薪のはぜる音、ゆらめく炎、身体の芯から暖まる心地よさ…。厳しい冬を豊かにしてくれる薪ストーブへの注目は年々高まっています。
その一方で、気になるのが「薪」の確保。例年よりも冬の訪れが早かったり、春先になってもなかなか気温が上がらなかったりと、毎年使う薪の量は必ずしも一定ではありません。シーズンの後半になるにつれ、薪の残量が心配になってしまうという方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな薪ストーブライフに不可欠な薪を、札幌圏内で一年を通して購入できる会員制サービスを展開する「北広島薪販売所」を紹介します。
森から伐り出された木材を
余すことなく大切に使う
「北広島薪販売所」を運営するのは、十勝で造林用の苗木を生産する大坂林業の北広島営業所です。
※大坂林業とその仕事についてはこちらの2記事もぜひご覧ください
・良質な「薪」の会員制サービスが支える、快適で安心な薪ストーブ生活
・「北海道の広葉樹」を家づくりに。大坂林業の新たな挑戦
十勝でも薪の販売・配送を行う会員制サービス「とかちファイヤーウッド」を展開している同社は2021年から北広島を拠点に、札幌圏内の薪ストーブユーザーを対象にした会員制サービスをスタートさせました。
北広島営業所の業務の主軸は親木から種を取り、苗として広葉樹を育て、人を介して街中や山に植えていく緑化樹木の生産。約7ヘクタールの広大な敷地には、芽吹いたばかりの若い苗から大木まで多様な樹木が植えられています。
「ここで育てている苗木は主に街中の緑化用ですが、北広島薪販売所で販売する薪は、道内の森から伐り出されたものの、太さや曲がりなどの状態から、家具や建材には使えないと見なされた木材です」と話すのは、北広島薪販売所の山本崇人さん。運び出しに労力がかかることもあって、これまでは使えない木材は森に置き去りにされていたといいます。
「林業による森林の循環は『植える→育てる→伐る(使う)→再び植える』」というプロセスで成り立っています。北広島薪販売所の薪はこの「伐る」で出た木材を余すことなく有効活用したもの。育てるから使うまでを、『林業』と『薪の販売』の2つの側面から関わることで、間接的に地域の緑を守り、カーボンニュートラルにも貢献しています」。
木のスペシャリストが提供する
高品質な薪
薪ストーブで使用する薪は「燃えれば何でもいい」というわけではありません。特に乾燥が不十分な薪を使うと不完全燃焼を起こし、余分な煙やすす、臭いが出て近隣の迷惑になったり、薪ストーブ本体を傷めたりすることがあります。
その点、北広島薪販売所は札幌圏で唯一の林業会社を母体にした薪販売サービス。木のスペシャリストによる適切な乾燥・管理・保管がなされているため、その品質はお墨付きです。
取り扱う薪は、主に薪ストーブや焚き火、薪サウナ用で、樹種はナラとイタヤカエデが主体。いずれも密度が高くて火持ちする最良の状態を保っています。
用途によって必要とする薪の量も変わることから、年間1㎥以上を使用する方を対象にした通常会員(年会費3,000円)に加え、主にキャンプや焚き火用で、年間使用量が1㎥以下の方のために「ライトメンバー」(年会費1,000円)を用意しているのも魅力のひとつ。いずれも年間の薪在庫をしっかり確保しているため、季節を問わず必要に応じて薪の購入ができるので、残りの薪を気にして不安に駆られることもありません。
そしてサービスの大きな特徴が「セルフ-セルフ」という考え方。薪の配達は行っていないため、同社の薪置き場に自家用車を乗り付けて自身で薪を積み込み、持ち帰ります。なお、通常会員は運搬用のトラックを借りることもできます。
薪棚の前まで車を乗り付けて運び込めたり、薪を置くスペースが十分ではない環境の場合は、1㎥ごとに購入できるなど、暮らし方や使い方に応じた利用ができます。
自宅に大きな薪置場が不要。
いつでも薪を調達できる安心感も魅力
北広島薪販売所の会員の多くは、個人の薪ストーブユーザー。1年前に念願の薪ストーブを自宅に導入した北広島市在住のSさんもその一人です。
薪ストーブを設置したのは10月。当初は近所の建築会社の現場で出た端材や、知人から譲り受けた薪で賄っていたものの、本格的な冬を前に確実に薪が足りないことに気づきます。購入を検討したものの、ほとんどの業者が冬前に薪の販売を終えている状態。薪の工面に悩んでいたところ、知人の紹介で知ったのが北広島薪販売所でした。
「薪は購入すると高いのを知っていたので、恐る恐る電話をしたのですが、担当の山本さんがとても親身で親切で。決して安い買い物ではないので、一度見に来ませんか?と提案をしてくれました」と、Sさんは振り返ります。
試しに1㎥を購入したSさんは「建築現場の端材とは違う暖かさの質と、火持ちの良さに驚きました」と、その価値を実感。以来、定期的に購入するようになりました。
Sさんは「わが家の薪ストーブは新築から10年後に後付けしたので、敷地内に薪棚を設けるスペースがありません。その点、北広島薪販売所は薪が足りなくなりそうなタイミングで追加購入できるので、自宅に大量にストックしておく必要がなく、とても便利です」と話します。
Sさん宅の冬の暖房は薪ストーブのみ。煮炊きにも積極的に薪ストーブを活用しているため、導入以前と比べると電気代も1/3に抑えられていて、薪を購入しても十分に経済的に暮らせているそうです。「自ら薪をつくりたい」との強い想いに駆られたSさんは現在、自伐型林業の勉強中。薪ストーブをきっかけに、自身の世界を広げています。
B to Bのシーンでも好評
幅広い「薪」のニーズに応える
北広島薪販売所の会員制サービスは、個人ユーザー以外にもキャンプ場やサウナといった施設利用にも最適です。
北海道ボールパークFビレッジ内にあるグランピング施設「ALLPAR(オルパ)」は、会員制サービスを利用して毎月1〜2㎥の薪を定期的に購入。店内の薪ストーブや屋外の宿泊等に設置した焚き火用の薪として利用しています。
「当施設はFビレッジの景観ルール上、大量の薪を積み上げておくことが難しいので、使用状況に合わせて適量の薪を調達できるのが非常に便利です。しっかり乾燥しているので煙が少ないうえに火持ちが良く、品質の高さを実感しています。トラックを借りることができるのもありがたいです」と同施設のスタッフ・小林優里さん。北広島薪販売所の会員制サービスは、ユーザーの幅広い薪のニーズに応えています。
「会員は札幌市在住の方も多く、ほとんどの方が毎月1㎥ずつ購入されています。札幌周辺では補助暖房として薪ストーブを使っている方が多く、少量ずつ調達できるのが便利という声もよく聞かれます。会員の方にはシーズン中の在庫を保証しているので、春先に薪の量を心配する必要がありません」と山本さん。
森を育てることは、未来の豊かな環境づくりにつながります。その大きな循環の一端を担う大坂林業の北広島薪販売所は、札幌圏の薪ストーブユーザーの薪調達場所として、とても重要で心強い存在です。
今シーズンも、薪ストーブが嬉しい季節がやってきました。薪の困りごとを抱えている方は、ぜひ問い合わせてみてはいかがでしょうか。