(合)negla設計室 / 宮城県仙台市・Kさん宅 夫婦40代、子ども3人


「子どもが3人に増えたこともあり、一戸建てで周囲に気兼ねなく子育てしたいと思ったのが、家を建てようと思ったきっかけです」と話す奥さん。縁あって仙台の設計工務店、negla設計室に土地探しから依頼することにしました。「ある程度街なかで利便性が良く、予算内に収まる土地」という条件に沿って、同社が探し出してきたのは、敷地面積わずか27坪ほどの狭小地。しかも高さ制限があり、2階建てより高い建物が建てられないエリアでした。

27坪という狭小地に立つ、外壁に屋久杉を採用した箱型のKさん宅。外部の建築家との共同プロジェクトにも対応できる力のあるnegla設計室ならではの一軒だ
27坪という狭小地に立つ、外壁に屋久杉を採用した箱型のKさん宅。外部の建築家との共同プロジェクトにも対応できる力のあるnegla設計室ならではの一軒だ

negla設計室では家族5人が暮らせる広さを確保するため、仙台市内の菊池佳晴建築設計事務所に協力を仰ぎ、地下1階、地上2階の3階建ての住まいを共同で計画。2階にLDKを配置し、大きな窓とバルコニーを設けることで、明るく開放的な空間となるよう工夫しました。

1階スペース。玄関を入ったときに少しでも開放感を得られるよう、玄関ホールは広めに確保し、土間とホールの床面をフラットに設定。右手に和室、奥に水まわりが備わる
1階スペース。玄関を入ったときに少しでも開放感を得られるよう、玄関ホールは広めに確保し、土間とホールの床面をフラットに設定。右手に和室、奥に水まわりが備わる
玄関ホール。縦ログ構法のパネルが室内を包んでいることがよく分かる。玄関の土間には札幌軟石を採用。圧迫感が出ないように高さを抑えた造作収納にも注目
玄関ホール。縦ログ構法のパネルが室内を包んでいることがよく分かる。玄関の土間には札幌軟石を採用。圧迫感が出ないように高さを抑えた造作収納にも注目

洗面室やトイレにも縦ログ構法のスギパネルをふんだんに使用。トイレの床にはサラリとした足触りが魅力の竹が用いられている
洗面室やトイレにも縦ログ構法のスギパネルをふんだんに使用。トイレの床にはサラリとした足触りが魅力の竹が用いられている
国産のイ草の畳が敷き詰められた土壁づくりの1階和室。ゆくゆくは夫婦の寝室となる予定なので明るさは必要ないが、少しでも採光を確保できるよう、窓の外に吹き抜けを設ける工夫がなされている
国産のイ草の畳が敷き詰められた土壁づくりの1階和室。ゆくゆくは夫婦の寝室となる予定なので明るさは必要ないが、少しでも採光を確保できるよう、窓の外に吹き抜けを設ける工夫がなされている

無垢材打ち放しの新構法「縦ログ構法」が取り入れられているのも大きな特徴です。150㎜角のスギ材を7本1組に結束したパネルで壁をつくる木造軸組工法で、組み上げたパネルの室内側はそのまま内装として使用が可能です。

化学製品を使うことなく量感のある木現し仕上げを実現できることから、「自然素材をたくさん使いたい」というKさんの要望を受けて採用されました。木だけなく、石、紙、鉄などの自然素材のみでつくられた室内は心地よさ満点です。

床はセン、壁と天井はスギ。造作収納にもタモやシナ合板を使用。大きな窓から陽射しが入り込み、明るさも申し分なし。木の持つ素材感を生かした空間で子どもたちものびのびと成長している
床はセン、壁と天井はスギ。造作収納にもタモやシナ合板を使用。大きな窓から陽射しが入り込み、明るさも申し分なし。木の持つ素材感を生かした空間で子どもたちものびのびと成長している
窓の外のバルコニーでは子どもたちと一緒に家庭菜園を楽しんでいる。木塀でしっかりと目隠しされているのでプライバシーも万全。カーテンを使わない暮らしが開放感をもたらす
窓の外のバルコニーでは子どもたちと一緒に家庭菜園を楽しんでいる。木塀でしっかりと目隠しされているのでプライバシーも万全。カーテンを使わない暮らしが開放感をもたらす

キッチンの背面には子どもの勉強机も造作されたパントリーをレイアウト。キッチンに立ちながらも勉強の様子を見守ることができる
キッチンの背面には子どもの勉強机も造作されたパントリーをレイアウト。キッチンに立ちながらも勉強の様子を見守ることができる
コンパクトで使いやすいL字型のキッチン。天井に設けられたトップライトから光が降り注ぐ。視線が抜けるようできるだけドアを設けずオープンな空間を心がけた
コンパクトで使いやすいL字型のキッチン。天井に設けられたトップライトから光が降り注ぐ。視線が抜けるようできるだけドアを設けずオープンな空間を心がけた

「最初に土地を見た時はあまりの小ささにびっくりしましたが、出来上がった家にもまたびっくり。コンパクトですが窮屈さは感じませんし、むしろ動きが少なくて楽。子どもたちの気配をいつも感じられるのもいいですね」と奥さん。お子さんたちも自然素材いっぱいの空間でのびのびと過ごしている様子が見て取れます。狭小地でも快適に楽しく暮らせる住まい。negla設計室の高い設計力と施工力が存分に発揮された一軒です。

地下へと下りる階段。手すりに使われたアイアンが空間を引き締める。地下は現在、家族5人の寝室となっているが、将来的には子ども部屋として活用する予定だという
地下へと下りる階段。手すりに使われたアイアンが空間を引き締める。地下は現在、家族5人の寝室となっているが、将来的には子ども部屋として活用する予定だという
地下にある防火処理を施した一室には、暖房とサウナという2つの機能を備える薪ストーブサウナを導入。暖かい家で暮らしたい奥さんと、サウナがほしいご主人、両方の希望を叶えた
地下にある防火処理を施した一室には、暖房とサウナという2つの機能を備える薪ストーブサウナを導入。暖かい家で暮らしたい奥さんと、サウナがほしいご主人、両方の希望を叶えた
地下はコンクリート打ち放しだが、床には断熱塗料を塗って冷たさを軽減。また、止水のため、壁には部分的に樹脂パネルを型枠施工している
地下はコンクリート打ち放しだが、床には断熱塗料を塗って冷たさを軽減。また、止水のため、壁には部分的に樹脂パネルを型枠施工している


 担当者より

(合)negla設計室 菅藤 純さん(写真左)

敷地の場所性をとらえ、自然の力を取り込んだ住まいづくりを得意とする建築家の菊池佳晴さんとタッグを組んで計画したお宅です。30坪に満たない狭い土地で、2台分の駐車スペースも必要だったため、地下を設けることにしました。2階南面の大開口やトップライト、吹き抜け空間、アウトドアリビング的に使える大きなバルコニーなどにより明るさと開放感を生み出しています。

また、木の温もりに満ちた空間を創出できるだけでなく、耐久性、耐震性に優れ、長寿命で環境に優しい縦ログ構法を導入している点もポイントです。狭小地というハンデを設計力でカバーし、当社が目指す「環境負荷軽減とご家族の理想の暮らしの両立を叶える家づくり」を実現できました。

「工務店」やその家づくりについて、皆さんはどのくらいご存知でしょうか?大きな住宅展示場にモデルハウスを持ち、多数のメディアで大々的に広告している大手ハウスメーカーに比べ、地域の「工務店」は、興味はあってもなかなかその実情を把握しにくいのが現状です。

そこで今回は、それぞれに特徴や強みの異なる工務店との家づくりをご紹介。工務店をパートナーに選んで建てた実例と住まい手の声を通じ、その魅力を紐解きます。す。

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