市街地でも土と緑に親しめる
塀に守られた南向きの庭
Fさん宅の新居は、3方を道路に囲まれた変形地という敷地条件を、住宅の個性として存分に生かした住宅です。北の生活道路側に正面を、西の幹線道路側に側面を向け、隣地に接する東面はガレージとした配置。そして南側に突き出た部分は家庭菜園を楽しめる広い庭となっています。
特徴的なV字型の屋根は、最も低い位置にドレンが走るバタフライ構造。無個性なキューブ型になりがちな雪国の無落雪住宅ですが、パラペットで囲わずバタフライの形状を強調した外観が、内部空間ののびやかな広がりを想像させ、この住宅に優雅な表情を与えています。
外観のもう一つの特徴は、西面から南面の先端までを囲む塀。住宅と一体に見えるこの塀により、庭はほぼプライベートな空間となっています。庭に面した住宅南面には屋根のあるテラス。この半屋外空間は、野菜づくりに伴うさまざまな作業の場として使い勝手がよく、道具などを収納するガレージに直結しているのも非常に利便性が高いそうです。
個人の生活スタイルを尊重し
家族の時間も大切にしたプラン
間取りは、なるべくワンフロアで完結する生活がしたいという奥さんの意向に沿って計画されました。リビングやダイニングなどの生活空間と、寝室となる個室、水まわりを回遊できる効率的な動線が考慮されています。浴室隣に独立した脱衣室を設けたのも奥さんの希望。「お風呂と洗面スペースを家族が同時に使えて便利です」。
キッチンとダイニングは親和性の高い対面式とした一方、リビングは適度に分離されていて、家族は好きな場所で思い思いに過ごすことができます。リビングにもダイニングにも南の庭を望む大きな窓が設けられ、開放感あふれる空間となっていますが、ここでも塀がプライバシーを守る役割を果たしています。
2階は、2つの個室とゆとりある収納スペース、サブトイレで構成されています。1階の寝室を含めて家族それぞれに個室があり、一人ひとりの独立した暮らし方を尊重しながら、集い、ともに憩う空間も多彩に備えた住まいです。
家族それぞれが気兼ねなく自由に過ごせる住まいにしたいと思っていました。住宅が密集したこの場所で、趣味の野菜づくりを楽しめるのも嬉しいです。以前の家は3階建てで、キッチン、浴室、寝室がそれぞれ別のフロアにあったので、階段の上り下りが多くて大変でした。すべて平行移動で済むようになったのは本当に楽です。対面式のキッチンも家事がしやすく、思いどおりの家になりました。（奥さん談）
