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築36年のマンションをクフラスリフォーム
「時間と空間に、アイデアを」をコンセプトに、リノベーション・リフォーム・新築を手がける「KUFURAS(クフラス)」。日々の暮らしに寄り添い、設計やデザインを生かした工夫で、いつまでも愛着を持ち続けられる住まいづくりを目指しています。
小坂裕幸建築設計事務所とコラボレーションしたプロジェクトでは、「マンション01」から「マンション05」と、5つの事例を通して、美しくも斬新なデザインの中に暮らしやすさを内包したマンションリノベーションをプロデュース。自社で厳選した中古マンションだけではなく、お客様の所有物件のリノベーションを手がけるなど、新たな試みにも柔軟に対応。単身用や2人暮らし用といった多様な暮らしに応答する提案を展開してきました。
2023年5月に完成した「マンション06」は、本プロジェクト初となるリフォーム物件です。クフラスではこれまで、既存物件をスケルトンに引き戻してからのフルリノベーションを軸としていましたが、昨今の物価高騰を顧みて、コストデザインに対するアプローチを計画。クロス貼り替えや設備の入れ替えにとどまる表層的なリフォームとは一線を画す「クフラスリフォーム」です。
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「マンション06」は、緑豊かな藻岩山のふもとにある、築36年の中古マンション。アクセスが良く、図書館やスーパーなど暮らしに便利な施設がそろっている好立地で、このポテンシャルを生かすためにファミリー向け物件としてリフォームを進めることになりました。もともとは和室を含む4LDK構造でしたが、前のオーナーがリビング横の和室の壁を取り払い、大きなひとつながりのリビングとして使っていました。
既存を生かし、コストを抑えることを必須とした「マンション06」は、これまで以上に制約の多い中で進められたプロジェクト。クフラスならではの審美眼で、中古マンションをアップデートします。
白の緊張感と木の温かみが調和するファミリー向けマンション
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「マンション06」は、ファミリー層を想定したリフォーム。白い壁を豊かにまわるやわらかな光と、木をふんだんに使った玄関収納、無垢の質感が心地のよい突板フローリングが織りなす、温かみのある空間が出迎えてくれます。
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二つの個室や水まわりを配した廊下を進むと、ガラス扉の先に広がるのは南向きの窓から緑と光を享受するリビング。前オーナーが和室の壁を取り払ったことで、持て余すほどに広さのあったリビングは、「ちょうど良い距離感」を念頭に、既存よりも手前に壁を設け、中古マンションではほとんど見かけることのないファミリークローゼットを新設しました。
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和室の名残でもある梁型に合わせて天井を下げ、楕円形に天井が上がっていたリビングは直線に整えるなど、既存の面影を逆手に取った高低差のある天井の造形が室内に豊かな表情を与えています。
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キッチンは既存と位置を変えずに独立していますが、リビングとキッチンを隔てる面を窓のように抜くことで、ゆるやかなつながりを創出。仕切りが多く、要素ごとに分断しがちな中古マンションの間取りを生かしながら、家族を程よい距離感で結ぶ空間となりました。
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既存を生かす上で大切なのは、こうした心地のよい距離感を探ったり、木と白の配分でバランスを図るといった繊細なチューニング。間取りそのものに大きな変化を与えなくても、素材の整えや納め方、あえて壁を設けたり、壁の一部を抜いたりなどの足し引きで、その様子は一変します。
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マンションの値段は高止まりし、物価高騰で建築費も値上げを余儀なくされる今。予算の兼ね合いから、私たちの選択肢も限られてきているのが現状です。既存を最大限に生かした「マンション06」は、住宅を取り巻く課題に対して、建築家の知見とともに応答する新しいリフォームのカタチ。
緑豊かな環境に、やわらかく調和する白と木でつくられた家族の空間で、団らんを楽しみ、個の時間を大切にする。すでに成約済みとなっている「マンション06」は、新しい家族の時間を刻み始めています。