地産地消の気持ちよさを
家づくりを通して伝える
盛岡市を拠点に、地域に根ざした家づくりを行う清水畑建設。同社代表の清水畑貴彦さんは、「自社設計で、地元の木を使い、自社大工の手によって住み継がれる家をつくることをモットーとしています」と話します。盛岡市北部に立つ清水畑さんの自邸はまさにその言葉を体現した一軒。「岩手県産材でつくる気持ちのいい家」をテーマに、断熱性や気密性も高い家を目指して計画されました。
構造材にはスギやクリ、アカマツ、カラマツなど。仕上げ材にはナラやオニグルミ、イタヤカエデ、ケヤキなど。使っている県産材は10数種類にも及びます。「樹種が豊富なのが岩手のいいところ。お客様にサンプルのようにお見せできればと思い、多種多様な木を使いました」と清水畑さん。岩手県の林業を活性化したいという想いはもちろんのこと、「地元で取れたものを食べるとおいしいように、地元の木でつくる家は楽しく面白く心地よさも満点。単純にそうした地産地消の気持ちよさを伝えていきたいと思っています」と、地元の木にこだわる理由を語ります。
自社専属の大工職人を抱え、スムーズで高品質な家づくりを実現しているのも清水畑建設の特徴の一つです。同社の大工職人は壁塗りや家具の造作までこなす万能工。「自社大工による施工が多ければ多いほど、外注費がかからないという利点があります」と、清水畑さんは語ります。また、「自社大工であることで、メンテナンスや点検も同じ大工が行うことが可能です。お客様にとって自分の家を熟知した大工が後々まで担当するというのは大きな安心ではないでしょうか」。建てて終わりではなく、維持し守っていくことにも関わっていくのがつくった人の責務。そんな清水畑さんの信念がうかがえます。
健やかな暮らしを叶える
住み継ぐ工夫が満載の家
清水畑建設の建てる家は、一級建築士の資格を持つ清水畑さん自らが設計を担当しています。「設計をする上で大切にしているのは、長く住み継がれる家をつくること」と語る清水畑さん。そのため、奇をてらったデザインは排除し、できる限りシンプルで維持管理がしやすいデザインを心がけているといいます。「自邸はシンプルな切妻屋根とスギ板張りの外壁を選択。サイズ感や見た目も悪目立ちせず、周囲の町並みに溶け込む外観としました。風雨や雪による劣化を防ぐため、軒を目いっぱい張り出させたのも長く住み継ぐための工夫の一つです」。また増改築がしやすい木造軸組工法にこだわり、つくり込みすぎないという特徴も。自邸においても大空間のLDKや間仕切りして使うこともできる子ども部屋など、将来の可変性を念頭に置いたフレキシブルな設計が目に留まります。
真夏には猛暑日、厳寒期には真冬日になることもある盛岡市。「それだけに、長く住み継ぐためには住宅性能も重要になります」と、清水畑さんは訴えます。自邸でも、同社の標準仕様である充填断熱+付加断熱のダブル断熱を導入し、開口部には高性能サッシとトリプルガラスを採用して断熱性能・気密性能を高めました。また、吹き抜けを効果的に取り入れることで家の中の空気を循環させ、少ないエネルギーでの暖冷房を可能にしています。「性能を上げることはランニングコストの削減につながりますが、何と言っても体に負荷がかからなくなることが最大のメリットではないでしょうか」。
地元の木を使った愛着の湧く家、自社大工の施工による高品質で安心な家、心も身体も健やかに暮らせる高性能な家。清水畑建設はこうした家づくりを通して、長く住み継げる住まいを提案しています。
清水畑家の暮らし
この家に住んで約2年半になる清水畑さんご一家。リビングのソファや薪ストーブを中心にご家族が集い、笑い声の絶えないにぎやかな暮らしを送っています。「夏の夜の寝苦しさや冬の朝の寒さへの苦痛もなくなり、身体に負担なく生活できるのが一番。おかげで疲れにくくなりました」と清水畑さん。家の中や庭を元気いっぱい走り回るお子さんたちの姿も印象的で、「前のアパート住まいの時に比べると、のびのびしていますね」と目を細めます。庭ではたくさんの草花を育てたり、巣箱を設置して野鳥観察をしたりと、自然と触れ合う時間も増えたそう。夏は縁側でバーベキュー、冬は薪ストーブでピザや焼き芋を焼いて食べるなど、季節ごとの楽しみも満喫しています。
さまざまなコトとモノを発信する社屋
自邸の隣に立つ双子のようにそっくりな外観の建物は、清水畑建設の社屋「ハタノバ」です。中に足を踏み入れると、こちらも岩手県産材がふんだんに使われた気持ちのいい空間が広がっています。「単に事務所という機能の空間ではなく、地域の人たちに多彩なシチュエーションで使ってほしいという想いを込めて計画しました」と清水畑さん。1階はレンタルスペースのような使い方ができ、セミナーやワークショップ、展示即売会などに利用されているそうです。地域と人、人と人とがつながり、新たな創造が生み出される場となっていくことでしょう。
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