考えています。課題もたくさんありますが、夢もたくさんあるんですよ。一番大きな、最終的な夢は、「大館暮らすメイト」のメンバーが建てる家で大館に一つの街をつくることですね。
それが実現したら素晴らしいですね。家はどんどんコンパクトなつくりがもてはやされるようになっていますが、夢は大きく持ちたいですね!
うまいこと言いますね(笑)。でも目指すところは皆同じと考えています。
地元企業だからこそ熟知している地域の気候や風土を踏まえて、これからも安心して住み続けられる高性能な住まいを提供していきたいと思います。
― では「大館暮らすメイト」会長の小笠原さん、締めの一言をお願いします。
7年目を迎えた「大館暮らすメイト」ですが、まだまだこんなものじゃないと思っています。常に先を見据え、力を合わせて大館のために貢献していきたいと思います。
― 皆さん、どうもありがとうございました。今後の活動も楽しみにしております。
大館暮らすメイトの会員工務店6社のモデルハウスを公開中!
・【秋田ホーム】ゼロエネルギーな暮らしが叶うパッシブデザインの家
・【安倍工務店】創エネ・蓄エネも実現。コンパクトで暮らしやすい平屋
・【ハセベホーム】自家発電・消費で賢く暮らすナチュラルテイストの住まい
・【三浦木材】太陽光発電や蓄電池があるヌックが心地よいZEH住宅
・【ヤナギヤ】美しい木の香りに満ちた情緒ある和モダンな家
・【ライファ大館】パッシブデザインを取り入れた高断熱・高耐震工法の家