北国ならではの暮らしの楽しさを提案する
薪ストーブのあるアトリエ
北海道江別市にあるアトリエキバコは、北海道の豊かな自然が育んだ本物の素材と手仕事を生かしながら「暮らしを楽しむ家づくり」に取り組んでいます。この建物は、江別レンガや道産無垢材、稚内の珪藻土など、自然素材を用いた同社のアトリエ。夫婦と子どもの3人家族の暮らしをイメージしたこの家に、代表の中川寛隆さんは薪ストーブを採用しました。



「薪火の温泉のような温もりに包まれながら炎を眺めていると時間を忘れます。その心地よさをいつでも家族で味わえる住まいを提案したかったんです」。そう語る中川さんは、20年前から登山や湖でのカヤック、キャンプなどを楽しんできた筋金入りのアウトドアマン。アトリエのプラン二ングでは薪ストーブの機種にもこだわり、自然素材を生かした空間になじむシンプルなデザインで、炎がきれいに見えるヨツールF305を選びました。
2階リビングの一角にある薪ストーブに火が入ると、自然と打ち合わせの場が和み、話が弾むそう。アットホームな雰囲気のなか、中川さんが自ら薪火でピザを焼いてふるまうことも。「日常の料理に活用できるのも、薪ストーブの魅力。薪火だと、市販の冷凍ピザがごちそうになるんですよ。100の説明よりも、まずはその魅力を体験してもらうことが大事だと思っています」。
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まるで「都会の秘密基地」
焚き火小屋がつくる、家族のかけがえのない時間
火に親しむ暮らしの提案は、家づくりだけに留まりません。その一例が、札幌の街なかにある住宅の庭に建てた「焚き火小屋」です。
Sさんは自宅の建築を通して中川さんと知り合い、アウトドア仲間としてプライベートでも親交を深める中で、焚き火の面白さに目覚めます。「日常的に焚き火が楽しめる環境をつくりたい」と考え始めたSさんに中川さんが提案したのが、「焚き火小屋」。50坪ほどの庭全体のつくりを見直し、都会の住宅地でも近所の目を気にせずに焚き火を楽しめるプライベート空間でした。
仕事を終えた深夜、揺らぐ炎を眺めながらスコッチと葉巻を楽しむひとときが、多忙なSさんの暮らしの潤いに。「都会にひっそりと佇む秘密基地のような焚き火小屋は、男のロマンの結晶です。気持ちにもゆとりが生まれました」と笑顔で語ります。夏の休日には、子どもたちと一緒に水遊びやバーベキューを楽しんでアウトドア気分を満喫。家族のおうち時間の充実にもつながっています。
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

「この焚き火小屋のように、かたちに囚われることなく、これからも住まい手と一緒にわくわくしながら、遊び心あふれる建物づくりをしたいですね」と中川さん。その情熱とアトリエで実感した薪ストーブの心地よさからか、火を見ながら打ち合わせをした約8割の住まい手が、薪ストーブを採用しているそうです。これからも、自然の温もりが満ちるアトリエから、薪火の輪がますます広がっていきそうです。