北海道帯広市・Hさん宅
家族構成/夫婦30代、子ども4人
薪ストーブ/[RAIS]Q-TEE2C US
設計・施工/(株)大野建設
畑作農家4代目のHさんご夫妻は、結婚以来10年間、新築計画を温め続けてきました。「4人目の子どもが生まれ、借りていた住まいが手狭になり、そろそろ建て時だと思いました」。そう話す奥さんは、結婚と同時に将来、実現したい住まいやインテリアの資料を集めては、新築への夢を膨らませていました。
2018年、Hさんご夫妻が新築に向けてわが家像を考え始めたとき、北海道胆振東部地震が発生し、ブラックアウトを経験。「数日間の停電で、厳しい十勝の冬を考えると薪ストーブは贅沢品ではなく、ライフラインの備えとなるものだと痛感しました」と、Hさんは振り返ります。
ご夫妻はさまざまな方向からこだわりに応えてくれそうな依頼先を検討。建築家物件を多く手がけ、薪ストーブの採用例も多い大野建設に新築を依頼しました。「ヘリンボーン張りの無垢床、造作キッチン、大きな窓など、一級建築士が親身になって私の要望に応えてくれたのがとても嬉しかったです。納得のいく家づくりができました」と奥さん。
2019年8月、Hさんご一家待望の新居が完成。ご夫妻が「すっきりとしたシルエットが、モルタルや木の質感を生かしたシンプルな空間に合う」と選んだライスの薪ストーブは、玄関に隣接するホールに設置されました。「薪の暖かさって、人工的な暖房にはない温かみがありますね。補助暖房として設置したのに、朝起きると薪をくべ、夜も薪火を眺めながらお酒を飲むのが冬の楽しみになりました」と、Hさんは笑顔で語ります。
奥さんも畑で取れた小豆を煮たり、ジャガイモやサツマイモを焼いたり、薪火を日常の調理に活用しています。3シーズン目を迎えた今では、薪ストーブは安心の備えを超えて、Hさんご一家の豊かな暮らしを支える必需品となりました。
DATA
◆家のこと
構造規模/木造(在来工法)・2階建て
延床面積/159.40㎡(約48坪)
◆薪ストーブのこと
機種/ライス[Q-TEE2C US]
炉台/モルタル
炉壁/デコリエ
役割/補助暖房
使い方/在宅時に使用
使用期間/10月~4月初旬
メンテナンス/1年に1度実施(専門店に依頼)
◆薪のこと
ひと冬あたりの使用量/3㎥
使用樹種/広葉樹・針葉
調達方法/近隣からのいただきものPLAN
住まいの中心にある玄関ホールに薪ストーブを設置。薪火の熱は、吹き抜けや階段を伝って家全体に行き渡る。 玄関とダイニング側の両方から薪が運べる。
owner’s voice
新築を機に薪ストーブを採用したことで、地域にたくさん薪ストーブ愛好家がいることを知りました。入居後、間もなくから近所の人が訪ねてきては、新築祝いの代わりにと薪を置いていってくれたり、ストーブの使い方や薪割りのレクチャーをしてくれたり、今までほとんど話したことがなかった人が突然、電話をくれるようになったり。そうした人たちと外でばったり出会ったときも、もちろん薪やストーブの話で盛り上がります。わが家にストックされている薪はすべて、近隣の愛好家の方々からいただいたものです。薪ストーブのおかげで、ご近所付き合いもにぎやかになりました。薪火は、人と人のつながりまで温めてくれるんですね。炎の力のすごさに驚かされています。(Hさん談)