Interview 1
(株)キクザワ 専務取締役 菊澤 章太郎さん
まず会社の概要をおうかがいさせてください。
菊澤 年間20棟程度の戸建て住宅を、恵庭・札幌で施工・販売しています。そのうち太陽光発電システムを導入したZEHは6・7割で、平均で容量10kW程度を載せています。
北海道では、太陽光発電に取り組む工務店は少ない印象があります。
菊澤 設置を他業者に外注せずに、自社で取り組むことが大事だと思います。当社では部材をまとめ買いし、自社で設計・施工することで、コストを下げるとともに信頼性も確保しています。
雪が多い北海道で太陽光発電に取り組まれることに、心配はありませんでしたか。
菊澤 北海道でも、太陽光発電部材のメーカー保証は通常どおり受けられますし、これまで特にトラブルはありません。もし雪により建物側に問題が起きたとしても、火災保険でカバーできるので安心です。
太陽光発電の施工で注意していることはありますか。
菊澤 太陽光発電パネルの上に積もった雪が一度に滑り落ちるのを防ぐため、パネルの下流側に雪止め、それも一般的な樹脂製ではなく、丈夫な金属製のものを採用しています(下写真)。
太陽光発電の実績はいかがでしょうか。
菊澤 冬は積雪のために発電しないと割り切っています。屋根勾配が4寸以上あれば若干有利ですが、雪が落ちたらラッキーくらいの感じです。一方、冬以外はしっかり発電するので、発電容量を大きめに確保することで、年間の光熱費をおおむねゼロにすることが可能です(図4グラフ)。
太陽光発電容量 13.65kW
FIT売電単価 19円/kWh年間合計 売電 23.69万円
買電 27.05万円
収支 3.36万円
お施主様への太陽光発電の提案はどうされていますか。
菊澤 最初の見積もりから、太陽光発電を含めてお出しするようにしています。採算を示した計算結果をお見せすると、多くのお施主様はご理解いただけます。初期にかかるコストを償却できるペイバックタイムは、雪の少ない恵庭で10~12年、札幌だと13、14年程度です。多くのお施主様からご満足いただいていますし、太陽光の発電モニターを見るようになって省エネに関心を持たれる方も多いですね。
最後に、北海道の住宅の今後をどう考えていらっしゃいますか。
菊澤 電気代が高騰している中、光熱費の削減はますます大事になってきます。太陽光発電についても売電単価が下がっているので、蓄電池による自家消費の増加、冬も発電する壁付けも検討しています。薪ストーブも有効かと思いますが、利用者の負担があるので補助的なものと考えています。