「洗面化粧台」は、「洗面ボウル(洗面器)」、「収納棚」、「カウンター」など複数のパーツで成り立っていて、使い方によって必要なサイズや形状、機能が異なります。特に造作洗面台をつくるときには、何を選べばいいか悩ましいところです。そこで今回は、インテリアコーディネーターの本間純子さんに、造作洗面台づくりに役立つ「洗面ボウル」の基本を教えていただきましょう。
この記事の目次
2. 実はバリエーション豊富!「洗面ボウル(洗面器)」の形と素材
・洗面ボウル(洗面器)の形
– ベッセル式洗面器(置き型洗面器)
– アンダーカウンター式洗面器
– オーバーカウンター式洗面器(埋め込み式洗面器)
– カウンター・洗面器一体型
・「洗面ボウル」の素材
– 実験用シンクも人気!「陶器」の洗面ボウル
– 近年の洗面台のスタンダードに。「樹脂」の洗面ボウル3.「洗面ボウル」選びで押さえておきたいポイント3
・床から洗面ボウルまでの高さは、75~80㎝が一般的
・形状もサイズもさまざま。使い方によって選択を
・掃除のしやすさ
1. 家に欠かせない水まわり設備、「洗面台」とは?
手や顔を洗う、歯を磨く、化粧をする、髪を整えるなど、さまざまな役割を担っていて私たちの日常生活に欠かせない「洗面台」。一般に設備としては
- 洗面ボウル(洗面器)
- ミラー
- 水栓金具
- 照明
- カウンター
- 収納棚
といった機能を組み合わせて構成されています。家づくりでは、洗面ボウルと収納棚が一体となったメーカー製の洗面化粧台が選ばれることが多いですが、注文住宅では、先に上げた各パーツを家のテイストやお施主さんの好み、使い勝手に合わせてオーダーメイドする「造作洗面台」を採用するケースも多く見られます。中でも「洗面ボウル」の選択は、見た目のデザインや使い勝手に大きく関わるので、選択肢や選び方のポイントを押さえて検討したいところです。
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2. 実はバリエーション豊富!
「洗面ボウル(洗面器)」の形と素材
「洗面ボウル(洗面器)」には、さまざまな形と素材があります。ここでは「造作洗面台」で特によく使われるものを見ていきましょう。
洗面ボウル(洗面器)の形
洗面ボウルにはさまざまな形があります。何を選ぶかで、見た目の印象や使い勝手の良さ、掃除のしやすさなどが変わるので、種類を知って選ぶことが大切です。
ベッセル式洗面器(置き型洗面器)
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ベッセル式はカウンター据え置きタイプの洗面器。洗練されたデザインの水まわりを自宅につくりやすいこともあり、最近の注文住宅ではこのベッセル式がだいぶ一般化しています。形は主に、ラウンド(円)型とスクエア(角)型があります。
ベッセル式を設置する際に気をつけたいのは「高さ」。洗面器の上端までが高さになるので、カウンターが高すぎると、腕が洗面器のフチに当たって顔が洗いにくいなど使い勝手に影響します。
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アンダーカウンター式洗面器
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アンダーカウンター式洗面器は、洗面ボウルがカウンター面の下に埋め込まれたタイプの洗面台です。洗面ボウルのフチがカウンター面に出ないので、見た目がすっきりとした印象に仕上がります。大理石調のカウンター材を選ぶと、ベッセル式とはまた雰囲気の異なるホテルライクな洗面まわりを演出できますね。水栓金具など、周辺のアイテムもよく映えます。
オーバーカウンター式洗面器(埋め込み式洗面器)
オーバーカウンター式(埋め込み式)の洗面器も、注文住宅の造作洗面台ではよく見られます。特にこのタイプで人気があるのが、実験用・病院用シンクを洗面器代わりに組み込んだ例。デザイン性に加え、幅も深さも十分で使いやすいのも魅力です。
上からはめ込むだけで施工性は良いですが、洗面器とカウンターの接続部の掃除がしにくいのが難点。洗面ボウルのラインナップは、国内メーカー品は少ないですが、海外メーカー品は扱いが多いです。
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カウンター・洗面器一体型
ベッセル式とともに造作洗面台でスタンダードになりつつあるのが、カウンターと洗面器が一体化したタイプです。素材は樹脂に限られますが、一体成型なので継ぎ目がなく、シンプルですっきりとした見た目に仕上がります。奥行きが十分に確保できない場合は、壁出し水栓にすることもできます。
「洗面ボウル」の素材
洗面ボウル(洗面器)は、「陶器」「樹脂(人造大理石、人工大理石など)」「ホウロウ」「金属」「ガラス」など、さまざまな素材でつくられています。ここでは住宅の洗面台で使われることが多い「陶器」と「樹脂」について説明します。
実験用シンクも人気!「陶器」の洗面ボウル
「陶器」の洗面ボウルは、表面が硬く滑らかで、上質な質感が特徴です。素材の性質上、汚れを落としやすく傷が付きにくく、清掃性にも優れます。大きめサイズでシンプルなデザインの「実験用シンク」や「病院用シンク」も、造作洗面台ではよく用いられ人気ですね。
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注意点は2つあります。1つは衝撃です。物を落とした衝撃でひび割れてしまうと、補修は困難です。手が滑って化粧品の瓶やドライヤーなどを落として強い衝撃を与えないよう注意しましょう。
もう一つは「熱湯を流さないこと」です。熱湯を流すとヒートショックでひび割れすることがあります。洗面ボウルはその用途から、熱湯を流すことは想定されていません。とはいえ通常は80℃程度までは大丈夫ですが、人気の実験用のシンクは、お風呂のお湯程度(42℃以上)のお湯もNGです。電気温水器を使用する場合は、特に気をつけてください。
近年の洗面台のスタンダードに。「樹脂」の洗面ボウル
樹脂製ボウル(人造大理石、人工大理石など)は形成のしやすさから、使い勝手の良い形の洗面ボウルがデザインされています。カウンター・洗面器一体型は凹凸のない滑らかな美しい仕上がりと、接合部がないことによる掃除のしやすさが特徴で、最近は採用する住宅も増えています。
樹脂は陶器に比べて表面が柔らかいので、小さな傷や経年変化による変色は避けられません。洗面ボウルの中を洗うときは、研磨剤の入った洗剤や硬いナイロンたわしなどを使わないように気をつけましょう。
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3.「洗面ボウル」選びで押さえておきたいポイント3
床から洗面ボウルまでの高さは、75~80㎝が一般的
床から洗面ボウル(フチの上端)までの高さは75~80㎝が一般的です。高すぎると水が腕を伝って肘から落ちて床を濡らしてしまいますし、低すぎると腰に負担がかかります。現在使っている洗面ボウルの高さを測り、使い勝手から類推すると選びやすいです。車椅子での使用を想定して、レバーで高さを調節できる洗面化粧台もあります。
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形状もサイズもさまざま。使い方によって選択を
洗面や歯磨きなどを想定した洗面台では「楕円型」や「角型」の洗面ボウルがよく用いられます。幅は40~60㎝、奥行きは55〜60㎝のカウンターに収まる寸法、深さは12㎝程度のものが多いです。形やデザインは好みですし、奥行きや幅は洗面台に割ける広さによりますが「洗面ボウルの深さ」は使い方を踏まえて検討する必要があります。
洗面台を、洗濯の予備洗いやつけ置き洗い、散歩後のペットの脚を洗ったりするのに使うなど水仕事によく使う方は、洗面ボウルは12㎝以上の深めのものがおすすめ。深さがあると水がたっぷりためられますし、手洗いの際の水はねも少なく済みます。水仕事に使わない方や、デザイン性を重視する方は浅めで問題ないでしょう。
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意外と盲点なのが、洗面ボウルの底の形状と排水口の位置です。底の形状は、平らな方がコップを置いたり、ペットを洗ったりするときに安定します。また排水口の位置は、中央よりも端に寄っている方が、洗面ボウルの中に物を置いた際に排水を妨げず、使いやすいです。
家族構成や人数によっては、2(ツー)ボウルにする選択肢も。朝の身支度の時間がかぶって、ケンカになってしまう(!)などの悩みが解消されるでしょう。インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症対策にも役立ちます。
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掃除のしやすさ
洗面台は、家族みんなが毎日必ず使う水場。気持ちよく保つためにはこまめな掃除が欠かせません。どのような洗面ボウルを選ぶかは、掃除のしやすさにも影響します。
最近の国内メーカーの陶器の表面加工はとても進化していて、清掃性が抜群に良くなっている印象ですが、トータルで見て最も掃除がしやすいのはやはり汚れの温床になる「継ぎ目」がない、カウンター・洗面器一体型でしょう。
オーバーカウンター式(埋め込み式)やベッセル式でよく使われる陶器の洗面ボウルは、木製のカウンターなど異素材との接合部に汚れが残りやすいので、できるだけ水分や汚れを放置しない習慣が必要です。
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自由度の高い造作洗面台ですが、それゆえに選ぶ際にはデザインだけでなく、ご家族やご自身のライフスタイルや使い方に合わせて選びたいですね。