「良いデザインの家」とは、見た目も間取りも、省エネ・省コストにつながる住宅性能も、トータルに考えデザインされた家。Replanでは「美しく暮らす 東北のデザイン住宅2021」の発刊に合わせて、そんな家づくりに取り組む東北の住まいのつくり手の声をお届けしていきます。今回は、山形県山形市を拠点に注文住宅を手がけるアーキテクチュアランドスケープ一級建築士事務所の渋谷 達郎さんです。
風景を生かす建築をつくる
豊かで厳しい東北の自然環境のなか、「建築」の役割は、その土地や、そこに住む人々の背景を探り、その土地らしく、その人らしい暮らしの礎を見いだすことだと考えています。アーキテクチュアランドスケープでは、住まいも街並みの一部と考え、その土地の暮らしの風景をより豊かにする建築に取り組んでいます。
東北・山形を拠点に、一般住宅や二世帯住宅、集合住宅、保育所・幼稚園・こども園、介護福祉施設、クリニック、温浴施設などさまざまな用途・目的の建物について、地域の素材や技術を活用した建築環境デザインをご提案いたします。
Q1.0住宅レベル4の真に豊かな住まい
山形県内でも有数の豪雪地に計画した高性能住宅です。敷地はもともと広い畑地で、土地の北端に沿って防風林が植えられていました。建物はこの林と近くの稲荷山が背景となる配置とし、美しい田園風景を引き立てるような「風景に参加する建築」を試みました。
屋根は、落雪の危険性や落雪後の除雪の手間を最小限とするために、積雪2mに耐える堆雪型の屋根(ゼロ勾配)としました。南側から見ると軒先の水平ラインが強調され、まるで大地に根を下ろしたような安定感のあるランドスケープをつくり出しています。建物は土地の高低差約80㎝を生かし、低い方に駐車スペースや薪・ペレットボイラー、洗面・浴室などのユーティリティを、高い方に広いLDKを設けて、大きな吹き抜けが双方をつなぐ空間としました。
リビング・ダイニングには高性能木製トリプルサッシ(夢まど)による大開口を設け、夏の日射遮蔽と冬の日射取得を両立。厚さ120㎜の基礎断熱および壁の3重の壁付加断熱、屋根断熱500㎜により、冷暖房負荷を約15Kwh/㎡に抑え、パッシブハウス並みの高性能住宅を実現しました。さらに新しい試みとして、住まいの給湯と暖房を木質バイオマスで賄うなど、カーボンニュートラルに向けた真に豊かな住まいを実現しています。
■建築DATA
山形県米沢市・Tさん宅
家族構成/夫婦30代、子ども2人
構造規模/木造・2階建て
延床面積/170.17㎡(約51坪)設計/(株)アーキテクチュアランドスケープ一級建築士事務所 渋谷 達郎
施工/(株)太田建設
撮影/根岸 功
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