輸入インテリアの仕事から
リノベーションの世界へ
あえて中古住宅を選び、リノベーションで理想の空間を実現する「不動産+リノベ」という家づくりのスタイルが注目されています。この新しい住まい探しのかたちを提案するN’s Create.は、仙台を拠点とする不動産と建築のスペシャリスト集団。その取りまとめ役となっているのが、新社長の丹野伸哉さんです。
丹野さんは学生時代にインポートビジネスを学び、卒業後は英国アンティーク家具やオーダー家具の販売に従事していました。良質で永く愛されるインテリアを取り扱い、個人宅からホテルまで事業を展開していたところ、仕事を通じて知り合った当時のエヌズクリエイト社長・結城創さんと意気投合。この出会いが大きな転機となり、リノベーションの世界に足を踏み入れることになりました。
エヌズクリエイト内にリノベ専門部署を立ち上げ、2人だけで事業をスタート。インテリアと空間づくりに関連した工事を請け負うなどして実績を重ね、その後は不動産のスペシャリストを加えて3人体制に。そして4年前、リノベ部門を分社化した新会社N’s Create.を設立すると、「お客様により良い提案をするためには、その分野に秀でた人材が必要」と徐々に各分野のスペシャリストを増員し、組織力を高めていきました。
自分たちの暮らす街や住まいを、
デザインの力で楽しく豊かに
N’s Create.の社名は、ニュースタンダードクリエイト=新たな価値の創造を意味します。「自分たちの暮らす街や住まいを、もっと楽しく豊かにしたい」という理念に共感したインテリア、空間デザイン、施工、グラフィック、マーケティング、コンサルティング等のスペシャリストが、丹野さんの下に集結。
最大の強みは、その組織力です。物件探しから設計施工まで一社完結のワンストップソリューションで、組織力を最大限に活かした空間デザインを提案、実現してきました。「不動産でも設計でも、組織がタテ割りではお客様に自信をもって提案できません。私たちが重視するのはヨコの繋がり。タテ割りの壁を壊し、風通しを良くしてこそ血の通った提案ができます」と丹野さんは組織の在り方を強調します。
では、目指す豊かさとは何か? その問いに対する答えは、「好きなものや納得できるものに囲まれた心地よさであり、明るく前向きな気持ちになれること」。特にプランニングでは、意匠の美しさだけでなく、飽きのこない空間デザインを心がけているといいます。「例えば、可変性も大切な要素。ライフスタイルが変わっても柔軟に対応できる空間デザインは、愛着や心地よさにつながります」。
「気の利いたプレイヤー」となって
既成概念を超える提案を
憧れの暮らしはあるけれど、どうしたらいいかわからない…という人は少なくありません。そんな住まい手に対して「求められた形をつくるだけではなく、プラスαを生みだし、まとめ上げることこそがデザイン」と語る丹野さん。そのためには「人間力が不可欠」と考え、社としても「コミュニケーション」「チャレンジ」「クリエイティブ」を、新たな価値を創造するための三要素と位置付けています。
今やインターネットなどで、様々な情報を簡単に入手できる時代。住まい手の方がつくり手のレベルを超えていると感じることもあるとか。「だからこそ私たちは、既存のしがらみにとらわれない『気の利いたプレイヤー』でありたい」と、丹野さんは目標を掲げます。
その言葉を体現した一つが、インテリアショップflaner and Premium(フラネ)の運営です。雑貨・インテリア販売のほか、空間コーディネートやリノベーション工事にも対応するなど、単なる住まいづくりの枠を超えたアプローチで新たな価値観を提示しています。2018年8月には仙台市若林区で、リノベーションしたライフスタイル提案型モデルルームを公開予定。既成概念を超えるN’s Create.の挑戦は、これからも続きます。
(文/関 洋美)