共働きのMさんご夫妻が家を建てようと考えたとき、真っ先に希望したのは「家事ラクな回遊動線」でした。新居でも賃貸マンションのワンフロアで生活していたときのような動線を継続できるよう、LDK・寝室・水まわりを2階にまとめるプランに。LDKを中心に、寝室とそれにつながる一部屋分ある広いクローゼットルーム、ユーティリティ、ワークスペースまでぐるりと通り抜けできる回遊動線が便利です。

砂川にあるショップ「SHIRO」に憧れ、わざわざ現地を見学し参考にしたという三角屋根の外観
砂川にあるショップ「SHIRO」に憧れ、わざわざ現地を見学し参考にしたという三角屋根の外観
玄関は土間と段差のないバリアフリー仕様。存在感抜群の薪ストーブとブルーグレーのドアがアクセント
玄関は土間と段差のないバリアフリー仕様。存在感抜群の薪ストーブとブルーグレーのドアがアクセント

暮らしやすさに重点を置いた家づくりですが、唯一当てはまらない要素は玄関に設置された薪ストーブ。パネルヒーターと床暖房を併用しているため、薪ストーブは補助暖房ですが、ぼんやりと炎を眺めていると日々の疲れが癒やされ、輻射熱の暖かさも心地いいそう。少しの手間ひまが暮らしに豊かさをプラスしてくれています。

玄関の一角には手洗いスペースが。右手にはシューズクローク、奥にはトイレと収納、予備室が配されている
玄関の一角には手洗いスペースが。右手にはシューズクローク、奥にはトイレと収納、予備室が配されている
1階の奥にある予備室は一部が2階の納戸と吹き抜けでつながっている
1階の奥にある予備室は一部が2階の納戸と吹き抜けでつながっている
階段には構造用合板を使い、コストを抑えるとともに、木の風合いが生きるデザインを実現
階段には構造用合板を使い、コストを抑えるとともに、木の風合いが生きるデザインを実現

Mさん宅は、家事効率と同時にデザイン性も高い空間づくりを目指しました。白を基調としたスッキリとした空間を、キッチンや土間などのブラック・グレーが引き締めます。「家づくりで大切なのは、間取りや動線、設備などの機能性と、お客様の嗜好に沿ったデザイン性を両立させること。それと同時に、どこに予算をかけ、どこを削るかなどのコストバランスをしっかりと考え提案できることだと思います。そして建てたあとにも愛着を持って、暮らしに合わせて育てていける可能性を持つ家を、お客様と一緒につくり上げていくのが私たちのモットーです」とネオス建築の佐藤祐樹代表。

大開口で明るさと開放感に満ちたリビング。すぐ隣に寝室が配置されている
大開口で明るさと開放感に満ちたリビング。すぐ隣に寝室が配置されている
広々としたクローゼットルームは寝室、LDKどちらからでも出入りできる2WAY仕様
広々としたクローゼットルームは寝室、LDKどちらからでも出入りできる2WAY仕様
キッチンまわりはブラックで統一。ダイニングテーブルはキッチン幅やスペースに合わせて造作した伸縮タイプ
キッチンまわりはブラックで統一。ダイニングテーブルはキッチン幅やスペースに合わせて造作した伸縮タイプ

白とグレーの無地がベースのシンプルな家で印象的なのは、構造用の合板を自然塗料で仕上げた床や素地現しの建具です。「素材そのものの質感が生きる空間で、住んでみるととても雰囲気が良く、自分たちの好みに合わせて変えていけるのがいいと思いました。今後は、建具を北欧風のプリントクロスにしたり、趣味の食器ももう少し飾ったりしたいですね」と、楽しそうな奥さん。今までは仕事人間だったというMさんも、これからはDIYや薪ストーブ、庭づくりなど、家で過ごす時間を取りたいと話してくれました。

2階ホールの空間を利用して、ワークスペースを設けた。窓の外には公園の緑が広がり、面積以上の開放感に包まれる
2階ホールの空間を利用して、ワークスペースを設けた。窓の外には公園の緑が広がり、面積以上の開放感に包まれる
シンプルに造作した洗面台。ちょっとレトロな雰囲気のくすんだブルーのタイルは平田タイル製
シンプルに造作した洗面台。ちょっとレトロな雰囲気のくすんだブルーのタイルは平田タイル製
小さい面積ながらも吹き抜けにより開放的な2階納戸。収納棚を増やすなどフレキシブルに使える
小さい面積ながらも吹き抜けにより開放的な2階納戸。収納棚を増やすなどフレキシブルに使える

あえて余白を残した可変性のある空間は、暮らしの変化とともに徐々に家を育てていく楽しみもあります。10年後、20年後、どんな家に育っているのかが気になるMさん宅です。