「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2022」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。今回は、福島県郡山市を拠点に注文住宅を手がけるエア・コーポレーションの佐久間 宏一さんです。
型にはまらない、自由主義の住宅デザイン
建主の要望を前提としたうえで、住む家族の状況や歴史、そして敷地(場所)の状態や風土が、私の住宅デザインの種になります。また、住宅は住む人の心身を癒やす場でありたいと考えているので、素材(自然材料)やディテール、ヒューマンスケールにこだわります。
結果的に、<和>の建築デザインになりますが、和=日本伝統的という意味だけではありません。さまざまな文化を吸収しながら特有の文化を積み上げてきた重層的な<和>でありながら、無駄や虚飾を省いて高度にデザインされた、なごみの<和>であることを目指し、住宅設計に取り組んでいます。
私たちの田舎 ~田園の平屋
建主はもともと東京在住でしたが、自分たちにとっての田舎をつくりたいという想いを強く持ち、福島への移住を検討されていました。県内の不動産を回ったものの、紹介されたのは理想とは程遠い画一的な分譲地…。そこで私への家づくりの相談は土地探しから始まりました。
田舎には土地がたくさん余っているように見えますが、手つかずの自然を望みつつ宅地用の土地を見つけるのは至難の業。福島県の地図を広げながら土地探しを進める中で紹介されたのが、須賀川市郊外にある里山の原風景が残る土地でした。建主は東京への定期的な車移動が必要だったことから、インター近くにここまで条件がそろった土地が見つかったのは奇跡的なことでした。
そうした環境での家づくりで重視したのは、里山の原風景にいかになじむかという点。加えて建主からの「あまり派手にしたくない」との要望を受け、スケール感を抑えるとともに、床や天井などは自然素材にこだわりました。
そのうえで、古い住宅を解体したときに手に入った古材を配したり、大きな無垢板から仕事用のデスクを造作したりと工夫することで、昔ながらの住宅の再現ではなく、田園風景になじむ、オリジナリティーのある家となりました。
■建築DATA
福島県須賀川市・Sさん宅
家族構成/夫婦30代
構造規模/木造・平屋建て
延床面積/163.97㎡(約49坪)設計/(株)エア・コーポレーション 佐久間 宏一
施工/(株)エア・コーポレーション
撮影/NAPS
\2022/4/18発売!「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2022」/
東北で活躍する建築家や建築会社によるデザイン性の高い住宅実例集のほか、2021年に宮城県石巻市で竣工したマルホンまきあーとテラス(設計/藤本壮介建築設計事務所)を取材した巻頭特集やインテリアアイテムに関するエッセイなど、住宅や建築を多面的に捉えたコンテンツで、家づくりの参考になる住宅のデザインを提案。
普段なかなか目にすることのないこだわりの注文住宅を多数掲載しています。ぜひ家づくりの参考にご覧ください!
東北の書店にて発売中!
〈インターネット購入〉Replan webサイト /Amazon /Fujisanマガジン
※インターネット購入・方法についての詳細はこちらからご確認ください