つくる人、住まう人。家づくりには多くの「人」が関わります。 大正13年創業の「やまもく」が、家づくりで最も大切にしているのが、人と人とのつながりです。 家づくりに関わる人すべてがワンチームとなって着工から完成、 そして、その後も末長くお客様の暮らしに寄り添います。 今回お邪魔したのは2022年5月に引っ越したばかりのKさん宅。 豊かな緑に包まれた自慢の住まいに集まって、楽しかった家づくりを振り返りました。


時間をかけたヒアリングで
唯一無二の提案を

当別町に建つKさん宅を囲むのは、絵に描いたような青空に畑や防風林。どこまでものんびりと広がる緑に、心がすっかりほぐれていきます。この豊かな景色はKさん宅の大きな魅力のひとつであり、プランニングの要。「これだけの風景の中にありながら、実は駅から徒歩5分という好立地なんですよ」と、Kさんは笑顔で話します。

縦張りのガルバリウムに、独特の色ムラが魅力のSOLIDOを組み合わせた外観は緑に映える
防風林と畑、青い空。Kさん宅を囲むロケーションはまるで絵画のよう

Kさんご一家が以前住んでいたのは、札幌市内の住宅街にある中古住宅。もともと田舎育ちの奥さんは、自宅周辺に次々と戸建て住宅が建ち並ぶことに窮屈さを感じ始め、新築を決意。依頼先を探していたところ見つけたのが「やまもく」でした。

信頼感で結ばれたKさん宅の家づくり。娘さんを囲んで、思い出話に花が咲く。「打ち合わせのたびに娘さんはお手紙をくれたんですよ」と伊藤さん(写真右からKさん、やまもく株式会社 代表取締役 山口雄大さん、設計課長 松下 大さん、次長・インテリアデザイナー 伊藤直美さん、Kさんの娘さんと奥さん)

「やまもくでは、一番最初にしっかりとヒアリングをします」と話すのは同社の山口雄大社長。起床時間や趣味など暮らしの些細なことにも目を配り、じっくり時間をかけて会話します。「私たちの希望を正確に読み取ってくれて、この土地も山口社長が見つけてくれたんですよ」と奥さん。

Kさん宅は玄関からすぐにリビング。断熱・気密性能が高いので、仕切りがなくても快適。玄関に設えたペンダントライトは、玄関から見ても、リビングからみても美しく映えるように、角度や長さを数㎝単位で調整している
白を基調とした玄関は、玄関収納下の間接照明が優しく迎えてくれる

当別町という選択肢はなかったものの、自然環境やアクセスの良さなどKさんの理想どおりの土地でした。土地購入後、念のために他社も見て回った末に、同社に依頼をしたKさんご夫妻。決め手となったのは、同社の設計士・松下 大さんの行動でした。「この土地の最大の魅力はこの眺望です。どんな窓の切り取り方でこの景色を見せようか考え、近くのコンビニで購入した段ボールをくり抜いて、窓からの景色を再現してみたんです」と、照れくさそうに笑う松下さん。雪が積もる更地の上に立ち、段ボールで急ごしらえした窓枠に景色を写し込みました。「山口社長から見せていただいたその写真が本当に感動的で。景色の美しさだけではなく、家づくりにかける熱意に心が打たれました」と、Kさんご夫妻は語ります。

リビングの開口からは、防風林と畑が絵画のようにワイドに広がる。ダイニングまで視線が抜ける開放感も魅力

性能×デザインが共存する
快適な家

Kさんが家づくりでもっとも重視したのが「性能」です。「私は道外出身なので寒さが大の苦手だと伝えると山口社長がSW(スーパーウォール)工法について教えてくれました」とKさん。「日本トップレベルの断熱性能を誇るSWパネルと呼ばれる断熱材を使った工法で、断熱気密はもちろん耐震強度も高いんです。お客様立ち合いのもと、C値の全棟測定も行っています」と山口社長はその性能を説きます。Kさんも「ご自身もSW工法の家に住む山口社長自ら、住み心地も含め詳しく説明してくれたので安心でした」と信頼を寄せました。

小上がりの和室は、リビングとダイニングをつなげる役割も果たす。寝転がったり、ベンチがわりにしたりできる大切な居場所のひとつ。間仕切りをつくらずに、高低差で空間を仕切ることで開放感も損なわない

対して、「シンプルな中にも自分の好きなインテリアを取り入れた、居心地の良い空間にしたい」という奥さんの希望を叶えてくれたのが、同社のインテリアデザイナー伊藤直美さんです。「やまもくのコーディネートは提案型です。お客様に選択を委ねることはしません」と伊藤さん。ダウンライトを極力減らし間接照明を有効的に取り入れることで、やわらかな光と天井の見映えの美しさを叶えるなど、考え抜かれた提案に「ワクワクしながら打ち合わせを楽しむことができました」と、奥さんも大満足です。

玄関からすぐの洗面スペースは奥さんのお気に入りの空間。「伊藤さんのコーディネートで、自慢の場所になりました。真鍮のライトをつけるたび、気分が弾みます」とにっこり
キッチンの壁面にはアクセントに江別レンガを採用。色のバランスや目地の深さなど、細かに調整をして空間に合わせた

完成したKさん宅は美しい眺望や風配図を用いて風向きを考慮した適材適所に窓配置がなされた住まい。見せたい景色に視線が自然とフォーカスするよう窓枠の存在感を消すといった綿密な引き算により、住まいの魅力を引き出しています。仕切りのない1階は開放的ですが、「実は延床面積35坪で比較的コンパクト。視線の抜けや窓の向こうの借景が面積以上の広さを感じさせてくれるんです」と、松下さんはその仕掛けを語ります。

スキップフロアのように高さを変えた2階ホールのフリースペース。南向きの絶景を望むカウンターは掘りごたつになっていて、大人が座った時に遊んでいる子どもと目線が合うように調整した

「大きな窓のあるダイニングが家族の定位置になり、テレビを見る時間も減りました」と、新たな住まいは、早くも暮らしに変化を与えています。それぞれのプロフェッショナルがワンチームとなり、いくつもの会話を重ねて辿り着いたKさん宅。土地を読み解いた空間構成、そして性能とデザインが共存する快適な住まいには、いつも家族の笑顔があふれています。

南側に設けた大きな開口には内と外のつながりを促すテラスを設置。外観を損なわないように庇をつくり夏は日射を遮蔽し、冬は日射の取得ができるようにパッシブデザインでコントロールしている