東北・北海道の床下暖房は?
~エアコン床下暖房は効率が悪すぎる
エアコンによる床下暖冷房システムが出来上がりましたが、北海道などでは冷房期間が短く、壁掛けエアコンによる冷房で十分です。暖房だけで考えると、これにエアコンを使うのは問題が一つあります。それは、外気温が低いためエアコンの効率が極度に低下するのです。
温暖地ではエアコンの暖房でも、ヒートポンプにより消費電力の3倍以上の熱が得られますが、寒冷地では2倍以下になってしまうようです。将来的には、脱炭素社会を目指して、屋根に太陽光発電パネルを搭載し、エアコンで暖房という方向になることは確かです。これから急速に太陽光発電パネルの技術革新が進み、蓄電池なども急速に進化し、すべての住宅に搭載されるようになると思います。
しかし、現状では太陽光発電パネルを搭載する住宅はまだ少数です。私は、現時点では太陽光発電システムを設置する予算が不足するのであれば、住宅の断熱に今は予算をできるだけ回し、暖房エネルギーが少なくて済む住宅をつくることにした方がいいと思います。住宅は100年もちます。しかしボイラーやストーブ、エアコンなどの設備機器は10~15年しかもちません。太陽光発電設備も20~30年の寿命といわれます。技術革新が進み価格が十分下がった頃に入れ替えるという方針もあると思われます。
新方式
温水暖房ストーブによる床下暖房システム
図6・7に温水暖房ストーブによる床下暖房システムの詳細を示します。
温水暖房ストーブとはあまり聞き慣れない言葉ですが、商品名は「ルームヒーター」で、(株)サンポットから販売されています。他のメーカーにも同種の商品があります。
FF温風ストーブと同じ形状の温水ファンコイルユニットと、専用の灯油ボイラーの組み合わせで、室内に設けた温水コンセントに差し込む形式で、室内の暖房ユニットを2~3台接続できます。出力も大きすぎず、高性能住宅には、室内機を1~2台設置するだけで十分です。FFストーブとは異なり、エアコンと同じような強力なファンを内蔵していますから、図7のように設置し、室内機のまわりを隙間なく納めファンによる圧力が床下全体にかかるように設置します。室温センサーは背面の空気取り入れ口の方にあり、リモコンの受光部は上部に付いていますから、エアコンのような問題は生じません。
価格は、FFストーブ1台よりは高くなりますが、温水暖房による床下暖房よりはかなり安く抑えられそうです。何よりもストーブという直接燃焼器具を室内に置くことなく暖房ができる安心感があります。またエアコンよりもはるかに高い70℃の温風が吹き出しますから、床下暖房としては最適です。また、停電対策としてもエアコンよりはるかに小さな消費電力ですから、小さな発電機やバッテリーによってある程度対処できそうです。
この方式で、仙台に実験住宅を建設中です。今年の冬のデータを取って、後日報告できると思っています。